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記録20 仮説について


 話によると、帝都でも黒い石碑を掘り起こしたとのことだった。こちらの黒い石碑に古代語で彫られていた通りの座標に埋まっていたらしい。

 これで一気に、帝都と自由カオラクサ間の即時通信の実現が近づいたわけだ。

 また、帝都だけでなく、この大陸各地に点在する地点にもこの通信装置が埋まっている蓋然性が高まった。だとすれば、この自由カオラクサは、単なる一商業都市にはとどまらず、大陸規模の情報網の結節点という特権的な立場を手に入れる可能性もあるだろう。


「しかし、ひとつ気になったのですが」と、わたしは定例の調査報告に来ていた特務魔術師エウラーリエに問いかけた。「どうして黒い石碑には、読める形式で説明文が書いてあるのですか? まあそのおかげで調査は滞りなく進んでいるようですが。古代語とはいえ、それは当時普通に使われていた言語ですよね。これじゃああたかも、当時のこの魔術装置を作り上げた魔術師が、部外者にもこの装置を扱えるように用意していたみたいじゃないですか」

「そうですね。これは仮説ですが」と特務魔術師エウラーリエ。「この装置はおそらく、規模からいって、数十人ほどの集団によって、分業的に制作されたものとおもわれます。分業となると、作業者がそれぞれ互いの仕事を把握する必要がありますよね。マナの制御は複雑で、入り組んでいて、説明文無しでは当時の開発者たちにとってもその動作を理解することは難しかったでしょう。そういった点で、説明文を書く必要があったのだと推測できます」

「なるほど」

「まあ、仮説ですが」


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