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自由都市執政なんてなるもんじゃない、と彼は日記に書いた  作者: プロ♡パラ
第7章 フォーゲルザウゲ伯爵家編
83/117

記録83 敵方の推計について


 貴族派による自由カオラクサへの侵攻! もしも、ハータ嬢が言っていることが本当だとしたら、この自由カオラクサは、それを挫くことができるのだろうか?

 ごく短期間で言えば、持ちこたえられるかもしれない。すでに環濠は完成しているし、城壁の改修も済ませている。しかし、貴族派の攻囲が長期間にわたるとなれば……この自由カオラクサは貴族派の絶海に浮かぶ孤島である。いずれは力尽きて、降伏に追い込まれるだろう。

 一方で、この自由カオラクサは孤立無援というわけではない。半ばその支配に組み込まれつつあるとはいえ、それだけに共和政府との同盟関係は強固である。その上、政治思想と実利の両面で共和派と貴族派が対立をしているとなれば、貴族派諸侯の軍事行動に対して、共和政府が軍を動員するであろうことは、確かなように思える。つまり、自由カオラクサ有事の際には、共和政府軍が街道を駆けあがって救援にやってくるはずなのである。

 問題は、『差』であるように思える。

 自由カオラクサが独力で防衛を維持できる日数から、共和政府軍が駆けつけてくるまでの日数を引いた数。それが正の値であれば自由カオラクサの防衛は成功だし、負の値であれば自由カオラクサは陥落だ。……この計算は、簡略化しすぎているだろうか?

 実際のところ、砦の修道会と諸王権の体制の下で長らく平和を保ち、戦争が行われてこなかったこの現在において、戦争に関する推計というのは極めて困難である。強いて言えば、大陸外への外征と帝都での革命を経験してきた共和政府軍に一日の長があるかもしれないが。

 しかし、ここで重要なのは、むしろ味方の推計というよりは、むしろ敵方の推計である。なにせ、貴族派諸侯は、彼らなりの推計をもとにして、自由カオラクサ攻囲の採否を決めるのであろうから。


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