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記録51 マナの流れについて


 問題というのは次々と重なっていくものだ。

 最近になって、魔術装置による帝都との通信にこまごまとした障害が頻発しているらしい。完全に通信が途絶するとまではいかないが、瞬間的に通信ができなくなったり、あるいは意図しない信号が混ざりこんだりするようになったとのことだ。

「もともとこの自由カオラクサと帝都で、長い距離を隔てているわけですからね。その経路上で、マナの流れを乱す何らかの事象があれば通信も乱れるわけです。この乱れ自体は、以前から散発的に、偶発的に発生するものでしたが、しかし、最近はそれが有意に増えているわけです。何らかの原因があるとみていいでしょう」と、特務魔術師エウラーリエはいった。

「何らかの原因というのは、作為的なものですか? たとえば、貴族派による妨害工作とか」

「断定はできませんが、その可能性もありますね。いくつかの方法が思い当たります。そもそも、自由カオラクサと帝都を結ぶ経路上の全地点を常時監視することは現実的ではありませんからね。ある程度の妨害を前提とした上で、これからの運用を計画していく必要があるでしょう」

「妨害工作によって、帝都との通信が完全に遮断されることはありえるのでしょうか」

「原理的には可能ですが、現実的にはあり得ないと思われます。つまり、マナの流れを利用した通信を完全に遮断するというのは、川の流れを完全に遮断しようとするものですからね。密やかに潜入して誰にも気づかれずにそれを達成する、というのは、実際にはあり得ないでしょう。……われわれがいま直面している問題というのは、この喩えで言えば、いたずらっ子が川の中に入って、手足をばたばた動かして流れを一時的に乱しているようなものです。流れを遮断するのと乱すのでは、まったく規模が違う話です」


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