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自由都市執政なんてなるもんじゃない、と彼は日記に書いた  作者: プロ♡パラ
第7章 フォーゲルザウゲ伯爵家編
100/100

記録100 懸念について


 この状況下では伝令を使うのも一苦労であろうから、そういう点で言えば魔術装置による帝都との通信を利用できるのは幸いである。

 さて。

 自由カオラクサがフォーゲルザウゲ伯爵家との(名目上の)戦争状態に入ったため、同盟相手である帝都の共和政府と、今後の軍事行動についての確認を行っているのだが……どうも、自由カオラクサにとってはあまり喜ばしくないようばかリが聞こえてくる。

 つまり、もしも自由カオラクサが敵方の軍隊に包囲されたのなら共和政府の軍は街道を駆けあがって助太刀に参る! と、共和政府はもともと言っていたわけだ。これは書面でも取り交わしている。しかし、最近になって、貴族派諸侯がより広い範囲での兵の動員を行った。共和政府はそれに応じて軍をより広く展開し……つまり、その分だけ、自由カオラクサのために割ける兵の数が少なくなった、というのだ。

 それは話が違うじゃないか! と、わたしは心の中で叫んだ。契約違反だ、嘘つきだ、と相手を罵ってやりたかった。(無論、それは心の中で押し止められたが……)

 まあ、共和政府の言い分も、分からないではない。実際に、現状の自由カオラクサが存亡の危機に立たされているわけでもないからだろう。それに、共和政府の軍が広く展開することは、反対に貴族派諸侯の軍にも広く展開することを強いており、その意味では、フォーゲルザウゲ伯爵家領邦軍への援軍を削いでいる、と言えなくもないだろう。

 しかし、やはりこの一連の流れから感じるのは、帝都の共和政府はこの自由カオラクサのことを、対等な同盟関係と思っていないのではないかという懸念である。いうなれば、事実上の下部組織として扱われているように思えてならない。

 誇り高き自由都市の人間としては、不本意この上ない話である。軽んじられることほど、不愉快なことはないのだから。


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