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記録29 魔術師について


 魔術師が扱う魔術というものは現実世界に対する狂気の投影である──という説が、非魔術師(カタギ)たちの間では定説となっている。つまり、魔術師というのは遺伝性の狂気を抱えた人間であり、現実を歪んだ形でしか認識できず、それゆえにあるべき正常な世界を歪ませるのだという。

 魔術師が世に蔓延ることは、正常な観念と認識に基づく非魔術師の世界観への侵略にほかならず、ゆえに、非魔術師(カタギ)が魔術師を迫害するのは正当な防衛であるとみなされていた。


 わたしの視点から言えば、これはいささか古めかしい考えに思える。もっといえば、これは大陸秩序の体制による一種の政治的な主張であり、実態に即していないのではなかろうか。

 たとえば、魔術師に対して強制的な去勢を行っている国々においても、非魔術師(カタギ)の両親から魔術師の子供が生まれてくるわけである。この現象について、大昔に魔術師王が大陸中の婦女を辱めたときの名残だという説明が伝統的になされていたわけだが、数理の観点で言えばこの理屈は迷信と言わざるを得ないだろう。理論的に考えれば、魔術師という存在は、外来的な侵略者などではないはずだ。

 

 ……うん? いま、ふと思い浮かんだことがある。

 非魔術師(カタギ)から魔術師が生まれうるという事実と、魔術師からは魔術師が生まれるというもう一つの事実がある。この二つの事実を合わせて考えた時、導き出されるのは、いずれこの世界は……いや、まさかね。頭を働かせすぎて、おかしくなってきたようだ。


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