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記録4 自由について


 政治的な緊張、そして軍事的な緊張とは裏腹に、最近のこの自由都市カオラクサは活気があり景気も良い。何事にも複数の要因があるものだが、この好況の要因として大きいのは、やはり新しい商品が市場に現れたことだろう。つまり、もとは皇室が独占していた種々の商品作物である。香辛料や嗜好品だったり、生薬の原料だったり……。(これらを原材料とした精力剤が、献上品としてわたしの元にも贈られてきた。それを受け取った時、その場に居合わせたアデーラの視線が心なしかいつもよりも冷たかった)

 皇室が崩壊して以来、これらの商品作物の販売は実質的に自由化した。自由都市連合による共和派への支援が、さっそく実際の利得として返ってきているわけだ。無論、これだけが目的だったというわけではなかろうが、結局のところ、参事会の老人たちによる政治工作というものは、商売の一環にすぎないということだ。

 さて、『自由』。この自由カオラクサもその名に冠している『自由』。不自由であることと比べれば、自由であるということがいかに価値のあるものかが分かるだろう。

 思えば、はるか昔に、諸侯の領邦から自由都市が独立を果たしたのは、自由を求めてのことだった。そして、さらに此度、自由都市は皇帝権力による支配からの自由をも達成した。人間の歴史には、不自由から自由へと向かう方向の力が働いているのかもしれない。

 惜しむらくは、支配に対して勝利しつつあるようにもみえる自由というものが、わたし個人のもとまで届いていないことである。しかし、いずれは、わたしも自由になれるはずだ。……そう思わないことには、やってられん。

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