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自由都市執政なんてなるもんじゃない、と彼は日記に書いた  作者: プロ♡パラ
第7章 フォーゲルザウゲ伯爵家編
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記録98 友好条約の破棄について


 バルバナーシュ・フォーゲルザウゲは、フォーゲルザウゲ伯爵家と自由カオラクサの友好条約の破棄を宣言した。自由カオラクサの独立以来、政治的動乱があっても両者の間に常に存在し続けていた友好条約が存在しなくなるということは、どのようなことを意味するのか? それは、無法である。法的な虚空、あるいは真空に、自由カオラクサは放り投げられたのだ。これは単に、自由カオラクサ独立以前に巻き戻されたというだけではない。それよりもさらに古い時代への逆行であり、人が人を殺し、国と国が戦争を行っていた野蛮の時代への逆行に他ならないのだ。

 フォーゲルザウゲ伯爵家との対立は自由カオラクサにとっては経済的損失を生むだけであり、向こうの要求を呑んだほうがはるかに安く済む──というような言説が、一部の市民たちの中にあるらしい。しかし、自由カオラクサ参事会は、この考え方を棄却した。仮に相手方の要求を呑んでハータ嬢の身柄を引渡したとして、また別の要求を突きつけられるだけである。相手方は、こちらの自由、財産、権利を際限なく蝕み続け、果てには自由カオラクサを併呑するつもりなのである、と。

 自由カオラクサ参事会は、ハータ・フォーゲルザウゲこそがフォーゲルザウゲ伯爵家の正統な後継者であり、バルバナーシュ・フォーゲルザウゲは簒奪者である、と決議した。

 まさに今日より、自由カオラクサは戦時体制へと移行した。直接的な戦闘がまだ発生していないだけで、いまはもう戦時である。兵の動員がすべてに優先される。市内の物資は市政府の統制を受ける。──そしてなにより、城門は閉ざされる。

 

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