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記録76 外部勢力との外交関係について

 目下の課題は、組合(ギルド)の男と共和政府との繋がりであると、わたしも考え始めていた。組合(ギルド)の男自体には、むしろ好感を持っているが、外部との密接な繋がりを持っているように見えるのは、なにか不安なものがあるからだ。

 確かに、参事会の老人たちにしても、それぞれの派閥が外部勢力との外交関係を有しているということはある。しかし、それはあくまで自由カオラクサの独立と発展のための外交関係であり、組合(ギルド)の男がこれまでに見せてきたような、密接な関係を持っているわけではないはずなのである。

 わたしは、以前に抱いていた懸念を思いだしていた。つまり、帝都の共和政府とこの自由カオラクサは、今の時点では同盟関係にあるが、共和政府の勢力が伸長することで、自由カオラクサの独立は、否が応でも損なわれていくのではないかという疑いである。

 さて。

 わたしはこの件について、参事会の老人たちに探りを入れてみた。補選の立候補者の一人である組合の男は、帝都の共和政府からの支援を受けているように見えるが、これについて参事会はどのようにお考えか、と。

 すると、参事会の老人たちは、こともなげに、以下のようなことを答えた──。

「あの組合(ギルド)の男と共和政府との繋がりについては、参事会は承知している。これは、参事会と共和政府の間ですでに取り交わされている話である。共和政府は、いずれオルゴニア帝国全土における民主制を画策しており、その研究の一環としてこの自由カオラクサ参事会の補選に候補者を擁立したのである。そして、参事会はそれを容認した。──重ねて言うが、これはあくまでも、同盟間で事前に協議された友好的な交流であり、侵略的な性質をもつものではない」

 こういうわけで、参事会の老人たちはあの組合(ギルド)の男と共和政府に好きにさせているようだった。

 わたしは、いまいち釈然としない気分だった。そもそも、その話を、事前にこちらにも通してほしいものである。(わたしに関わらず勝手にやっておいてほしい、という気持ちと、わたしに話を通しておいてほしい、という気持ちは両立するのものだ)


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