ネモフィラの空
いつからだろう
人を信じるのが 怖くなってしまったのは
心にそっと 何重もの
鍵をかけるようになった
誰にも見せないように
傷つかないように
私は静かに 壁を貼ることを
覚えてしまったんだ
些細な一言 沈黙の隙間
揺れる心が また怯える
「この人といないほうが きっと自分を守れる」
そう思って またひとりきり
だけどね ネモフィラの空を見ていた
澄んだ青が そっと言ったんだ
「一人じゃないよ」って 風が歌ってた
閉じた心に 光が差していた
勝手に期待して 勝手に傷ついて
また少し 遠くへ歩いてしまう
「一人のほうが楽」って 何度も思ったのに
本当はまだ 誰かを信じたい
ただ 普通に笑っていたい
好きなことを話していたいだけ
それだけなのに それだけなのに
心はまた 鍵をかける
それでも ネモフィラの空の下
涙がこぼれても いいと思えた
誰かの隣で 静かに呼吸する
そんな日々を 夢に見ている
ネモフィラの空を 見上げた朝に
そっと一つ 鍵を外せたなら
愛されたいと願う その気持ちさえ
恥ずかしくないと 思えたんだ
ネモフィラの空
この胸の奥にも 咲いていた