とある老冒険者の話
ケントさんの現役秘話?
<とある老冒険者の話>
若手冒険者A:なぁ、じいさん、”紅の教授”《ブラッディ・プロフェサー》ってマジでいたの?
老冒険者 :そりゃな。しっかし、なんでそんな昔のことを聞く?
若手冒険者B:なんでって…最近噂になってんの知りません?『”紅の教授”《ブラッディ・プロフェサー》が協会に戻って来る』って
若手冒険者C:そんで俺らも気になったんで、この辺じゃ一番の古株のあんたに聞きに来たんスよ。で、”紅の教授”《ブラッディ・プロフェサー》ってどんなんだったんスか?
老冒険者 :そうだな。だいぶ変わったエルフだったな。冒険者の前はホントに学院の教授だったらしいしな。
若手冒険者B:じゃあ、魔術師の方だったんですか。学院に勤められるほど聡明な。
若手冒険者A:で、強かったのか?
老冒険者 :ったりめぇだろ。一流以上でなきゃ二つ名なぞつかんわ。
若手冒険者A:だってよぉ、魔術師ってのはソロじゃ二流が良いとこじゃん。
老冒険者 :まぁな。奴もソロじゃなかったわな、相棒が一人いた。
若手冒険者C:そんじゃ、やっぱり
老冒険者 :だが、その相棒のエルフと―――確か”蒼の戦士”といったか。たった二人で火竜を狩ったそうだ。下位とはいえ竜種だ、二流2人じゃ相手取れまい?
若手冒険者ABC:……すご。
老冒険者 :もういいのか?
若手冒険者B:あ、もう少し。二つ名の由来はそれなんですか?
若手冒険者A:そういや、あんま関係なさそうだな。”蒼の戦士”の方も教えてくれよ、じいさん。
老冒険者 :由来な。まず、二つ名もどきがあったんだ。"紅の"の方は元々博識で有名でな、温厚で親しみやすかった事もあって一部の奴らに"教授"って呼ばれてた。"蒼の"は剣も槍も体術も使いこなしてはいたが、なまじなんでも使うんで剣士でも槍使いでもなんでもないただの"戦士"って揶揄されてたんだ。この頃2人はまだ二流以下と認識されてた。
若手冒険者ABC:へぇー
老冒険者 :その認識がが変わったのがターヒルでのある中規模侵攻だ。数はともかく適正ランクの高い魔物が多くてヤバいんじゃねぇかって言われてた。ところがだ、始まって早々最前線でほぼ無双してる2人がいた。一方は上位魔術で魔物を消し飛ばしながら返り血に濡れて微笑してる。もう一方は青い濃密な魔力を纏って目にもとまらぬ速さで屠っていく。味方だとわかってても怖かったもんよ。まぁコレが2人だったてぇわけだ。
この後、2人には今の二つ名が正式に与えられたんだ。まぁ紅は血の赤、蒼は魔力の青、ってこった。
若手冒険者ABC:………。
??? :(ツカツカツカ)
老冒険者 :さ、しめぇだ。お前らも名を上げたかったら働けや。…なぁ"紅の"
”紅の教授”:(クスッ)ええ、そうですね。
若手冒険者ABC:!!! 失礼しますっっ!(ダダダッ)
”紅の教授”:久しぶりに来て、自分の話を聞くことになるとは思いませんでしたよ。ショーン君…いや、オリエンタさんと呼ぶべきですかね。
老冒険者 :はっ、ホントに変わんねぇなアンタは。今頃、どうしたんだ? 冒険者に戻るのか?
”紅の教授”:シュワが現役ですから それもありでしょうが今回は新規登録する知り合いの付き添いなんですよ。
少年 :ケントさーん。終わったよー
”紅の教授”:あ、ではまた
老冒険者 :…また、か。死霊かアンデッドにでもならん限り無理だろうなぁ。
……さて、仕事だ。