表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自由都市執政なんてなるもんじゃない、と彼は日記に書いた  作者: プロ♡パラ
第7章 フォーゲルザウゲ伯爵家編
88/117

記録88 謀反について


 フォーゲルザウゲ伯爵家領邦の領都に潜伏している間諜から、信じ難い情報が入ってきた。

 ハータ・フォーゲルザウゲ伯爵令嬢が、領都にて突如その身を囚われたという。ハータ嬢は事実上のフォーゲルザウゲ伯爵家次期当主であるにも関わらずである。これは一種の謀反に違いなく、その首謀者はバルバナーシュ・フォーゲルザウゲ、つまりハータ嬢の兄にあたる男であった。

 この報せを聞いたとき、わたしは思わずハータ嬢の身を案じていた。身を囚われる、といっても、それはどの程度のものなのか。単に押し込められて軟禁されているのか、あるいは牢獄に繋がれて虐待を受けているのか……。

 人情の面を抜きにしても、この情報が事実だとすれば、自由カオラクサにとっては望ましからざる状況に違いない。聞くところによると、このバルバナーシュというのは苛烈な男であり、自由カオラクサ再併合を強く主張しているとのことだ。もしもこのまま、フォーゲルザウゲ伯爵家領邦がバルバナーシュの手に落ちるのならば、それは自由カオラクサの自由と独立が危機に瀕することに他ならないだろう。

 しかし、疑問がある。フォーゲルザウゲ伯爵家の跡目争いは、ハータ嬢が圧倒的に優勢であったのではなかったか? 劣勢であるバルバナーシュが、乾坤一擲のこの謀反を起こしたとして、それが安定的な支配体制に繋がっていくとは思えないが……。(もしかしたら、なにか後ろ盾があるのだろうか。いまこのご時世で考えられる後ろ盾となると、やはり貴族派諸侯ということになるだろうか。であれば、そこから逆算するに、ハータ嬢は貴族派諸侯から切り捨てられたということになる。まさか、彼女とわたしとの内通が原因ではあるまいな……)

 詳細は、いまだ分からない。しかし、フォーゲルザウゲ伯爵家の軍がなにか戒厳体制をとっているのと、ハータ・フォーゲルザウゲ嬢がその姿を消したというのは、確からしかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ