39話 永劫の時間
『問題。――"復讐は何も生まない"と聞きますが、どうすれば被害者は納得する?』
掛け布団をかぶりながら隠れるように見ていたスマートフォンの画面上で、銀の仮面が出題していた。
"復讐は何も生まない"、それはいじめられ続ける毎日に嫌気が差し、咄嗟に椅子を掴んで振り上げた手を止めた男性教師が言った一言だった。
彼がいじめられている時は助けなかったくせに、自己の安全のために正当防衛として止むを得ず反撃しようとした瞬間、教師は美辞麗句を並べながらその手を掴んだ。
「暴力はダメだ」「復讐は何も生まない」「ここは我慢するんだ。進路に響くぞ」。
その目は、いじめに苦しんできた彼の思いつめた顔ではなく、傷害事件への発展を恐れ隠蔽しようと立ち回る自分の立場しか見ていなかった。
一世一代の覚悟を握りつぶされた彼は、結局またいじめられ続ける日々に逆戻り。もう一度勇気を振り絞っても、あの教師がいる限りこちらが悪いことにされる。いじめられていることは分かっているのに助けてくれないのは、それが教師の出した答えだからだと、諦めていた。
福島県生まれの青年・田村浩平は、八歳当時に被災した二〇一一年の東日本大震災の影響で家族と共に県外に引っ越していた。
初めは一時避難のつもりだった。だが福島第一原子力発電所からほど近い位置に住んでいた彼の自宅は帰宅困難区域に指定されたため、彼と家族は故郷を捨てて一からの再スタートを余儀なくされた。
親戚を頼ることも出来ず家族だけで移った新生活は、彼らにとってはとても厳しいものだった。
「おい放射能こっちくんなよ!」
「うわー白血病が伝染るー!」
転校先ではバイキンかのように遠ざけられ、あからさまに攻撃されるようになった。思い返せば馬鹿正直に福島から来ましたと言わなければ良かったと思う。四月の編入で迎えた新三年生の生活は、初っ端から地獄が始まった。
あっという間に全校生徒に知れ渡ってしまった個人情報は彼の逃げ場を完全に失わせた。転校生と言う物珍しさに向けられていた好奇の視線は、たちまち忌避の白眼視へと変わる。彼の両親もこの土地で新しい生活基盤を築こうと必死な中、また転校したいとは言い出せなかった。
異物を嫌う地域コミュニティの防衛反応によって爪弾きにされた浩平は毎日泣きながら下校した。通学時間や経済面など様々な事情によって、学区・校区・進学先がどうしても限られる状況では、小学校を卒業して中学校に進学しても、高校に進学しても、過去の出自を知る悪意ある同級生によって、平凡な生活は奪われ続けた。
諸悪の根源は、あの男。粂川直也。
あいつのせいで、小中高の十年は全部壊された。
初めはただ単に福島県出身と言うだけだったはずが、何故か根も葉もない噂を好き勝手に流布された。
田村は虫を食う変人。放課後に女子の体操着を盗み、笛を吹いただけでなく、女子トイレに忍び込んで覗きもした犯罪者。
父は前科のせいで工事現場でしか働けない。福島で親戚中から金を借りたまま踏み倒してこちらに逃げて来たろくでなし。
母はスナックで客に売春を持ちかける尻軽女。金を渡せば遊べるかもしれない、と。
事実無根の誹謗中傷に晒された浩平は、進学先にまで付きまとう面白半分の勝手極まる粂川の悪評によって小三から高三までの貴重な十年間もの青春を完全に台無しにされた。
小学校時代から高校時代まで自分をいじめて来た歴代の加害者たちの名前、顔、声、やり口。全て覚えている。
小三から高三まで散々付きまとってきた粂川のあの憎たらしい顔は取り分け記憶に深く刻まれており、たとえ同窓会で出くわしたとしても絶対に許さない。
高校時代に必死にためたバイト代と奨学金制度を利用して、避難先を捨てて浩平は更なる遠方の大学へと飛び立った。
自分を誰も知らない新たな土地で知り合った同学年の女子と交際を始めたが、大学を卒業したら結婚しようと話し合っていた矢先、彼女の家族に反対された。理由は「福島生まれだから」。
皆まで言わなかったが、放射線障害の影響・健康な子供が作れるかどうかを懸念しているようだった。彼女が一人娘だったこともあるのだろう。浩平は何度も日参して彼女の実家に頭を下げに行ったが、結婚は認められず、二人の関係は破局した。
追い打ちをかけるように、浩平の内定先が「学生時代の素行不良の旨を通達する知らせ」を理由に内定取り消しを宣告。
奨学金と生活費のためにバイトに明け暮れてはいたが、大学に入ってからは難癖を付けられるような不真面目な態度を取ったことはない。思い当たるとすれば、小中高いじめられていた間、先に卒業していった先輩が就職していたケース。個人情報や噂話は街中に広まっていたから、それを知っている人が既に勤めていた企業に、運悪く当たってしまったのだろうと、浩平は泣く泣く結論付けた。
また就活に逆戻り。大学四年の秋は就活を再開するにはあまりにも遅すぎた。
彼はエントリーシートを何十何百と必死に書きながら、その踏んだり蹴ったりとも言える暗澹たる日々の理由・原因を、あの一点に求めるように思い起こしていた。
――粂川のせいで俺はこうなった。全部あいつらのせいだ。許さない。絶対に許さない。
彼女にフラれた事はしょうがない。福島に生まれた事も事実だ。
だが、勝手な悪口と尾ひれで青春を、子どもの頃の貴重な十年間を粂川に潰されたあの恨みだけは拭えない。
逃げられない状況で心無い言葉と暴力を浴びせられたあの毎日は絶対に覆らない。
就職が暗礁に乗り上げ不眠症の気が出始めた浩平が夜中、ワンルームの自室の布団の中で見つけたのは、この狂った人生のレールに自分を乗せた元凶が○と×に向かって走る姿だった。
『第三問。――いじめはいじめられる側にも問題がある。○か×か』
奴らは、顔を見合わせると○に向かって走っていく。
映像は息遣いが聞こえてくるほどに近くまでズームし、その腹立たしい笑顔が過去のものとぴたりと重なる。
「粂川……っ!ふざけんなよ……俺が悪かったって言いてえのかよ……!」
奴らは○で生き残り、飛び跳ねながら喜ぶ。
自分たちは悪くなく、いじめられた俺が悪いと答えが出た事に、奥歯がギリリと鳴る。
「おい、どういう事だよ銀の仮面…あいつらの味方すんのかよおい……!」
それから次々に出題される問題では、銀の仮面は奴らに全面的に同意するような問いと答えを出し続けた。
――いじめを受けた人は、時間を掛ければ立ち直れる。○か×か。
――多少行き過ぎたコミュニケーションを取っても、悪気が無ければ大きな問題はない。○か×か。
――悪口やちょっかいなどを受けたからと言って、対話ではなく暴力でやり返すなどの解決は、健全な学校運営を妨げる恐れがあるため、これを行ってはならない。○か×か。
自分の人生を再び否定された気がした。
銀の仮面公式サイトのトップページに表示された【いじめ被害者救済ページ】。生中継映像を開いてみれば、それはいじめ被害者の心に塩を塗り込むような光景が繰り広げられていた。
「救済って………言ったじゃねえかよ……!」
浩平は涙で揺れるスマートフォンに毒吐いた。
粂川を含む千五百人程が十五問の○×クイズをクリアし、ハイタッチしながら喜びあっている。
自分を苦しめた奴が生き残り、のうのうと笑ってるだなんて、許せない。
今もこんなに苦しんでいるのに、奴らは俺の事を忘れて青春を謳歌している。許せない。
絶対にお前らが悪いのに俺が悪いことになってるなんて絶対に認めない。
あの時の謝罪はやっぱり嘘だったんだ。一生、許さない。
「おい…もっとやれよ銀の仮面…!」
楽し気に笑う奴らの顔に向かって声を上げる。
「何でここで終わりなんだよ…そんな奴ら全員殺しちまえよ…!」
自分の心に消えない傷をつけた奴らの憎い姿に向かって殺意が溢れる。
「納得出来ねえよ!何で生かしとくんだよ、粂川なんて死んだ方がマシなんだ!人の心を踏みにじってもなんとも思わない最低な奴らなんてこの星にいらないんだよ!他人をいじめておいて、傷付けておいて、自分だけ幸せになるなんて、おかしいだろ……っっ!」
自分一人だけの狭いワンルーム。新たな平穏な暮らしを求めて飛び出した小さな箱に涙声が響く。
「…殺してくれよ、なあ。頼むよ銀の仮面。粂川が生きてるなんて、俺耐えられないよ。なあ、お前らもそうだよなあ、なあ!?」
画面右上に表示されている同時接続者数。
一九八八四七人。
約二十万人の被害者たちがこの映像を見ている。
その中には俺と同じ、生き残った千五百人の中に恨みを今も残している人がいるに違いない。
「おかしいよ、何で簡単に人を傷つける粂川が結婚できて、俺が結婚できないんだよ…!絶対におかしいだろ…!!」
過去、自分をいじめて来たクラスメイト達の名前を時々検索して近況を探っている。あの時自分をいじめた相手が今どうしているか。出来れば不幸になっていてほしいと願いながら調べていたが、真逆の結果がちらほらと現れる。
美人と結婚して幸せそうなツーショット写真。
高スペックの彼氏から百本のバラを贈られてプロポーズされた高級ホテルからの写真。
若くして二児に恵まれたクラスメイトの子どもの写真。
等々―――。
俺の、俺たちの青春を奪っておきながら、謝罪も反省もなく、やった事を全部忘れて一人だけ幸せを手に入れようとする地獄のような光景が広がる。
浩平は大粒の涙を流しながらスマートフォンを握りしめる。
「天誅してくれよ…頼むよ!こんなんじゃ俺、先進めないよ。なあ……まだ続けられるだろ…!まだ終わってない――、終わってないんだよ…っっ!まだ、千五百人も残ってんだからよおおおお…!!!」
嗚咽が部屋中に虚しく響く。
つい先日まで傍には愛する彼女がいたが、今は浩平の背を撫で、悲しみを慰めることはない。
うずくまって子どものように泣き叫ぶ、満身創痍の浩平の恨みを晴らしてくれる者は誰もいない。
浩平たち二十万人による、続行を叫ぶ声は高まる。涙を拭いながら、終焉の気配を漂わせ始めた画面を見つめる。理不尽な暴力と謂われなき暴言にズタズタに裂かれた彼らの心は悲鳴を上げていた。
過去の出来事によって心が壊れてしまったままの者も大勢おり、彼女たちは魂の抜かれた人形のように無表情のまま無言で涙を流していた。
希望を失ってしまった彼らを助けてくれる人物は、一人もいない。
幸せを奪われた彼女たちの心の叫びは誰にも届かない。
これまでの、"現実の世界"では。
―――銀の仮面と目が合った。
まるで魂の叫びが届いたかのように、彼は両手を広げて叫んだ。
「分かりました。では、皆さんの内なる願いに応えましょう。――延長戦と参ります!」
「―――――――っっっっっっ!!!!」
日本中から、押し殺した歓喜の爆発が上がる。
同時接続している二十万の被害者と、未来に悲観し自ら命を絶った幾十万、幾百万の無念が震える音がした。
十五問の○×クイズを耐え切ったと思った千五百人は再び絶望に突き落とされ、悲鳴が上がる。
俺たちの絶望はこんなもんじゃない。もっと苦しめ。俺たちが味わった地獄をお前も味わうんだよ――!!
これから第二幕が始まる事に胸を躍らせた日本中の二十万の人々の耳に、小さいながらもはっきりと声が聞こえた。
俺たちに向かって、画面越しに銀の仮面が呟く。
『―――希望を、取り戻そう』
……最初からずっと俺たちを見てくれていたのに。疑って悪かった。銀の仮面。
「頼む…!俺たちの無念を晴らしてくれ…銀の仮面っっ……!!!」
俺たちの無念は直接奴らを燃やす炎となり、俺たちの恨みは奴らの骨まで焼き尽くす。
正義の代行者・銀の仮面は、俺たちの復讐をも代行しようとしてくれている。
【問題】
「"復讐は何も生まない"と聞きますが、どうすれば被害者は納得する?」
朝礼台の前にやって来た第五班は、高校三年生以上で構成された十人。
比率としては八人が高校卒業以上で、大学生や高卒社会人などが私服姿で多く混ざっていた。
問題文を持って来たのは、小中高十年間に渡ってある生徒を執拗に追い回し、心無い噂で退路を先回りするように断ち、悲嘆に暮れる顔に快楽を見出していたパーカー姿の男・粂川直也。
班員はそれぞれ面識はないが、数少ない成人グループであった。
その中心人物へ、上空から注がれるあの視線はレーザーのように熱く鋭く注がれている。
同様に残る九人へも強い怨念が籠った眼差しが向けられる中、シンキングタイムへ。
銀の仮面の頭上に三十秒のタイマーが現れ、一秒ずつ命の時間の削ぎ落しが始まった。
十人は張りつめた表情のまま目配せし、回答を練る。
それぞれが"あいつ"を思い浮かべながら。
どうすればあいつは納得するのか。それを考えるが、銀の仮面が用意している模範解答に当てはまるのか、全く自信が持てない。ちらほらと案は浮かぶが、芯を捉えているような手応えすら持てずにいる。
「――残り二十秒」
あっという間に十秒もの時間を浪費してしまった第五班は、慌てて一答目を口にした。
「………心の底からの謝罪…?」
「――不正解。残り二回」
「えっ!?」
粂川が思わず声を漏らす。
“心の底からの謝罪”――それが不正解だという事実に、十人の顔が一斉に曇った。ほぼ間違いなくこれが正解だと思ったがそれが誤りであると突き付けられ、彼らはあからさまに動揺した。
「――残り十秒」
最有力候補案を否定された彼らは、迫るタイムリミットに焦り、急いで二答目をひねり出した。
「あ、あ、あの……警察に行くとか。法で…取り締まって、捕まえてもらう、的な…?」
「――不正解。残り一回」
「………」
纏まらないぼんやりとした回答も、あっさりと否定される。
空気が凍り付く。彼らの中では命に代えられるくらいなら警察に捕まるのも仕方ないと、ある種の誠意のつもりだった。"今更、昔の事で捕まりたくなんかない"と言う内心も見透かされているかのように、銀の仮面はそれを跳ね除ける。
「四、三、二――」
もう五秒を切ったカウントダウンに、粂川が滑り込むように口を開いた。
「やり返す!やられた事全部やり返す!で、それには文句言わないことにする。これでどうだ!」
これまで被害者に対して続けた暴力・暴言・冷遇・誹謗中傷の全てをやり返されても、文句を言わずにそれを受け入れる。
銀の仮面ならばそれを実行するだろう事が容易に想像出来るが、死ぬよりはマシだと、やり返されても仕方ないと口にした。
銀の仮面は表情の見えないマスクの奥で小さく息を漏らし、何かを待った。
程なくして銀の仮面は小さく頷き、裁可を下す。
「――惜しい。途中までは良かったのですが、不正解。正解は『この世から綺麗さっぱり消えてなくなる』です。」
その言葉が落ちた瞬間、第五班の十人は一斉に凍りついた。
粂川は、目を見開いたまま言葉を失った。「やり返されても文句は言わない」――それが誠意だと思っていた。だが、銀の仮面はそれすらも否定した。謝罪でも、法的制裁でも、報復の受容でもない。“存在の抹消”こそが、被害者の納得に値する唯一の答えだと突きつけられたのだ。
十人の顔に、次々と異なる色が浮かぶ。
自分が消えることが正解だと聞かされ、現実感を失った者。
「そこまで言うか?」と、被害者の怒りを過剰反応と捉えようとする者。
「俺はそこまで酷いことしてない」と、過去の記憶を都合よく改竄しようとする者。
「ふざけんなよ!」と叫び、銀の仮面に詰め寄ろうとする者。
何も言えず、ただ震える者。自分の存在が不要と断じられた事実に耐えられない者等々――。
十人十色の反応に、銀の仮面は一切動じない。ただその仮面の奥にあるのは、この光景を今まさに見続けている被害者たち二十万の怨念。彼らの納得は、加害者の口先だけの軽薄な言葉では欠片程も得られない。謝罪も、反省も、贖罪も、すべて加害者の都合でしかない。謝って終わりではなく、いじめられた過去は永遠であり、その苦しみは今も未来も深く残る。
被害者が望むのは、加害者の「消滅」。同じ世界に存在することすら受け入れられない「明確な拒絶」。それだけなのだ。
銀の仮面は、静かに手を上げた。
「何もかもが全て手遅れ。謝罪も禊も、その時にしなければ意味がない。希望と未来を奪ったあなた方は、その"未来"で以て償いなさい――」
その言葉と同時に、十人の足元から黒炎が噴き上がる。
"やり返されても文句は言わない"。そう言って償うつもりだったがまだ足りない。
被害者たちの命まで奪うほどの事をした加害者たちは謝る振りして"生きようとした"。
「醜い。実に醜い」
高尚な事を言っておきながらいざ火が点くと必死になって暴れ出す。
野太い雄叫びと悲鳴が織りなす焦熱の光景。粂川は地面に転がって火を消そうとするが、全く収まる気配はない。抵抗虚しく、ものの十数秒で彼らの魂は地球上から完全に失われる。
彼らは、心の底からの謝罪と口にした。しかし被害者にとっては彼らと同じ世界に居たくないと願った。
ならば銀の仮面が取る判決は一つ。
「――あの世で十年、謝罪してもらいます」
彼らにも暴力・暴言・誹謗中傷に晒された十年をそっくりそのまま過ごさせる。しかしその十年は地球上の十年ではない。地球上の十年に相当する時間は、その世界ではたった一日しか進まない。その世界で十年を過ごすと言う事は、三千六百五十日の二乗。
つまり、三万六千五百年。
永劫の監獄の中で、己の罪を償い続けてもらう。
何の為に謝っているのか忘れるほど、自分が何をしたせいでこんな事態に陥っているのかを見失うほど、悠久の地獄に堕ちてもらう。何が悪くて謝っているのか、何故いじめられているのか分からず虐げられるしかなかった彼の辛苦を慮れば、この処遇は致し方無い。
十の炭がたちまち砂のように崩れ、風に飛ばされて虚空に消える。初めからこの場所に存在などしていなかったかのように悪しき魂の器は世界に否定された。
「本当にやり返されても文句を言わないのなら、心の底からの謝罪を望むなら、黙って大人しく正座のまま焼かれるのが筋じゃないでしょうかね。―――センセイ?」
回答待ちの列の最前列に進んできていた、この校庭に残る者の中で最高齢と思われる中年女性に水を向ける。
「そ、そういう考えもあるかもしれないわね。まったく、イヤになっちゃうわあ」
微かに声を震わせているが気取られないようにわざとらしいため息を吐き、大人の余裕を見せるかのごとく、永原恭子は右手で首元の髪を払った。
次話は明日20時投稿予定です。
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