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0096・薬物の村ケーシー




 テオッソ町の北にある村に飛んできた。この村の名前はケーシーというらしい。この村に夜の間に飛んできたのには理由がある。それは薬物関係と売春などもあり、この村には殆ど女しかいないのだ。


 男が7人ほどに対し、女が40人も居る。そしてその内の一人が<堕落の園>の首魁だ。名前などはいちいち聞いていない。何故ならトップの女はここの村長をやっているからだ。家も大きいものなので簡単に分かる。


 村の外にヒッポグリフの姿で降り立ったミクは、即座に百足の姿になって村に入っていく。そのまま真っ直ぐ一番大きな屋敷まで行き、窓から中に侵入する。そのまま気配を頼りに進むと、二階の一番大きい部屋で寝ている女が居た。


 その女に近付き、素早く脳に触手を突き刺して支配する。尋問すると<堕落の園>の首魁だったので一応情報を聞きだしておき、終わったら脳に直接<幸福薬>をブチ込む。少量なので壊れたりはしない。


 そのまま触手で洗脳を仕掛け、終わったら触手を抜く。この女に施した洗脳は、神からの啓示と善行でのエクスタシーだ。


 神からの啓示を受けた”設定”で善行を行う事に疑問を感じさせず、善行を行うと心が絶頂するというものとなっている。それを続ければ、ますます善行を続けていくだろう。自分の快楽と脳内麻薬の為に。


 なんでこんな変な洗脳をしたかというと、<善の神>と<性愛の神>が指示してきたからである。神からの命令であれば仕方がない。そう思いながら面倒ではあるが、村人全員に洗脳を施してから屋根の上で寝た。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 次の日。屋根の上で起動したミクは何かが焼ける匂いと、焦げ臭さを感じた。すぐに小鳥の姿に変わり飛んで行くと、薬物畑を派手に燃やしている一団が居る。彼ら彼女らは、薬物を燃やしながら神を賛美し絶頂していた。


 ある意味ジャンキーより危ない集団が出来上がったが、ミクは薬物の原料が無くなりそうだなとしか思っていない。快楽を感じないので、現在の村人の異常性があまり理解できていないのだ。仕方がない事ではあるが……。


 ここは放っておいても大丈夫そうだと思ったミクは、村の外で女性形態になると服を着ていく。ヴァルも出てきたが、こちらも特に思うところは無いようだ。本質的には肉塊側なヴァルである。


 服を着終わったミクはヴァルに乗って出発した。テオッソ町から南西にポイ村があり、その南にカブル村、レット町とある。情報収集するものの特に無し、レット町から南東に行く。


 ソンヌ村、ウェイ村、東にアクル村、そしてローミャの町に戻ってきた。どうやら一周できたようだ。しかし特に盗賊なども居なかった。居たのはガラの悪い冒険者ぐらいで、叩きのめせば大人しくなる程度である。


 そんな事を考えながらローミャの町に入り宿を取った。前回と同じ宿だが何かを言われる事も無く、食堂に行き夕食を食べた後、宿の部屋に戻って分体を停止。朝まで暇を潰すのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 次の日からも再び盗賊などの事を聞いて行くが、特に噂が無い。そのまま進んで行き三日目。王都前にあるジュイル町の手前で、襲われている馬車を発見。助けても良いものか分からないので、ミクは大声で聞いてみた。



 「おーい!! そこの襲われてる馬車ーーっ!! 助けても大丈夫ーーー?」


 「すまん!! 加勢を頼む!!!」



 馬車を守っている騎士っぽいのから頼まれると同時に、盗賊の一部がこちらにきた。ミクを見て好色な顔を浮かべていないので、コイツらは唯の盗賊ではないと理解する。素早くメイスと鉈を抜いたミクは蹂躙していった。


 襲ってきた盗賊の頭をカチ割っていき、半分以下まで減らすとリーダーっぽいのが笛を吹く。すると逃げ出したが、ミクにとっては遅すぎる。追いかけて頭をカチ割り、首に鉈を叩き付けていく。


 逃げているのに追いつかれ、仲間が殺される事で焦る盗賊モドキ。最後の一人になった時、ミクはメイスを足に投げつけて右足を破壊した。転がって痛みに絶叫する襲撃者のリーダーっぽい男。


 ミクは鉈で左足のアキレス腱を切り、メイスを回収すると引き摺っていく。連れてくると馬車の護衛が剣を抜くが、中から女性の声がして剣を仕舞う。馬車の扉が開き、出てきた女性は美しいのだろう。本来は。


 顔の半分がドス黒くなっており、人前に晒せる顔ではなかった。ミクは気にせず【清潔】の魔法で血を落としている。



 「おい! この方を何方どなただと思っている! 頭を下げろ!!」


 「私は冒険者。冒険者に貴族と平民のルールは適用されない。それに救われて感謝もしない奴は、その程度と思うだけ。そこの女性は何も言ってないけど、お前はそれを証明した」


 「グッ!?」


 「申し訳ありません。私はクロードリエ・ヴィウム・ヨーンステイ。この国の第一王女です。そちらは?」


 「私は冒険者のミク。ランクは10だね。これが登録証」


 「まあ、鉄のプレート。初めて見ましたけど、登録証とはこういう物なのですね。それにしても、ランク10を超えている方は実力者揃いと聞いた事がありますが、真だったのだと分かります。本当にお強かった」


 「うん? まあ……。それより何で顔が真っ黒なの? 何というか、黒よりもドス黒い感じだけど」


 「キサマッ!! 何たる事を殿下「お止めなさい」に対して」


 「それも覚悟して馬車から出てきたのです。これは13歳の頃に、とある方から嫉妬で受けた……そうです。呪いだったのですが治る事も無く。既に24にもなりましたが、これでは嫁ぐ事も出来ません。普段は仮面で顔を隠しているのですが……」


 「失礼します。……このように、先ほどの者から襲撃された際に仮面が割れてしまいまして……」


 「ふーん。あっ、そうだ。コイツ尋問するの忘れてた」



 ミクはそう言い、生かしておいた男の頭に掌を置く。そこから触手を突き刺し、いつも通り脳を操ったら喋らせる。



 「お前は何処の誰? 所属は? 何故馬車を襲った?」


 「私はオコードイ伯爵家の兵士長。馬車を襲ったのはご息女の復讐だ。オコードイ伯爵のご息女は確かに呪いを掛けたが、第一王女が生まれねば呪いなど掛けていない。そう伯爵は思っている。だからこその復讐だ」


 「何だと、キサマッ!! 殿下をなぐぅぉっ!!」


 「五月蝿い、喋るな、黙れ」



 ミクから凄まじいまでのプレッシャーが放たれる。ようやくここに居る者達は、冒険者ランク10以上が<魔窟>と呼ばれる意味を理解した。尚、ミクに鳩尾を蹴り上げられた者は脂汗を滲ませながら苦悶している。


 他にも色々聞いた後、ミクはスティレットで心臓を突き刺して殺害。死体を捨てていく。流石にこの状況では食べられないので、泣く泣く諦めた。



 「あー……とりあえずコレ飲んで。ああ、信用できないなら飲まなくてもいい。私にとっては、どうでもいい話でしかないから」


 「えっと、これを飲めばいいのですね。分かりました」


 「「「「「「姫っ!?」」」」」」



 至極あっさりと第一王女はミクが出したガラス瓶の液体を飲んだ。そしてガラス瓶を取り落とすも、それはミクがキャッチする。第一王女は顔を押さえて呻いているが、どうやら激痛が走っているらしい。


 苦しんだ時間は短かったものの、本人にとっては耐え難いほどの苦痛だったろう。騎士の奴等が剣をミクに振り回しているが、何一つとして当たっていない。そんな中、痛みが無くなった王女が顔を上げると側仕えが仰天する。



 「姫様!! 顔の呪いが無くなってございます!!」


 「えっ? ………冗談?」


 「いえ、本当の事でございます!! 姫様のお美しい顔が、全て若き頃のように……! ああ! 姫様!!」



 それを聞き、慌てて後ろを振り返った騎士達と、それを隙と見たミク。彼等がミクに対して剣を振るったのは事実であり、反撃は当然である。


 結果として、鏡を見て歓喜の涙を流す第一王女と側仕え達。そして苦悶の表情で耐える騎士達に分かれた。


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