表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鈴木な太郎君は薔薇の都で戦乙女と輪舞曲を踊れるか?  作者: へたれのゆめ
火曜日 諦め二割絶望三割世界への呪詛五割半
28/38

一時限目 アウストラロピテクス


 部屋を出ると、そこは居間になっていた。


 二十畳は有るだろうか? 大き目のソファーやテーブル、観葉植物などが置かれた比較的シンプルな部屋で、壁は一面白い壁紙が張られていた。


 僕の正面に当たる壁には大きな窓ガラスがはめ込まれており、そこから十分な光が注ぎ込まれていて、全体的に明るいイメージになっている。おそらくは香住の趣味だろう。


 それは良い、僕もこういうシンプルな部屋の方が落ち着く、だが……



 「くすぐったいですお姉さま」


 「なにお~? この位耐えれなければ強くはなれないぞよ?」


 「……なんだ、ぞよって?」



 ……サンタ、そのセリフは譲ってもらいたい。






 目が覚めると知らない天上だった。


 テンプレな言葉だが、こっちに来た時に言い忘れたのを結構後悔していたので、言う機会が有って実は結構嬉しかったりする。


 ……少なくとも確実に言ったであろう友人を十人前後持つ身としては、言っておかないと負けな様な気がした。


 まあ、冗談はさておき


 「おはよう、ヒヨコ」


 僕が寝ているベットの端に突っ伏して寝ている女の子に声をかける。久々に梳いた髪は、心なしか前より艶が無くなっているように思えた。




 「本当に大丈夫ですか? 無理してない? 辛いならもう少し寝てても…」


 「相変わらずヒヨコは心配性だね、でももう大丈夫。あいつの鉄拳制裁なら昔から何度も食らってるから」



 あの後、起こすのも忍びなかったので、しばらくヒヨコの髪を弄って遊んでいたら、何やら隣から大きな音が聞こえた。


 一緒に聞こえた声から、恐らくはまた香住辺りが暴れていると想像できるが、長くは続かなかったのでおそらく大丈夫と無視を決め込み、周りの観察をしてみる。


 十畳と少しくらいの部屋で、有るのは今寝ているベットとヒヨコが座っていた椅子、それから机とクローゼットが有り、全てが木目調に統一されていた。部屋はログハウスの中みたいな作りになっていて、全体的に温かみがある作りになっている。


 ……中々僕好みの部屋である。


 ヒヨコが起きたのは、部屋を一通り見終った後だった。初めこそボーっとしていたが、僕が頭を強めに撫でると直に状況を理解したのか、ベットから離れて行ってしまった。


 兄離れ? とも思ったが、どうも久々に会う僕にちゃんと挨拶したかったらしい。実にヒヨコらしい判断でお兄さん嬉しいよ。


 それからはこの大丈夫コールが始まり、その様子は危篤状態の病人が起き上った位のものであるが、これがこの子のデフォルトなので逆に安心してしまう。


 「取りあえず確認なんだけど、僕を殴り飛ばした(おそらく。蹴りでも可)のは香住で、その後にシエラ……僕の連れてた小さい子ね? が突っ掛って行ったと。この中に間違いは?」


 「凡そはその通りです。パンチはスミ姉が今使える最大のスキル技だったのと、シエラちゃんが雷の塊みたいので応酬していた事を入れればそんな感じです。……あの後、大変でした」


 ああ!? ヒヨコが遠い目を!? ……何が有った?


 「……ヒヨコ? まさか殺生沙汰にはなって無いよね? どっちかが力加減を間違ったとか」


 香住ならその辺大丈夫だとは思うけど、シエラの方は力量が未知数だ。雷の塊がどの程度の塊かは解らないが、下手に香住の闘争心に火をつけていない事を祈ろう。あいつは火が付くと止まらないから。


 「えっと、その辺は大丈夫でした。シエラちゃんは物凄く怒って暴れてましたし、その力も凄まじかったんですが……三分も暴れると糸が切れたみたいに倒れてしまって……私の付人の話だと、力の配分が全くなっていないただのMP過剰消費による貧血の様な物って言う事で、あの後三時間くらいで目が覚めましたから。タロちゃん以外は誰も怪我らしい怪我はしませんでした」


 「そっか、良かった。それなら何も問題ない。あるとしたら……シエラのご機嫌は取らないとダメかな?」


 あと香住も。何であんなに怒ってたんだ? ……ん?


 「如何したんだいヒヨコ? 何だか口の端がヒクヒクしてるよ?」


 これは笑いを堪えているしるしだ。ちなみに揺れ幅は0,2ミリ位。


 「いえ、私が言うよりは見てみた方が良いと思います。さ、皆待ってますよ? 私の付人も紹介します! きっとビックリしますよ?」


 「?」


 僕はそのまま背を押されるままに部屋のドアを開けたのだった。





 そしてまあ、冒頭に戻る……と。


 「……」


 「どうしたんですかタロちゃん?」


 後ろからのヒヨコの声は何処か嬉しそうだ。表情など見るまでもないだろう。


 「なんでもありません」


 「にゃ!?」


 後ろに手をまわしてヒヨコの首根っこを掴む。幾ら非力とは言っても僕だって男だ。四十キロあるかも怪しいほど軽いこの子を持ち上げるだけなら造作もない。


 想像どおりニヤケ顔の小天使をぶら下げたまま空いたソファーに向かう。その途中でサンタと目が合うが、無言の挨拶を済ませてソファーに座る。こいつとはこの位がちょうどいい挨拶なのだ。


 「およ、もう起きたのか。おはよー太郎、よく寝れた?」


 「おかげさまでね、ドウモアリガトウ。そんでもっておはよう。そしてそれ返せ僕のだ」


 それとは今現在香住の腕の中で弄ばれているシエラの事だ。本人もまんざらではないようでニコニコしている。まあ、僕を見て駆け寄ろうともがいているようだが、


 「ヤダ。ねえ太郎、この子私にちょうだい?」


 「ムリヤダ返セ」


 間髪言わさずに返還を要求する。中途半端に断ったら実質支配と言う恐ろしい暴挙をいとわないので、きっぱりと断るのがミソだ。


 「ケチ」


 「結構だ。おいでシエラ?」


 「マスター!!」


 ヒヨコを隣に座らせて(三人掛けソファーのため余裕が有る)遅い弾丸を受け止める。この子は最初の突撃からこっち、跳びかかる力をきちんと押さえてくれているらしく、危なげなく受け止める事が出来た。


 「お早う御座いますマスター! もう大丈夫ですか?」


 「うん、もう大丈夫だよ。あの怖いお姉さんのパンチは貰いなれてるからね。……それより、シエラはいい子にしてたかな?」


 僕の胸に埋まった小さな頭がビクリと震える。この子は地下でアルの情緒教育を受けていたので、「マスターやその近しい人に敬意を払うように」とか、「力を無暗に振ってはいけない」とかは言い聞かされている。当然、この子が喧嘩を売ったのは僕にもっとも近しい人の一人であり、また殆ど反射的に報復に出たであろうこの子は、自分の非を素直に受け止める素直な心を持っている。つまり、


 「……ま、マスター? あのね?」


 「うん?」



 こういう事は後に残すとまたアルにお叱りをして貰わないといけないので、たまにはこっちで処理をしてしまう事にした。幸いと言って良いのかは解らないが、当の本人である香住は怪我どころか「そんな事もあったね」程度にしか気にしていないので、ゆっくりと間違えを指摘しながら一緒に反省会をして、しょんぼりとしたシエラが謝れば、コンマ数秒で抱え上げて頬を摺り寄せる。詰まる所まったく気にしていなかった。


 まあ、きつく叱り付けるのも大切だろうが、こうしてゆっくりと一緒に何が悪かったのか考えるのも正しい叱り方だと思うんだ。ちなみにリンカさん(香住のお母さん)が何時も取る手法だ。僕とヒヨコは叱り飛ばされるよりもこっちの方が苦手だったりする。


 まあ、シエラは産まれたばかりなのだから、これからゆっくりと学べばいいんだ。幸い、ここに居る奴らと一緒に居て性格がひねくれる事なんてまず無いだろうし、将来が楽しみである。






 「……まあ、改めてよく戻ったな。これでやっと全員そろった訳だ」


 あの後、全力でシエラを愛でている香住に呆れながらくつろいでいると、非常に珍しい事にサンタから話題を振ってきた。出て来た今日ぐらいはこの家族集合マッタリ空間(詰まる所集まって別々の事をする事。この時間が結構好き)を満喫したい所なんだが……まあ、遅れて来た時分、贅沢は言えないが。


 「んー、そう言えばそうだね。じゃあ、本格的に迷宮に潜ろうか?」


 「はい、今ならどこまで行けるのかが楽しみです」


 香住とヒヨコは結構ノリノリだ。しかし……うーん。


 「その事だけどさ、その~なんと言うk」


 「問題ない」


 ステータスの事を切り出そうと口を開くが、サンタに止められてしまった。いや、聞いておいた方が良いって。


 「いや、サンタ? そのな?」


 「ステータスが極端に減衰する呪いに掛かっている事はアリアハムから聞いている。それでも平均五百弱のステータスを誇っていると言う話だった。だったらしばらくは問題ない」


 ……ハイ?


 「はーい♪ 呼ばれたら飛び出してポポポポーン! 話は聞かせてもらっター!!」


 ……取りあえず壺の精かCMソングかどっちかにしようよ?






 話を聞くと、どうもアリアハムはこの四人に共通した商人だったらしく、入界門を出た後もこの三人とはよしなに取引を続けていたらしい。そのついでに(・・・・)たまたま(・・・・)まだ出ていない戦士の話で盛り上がる事が有ったそうだ。


 いいのか? とも思うが、別に誰とも名前は出していないし、それがたまたま知り合いだっただけらしい。


 と言う事で、僕の修行風景は殆ど筒抜けで皆に伝わっていたらしく、詰まる所僕がどうやって切り出そうと考えていた間に、この三人は話を聞いて納得していたようだ。


 しかし……このことは僕の口から皆に伝えなくてはいけない事だったんだろう。コレは僕と皆の問題で、決してアリアハムに頼っていい問題では無かったのだから。



 「スズキー? 聞いてルー?」


 「ん? ああ、聞いてるよ。えーと、まあ、そう言う事で、僕のステータスは今こんな感じになってます」




 鈴木 太郎



 Lv32(Max)


 HP 19776


 MP 1229



 身体 440(18)


 気力 283(10)

 

 生命 398(16)


 精神 265(10)


 魔力 120(5)


 拒絶 723(27)


 運  449(19)



 称号 未来への重荷


 クラス 悪徳の肯定者


 加護 狡智神の加護


 スキル ・物理― 投擲(212) 足技(138) 棒術(82) 槍術(21) 

          投槍(67)


     ・強化― 幸運(143) 血の滲む努力(槍) 戦士の勘(161)

          下克上(221) 歩む者(35) 虐殺者(101)


     ・特殊― 覚醒(187) 鑑定(311) 努力(76) 罠士(151) 

          盗賊(149) 隠密(151) 鷹の目(101)





 「ふむ、確かにHPとMPがステータスとつり合っていないのは確かだな。スキルの熟練度も相応にして高いようだ」


 「これならその辺の寄生虫モドキよりは大分役に立ちそうだねー? やっぱり待ってて正解だったみたいだ……って言うかスキル多いな!」


 サンタと香住が頷きながらステータスを覗きこむ。「お、罠士じゃん!」とか「鑑定ですか!」などとヒヨコと騒ぐのもやっぱり香住。何だかいつも以上にテンション高いような? ……サンタ? 何だいそのニヤケ顔は?


 殆ど解らない程度に口角を微上げしたサンタは放置して他の皆が出したステータスも確認していく。さて、はたして超絶天才軍団のステータスは?




 蛇ノ目香住


 Lv67(Max)



 HP 18391


 MP 31090



 身体 610(223)★


 気力 5407(129)

 

 生命 3071(73)


 精神 11(193)★


 魔力 231(210)★


 拒絶 2120(60)


 運  4148(99)



 称号 魔闘士 


 クラス 風雷の魔闘士


 加護 なし


 スキル ・物理― 武術(545) 


     ・魔法― 雷(297) 風(310) 付属魔術(198)


     ・強化― 天賦の才(武術) 韋駄天走り(222) 幸運(偽) 


     ・特殊― 闘士(221)




 冬野山太


 Lv68(Max)



 HP 56900


 MP 508



 身体 4450(340)★


 気力 1475(270)★

 

 生命 327(243)★


 精神 892(21)


 魔力 425(10)


 拒絶 9775(230)


 運 3910(99)



 称号 覇剣士の卵


 クラス 覇剣の継承者(要修行者)


 加護 覇剣王の加護


 スキル ・物理― 剣術(632) 体術(132) 覇剣術(-2988)


     ・強化― 天賦の才(剣術) 豪傑(219) 幸運(偽)


     ・特殊― MP急速回復(23) 剣士(431) 罠士(8) 覇気(99)





 冬野日与里


 Lv65(Max)



 HP 8701


 MP 99832



 身体 487(12)


 気力 447(11)


 生命 2275(56)


 精神 18(478)★★


 魔力 2301(507)★★


 拒絶 893(22)


 運 4322(99)



 称号 魔仙人の芽


 クラス 古魔楼の守護者(見習い)


 加護 古魔楼の加護


 スキル ・物理― 受け流し(48)


     ・魔法― 四大元素(433) 土(254) 火(230) 風(222) 

          水(270) 氷(93) 雷(102) 光(28) 闇(15) 

          付属魔術(120) 回復(298)時空(2) ???(170)


     ・強化― 幸運(偽) 天賦の才(魔法)


     ・特殊― 魔導士(401) 属性融合(99) 魔力吸収(261) 

          連続魔法(301) 魔仙気(99)















 ……うん、もう何も言わないけど……やっぱりお前ら規格外だよ


 


 家族の再会にオーバーなアクションはいらない感じの場面でした。


 基本この集団はこんな感じの生活していきます。



 ……いや、ずいぶん遅れてしまいました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ