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記録54 本山の女学校について


「執政殿。またのお願いになるのですが」と、アデーラが切り出してきた。「ハータ・フォーゲルザウゲ伯爵令嬢がいらしている間は、わたしのことを名前では呼ばないようにしていただけますか」

「それは、きみのことをアデーラと呼びかけるなってことか。……うん? これを同じような話を前にもしたよな。確か、修道院長のときにも」

「はい、そうです。ハータ様も以前は、砦の修道会本山の女学校で学んでいらしたそうなので、念のため、わたしの名前は出さない方が、ややこしくなくて済むかと」

「……」

 すました顔をしておいて、アデーラお前はいったい本山で何をやらかしたんだ……と思ったが、なにやら怖くて気が引けて、それを本人に聞くことはできなかった。

 しかし、なるほど、本山の女学校か。

 砦の修道会の本山にある女学校は、諸王権の王侯貴族を始めとした上流階級の子女たちが、大陸各地から集まってくる学校である。本山は砦の修道会にとっての崇高な聖地であると同時に、この大陸の秩序における政治的な中心地でもあるのだ。この本山の女学校で学ぶことは、ひとりの貴女の経歴としては非常に大きな意味を持つことにある。

「……待てよ。つまり、修道院長とハータ嬢は、どちらも本山にいた経歴を持つということだよな。もしかして、その時期も近いんじゃないか? というか、もしかして同時期か?」

「そうかもしれませんね」

「そうだとしたら、二人は元から面識があったのかもしれないな。今回ハータ嬢が修道院に宿泊するといったのもその繋がりと関係している可能性もある。……なんだか、嫌な予感がするなあ」


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