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記録49 魔術装置について


 魔術装置による帝都からの通信が自由カオラクサの内紛を調停した件について、共和政府は大変気をよくしているようだ。これまで未定とされていた他の魔術装置の発掘計画が早々に始まることとなったらしい。即時通信というものによって、このオルゴニア帝国における影響力を強めることができると、共和政府考えているのだろう。

 一方で、帝都からの通信を受ける方の視点で考えてみれば、これはなかなか恐ろしい側面もある。帝都の影響力が強まるということは、自由カオラクサの独立が弱まるということに他ならないからだ。

 他の王権と比べると、オルゴニア帝国は伝統的に地方分権が強い。広大な国土を治めるには、そのようにならざるを得ないからだ。しかし今、魔術装置による即時通信という技術が現れた。通信の高速化というのは、疑似的な国土の圧縮に他ならないのではないだろうか? であればそれは、集権化を促進し、自由カオラクサの自治が縮小される結果を招くのではないだろうか?

 ……すべては単なる憶測だが。


 また、魔術装置に関して積極的になっているのは、共和政府だけでない。どうも貴族派の連中も、最近になって諜報活動を活発化させているようだ。

 貴族派の密偵らしき人物が黒い石碑に関する情報を集めようとしていると、あちこちから情報が上がってきている状態である。もっとも、一口に密偵といってもその質は玉石混交のようだが。

(自由カオラクサ市民というのは実にがめつい人びとであり、下手な密偵を見つけるとそれを看破し、情報料の名目で小金を強請り取ったりなどしているらしい。その挙句、散々もったいつけるくせに実際には大した情報を持ち合わせていないのだから、密偵からしたらたまったものではないだろう)

 今の時点では、この自由カオラクサにおける黒い石碑周辺の防諜体制は万全のように思える。黒い石碑の地点には出城が築かれて周囲から直接目視することは能わず、それを運用する人々も、特務魔術師エウラーリエをはじめとした、帝都からやってきた身元の確かな学者たちである。警護も抜かりはない。

 とはいえ、相手方の動きがある以上、警戒するに越したことはないだろう。



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