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記録16 市民たちの反応について


 自由カオラクサ市民からすれば、城壁のすぐ外で掘り起こされてしまった魔術装置である黒い石碑というのは、いつ暴発して街を焼き尽くすかもわからない、心配の種だったわけだ。その黒い石碑について、帝都の共和政府が調査隊を派遣してくれるというのだから、当初はむしろ、市民たちは共和政府と調査隊に対して感謝を感じていたのである。


 しかし、状況が変わってきた。

 まず、帝都からやってきた調査隊の隊長というのが、魔術師であった。その魔術師が調査を指揮し、あまつさえ自由カオラクサに対していろいろと注文を付けている。これが、市民たちの中の少なくない割合が持っている素朴な信仰心をさかなでた。(魔術師というのは本来、死に値する罪を負っているところ、非魔術師の温情によって生きながらえている存在であり、つまり魔術師は非魔術師にへりくだって奉仕しなければならないのである……なんていうのが、信心深い人たちの考えである)

 その上、調査隊は、黒い石碑を撤去するわけでもなく、その場に留め置いたうえで、何やらいじくりまわしているときた。自由カオラクサの安全のために黒い石碑をどかそうとしているのではなく、むしろその場で何らかの魔術的儀式を行うことが目的なのではないかと、市民たちが勘繰るのも無理はなかった。(そして、実際にその勘繰りはそこまで外れてもいないわけだ……)


 市民たちの不満は、巡り巡って自由都市執政であるわたしへの突き上げという形をとることもある。正直、市民たちからの支持率なんていうのはどうでもいいことであるが、各種政策の執行にまで影響があるのは勘弁してほしいところだ。


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