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0057・ダンジョン30層




 ロディアスは依頼内容を言ったらすぐに帰って行った。ゼルダが夕食を勧めたものの、帰って妻と食事がしたいと言ってあっさりだ。あれがロディアスの日常らしいので、何も言わないミクとヴァル。


 愛妻家という者を二人は理解したようだが、あれだけで決めるのはちょっと違う気もするのだが……。


 夕食後、寝室に行くと今日もゼルダがついていくる。最早いつも通りの事となりつつも、今日は話が先だった。どうやらミクがドラゴンの所まで行く事はバレていたらしい。



 「別に何を言われようと行くんだけど、二人は連れて行かないよ。言葉は悪いけど、二人が来ると助けなきゃいけなくなるからさ。私とヴァルだけなら何とでもなるしね」


 『そうだな。俺と主だけなら肉体が焼き尽くされようが特に問題は無い。すぐに肉で再生できるし、俺は主から魔力を貰えばいいだけだ。正直に言うと気を使わないで済むだけ楽なんだよ』


 「アドアがついてきた試験でも、私達はアドアに合わせて移動してたくらいだしさ。まあ、アドアの体力が割とあったから楽だったけど……。それでも話に聞くドラゴンと戦うのに、気を使いながら戦うのもね」


 「それもそうかー……。久しぶりに暴れたかったんだけど、ミクに気を使わせてしまうなら仕方ないわね。昇華草は全て処理し終わったから、ちょっと暇になってるのよ。ウチは店員とか雇ってるから私が出る必要無いし」


 「私は近くの森に行ったりして、狩りの練習だな。【スキル】も使わなければなまる。それと同じで鍛えておく必要がある。今のところはミクについていけという神命しか出ていないので、気楽ではあるがな」



 そんな話の後でいつも通りの事があり、さっさと終わらせて体を停止するミクとヴァル。面倒ではあるものの、さっさと終わらせるコツを掴んだ二人だった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 翌日。朝も早くから盛況なダンジョンにミクも向かう。周りから見られているが気にもせず歩き、さっさとダンジョンに転移した。下卑た視線を向けていた連中は我先にと追いかけるが、転移した先には既にミクは居ない。


 ミクは現在大きくなたヴァルに乗り、一気に進んでいる。アドアと共に歩いて進んでいた時に比べれば5倍以上の速度で移動中だ。草原や荒地なのだから当たり前とも言えるが、10層以降は速度も落ちるだろう。


 さっさと10層に着いたミクは、昨日とは違って最速でブチ殺したら先へと進む。一切の慈悲も無く最速であった為、骨で穴だらけにされたゴブリン達。ダンジョンに作られたとはいえ、御愁傷様としか言えない光景であった。


 11~15層の森も、16~19層の石壁通路も突破し、20層のグランドベアと戦う。今度は素早く触手で麻痺毒を注入し、身動きが出来ないようにしてから倒す。


 二頭のグランドベアは昨日手に入れたアイテムバッグに収納し、残りの一頭は即死毒を使ってみた。最初は何も起きなかったので失敗かとも思ったが、みるみる体がドス黒くなって死亡。


 この実験結果はミクにとって良くなかった。体が変色するという事は、毒を盛った事がバレる事を意味する。この毒は使い時を選ぶ必要がある事を確認出来ただけ良かったのだろう。そう前向きに考える事にした。


 21層は山の斜面なので、洞窟になっている部分を探して移動する二人。特徴も無い場所が多いので、今居る所が分からない。脱出用の魔法陣に行き、そこから真っ直ぐ山へ向かうミクとヴァル。これが迷わずに進む方法らしい。


 ローネに聞いた通りに洞窟があったので、中の魔法陣から次の層へと進む。22層からも同じ方法で進み、遂に目的の26層へとやって来た。ちなみに罠だが、ミクは全て【罠発見】のスキルで感知出来ている。


 おそらく【罠発見】で感知出来ないのは下手だからだろう。でなければミクが全て回避している理由に説明がつかない。実際、ミクは【罠発見】のみで回避しているので、それだけで回避出来るのは事実だ。


 案外教えていないだけで、ガルディアスは【罠発見】のスキルを持っているのかもしれない。そんな事を考えつつ二人はアーマートータスを探していく。数は多くないそうなので地道に探すしかないだろう。



 「おっ、発見! いやー簡単に見つかって良かったよ。それじゃあ、さっさと倒しちゃおう。【深衝強撃ショックスマッシュ】!」



 すると威力が高かったのか甲羅ごと叩き潰してしまい、あえなく失敗に終わる。依頼は甲羅を一枚丸ごとだ。割れていたり欠けていたりしてはダメな以上、もう一匹探す必要がある。内部に衝撃を炸裂させるものの、それにも限度があったようだ。


 ミクは溜息を吐きながらアーマートータスを喰らい、次の一匹を探して歩き出すのだった。気配を頼りに探していると、突然右から攻撃される。慌てて回避するものの、出てきたのはゴーレムだった。


 どうやら生物ではない為【気配察知】に反応しなかったらしい。仕方なく【魔力察知】を行うと、それなりに魔力の濃い存在を発見した。気配が無く魔力の濃い部分がゴーレムの位置なので、分からない訳ではないらしい。


 胸を撫で下ろしつつ【深衝強撃ショックスマッシュ】で倒すと、中のゴーレムコアごと叩き潰してしまい、売れる所が無くなる事が判明した。


 色々な意味で使えないスキルに格下げされてしまう【深衝強撃ショックスマッシュ】。人前以外で使う事はもうあるまい。


 その後に出てきたゴーレムは怪物の規格外パワーで砕きながら倒していく。こちらの方がスキルも使わなくてよく楽なので、何の為にスキルがあるのか分からなくなるミクだった。


 まあ、スキルは脆弱な人間種の為にあるもので、怪物の為にある訳ではない。その怪物がスキルも使い熟すのだから手に負えない訳だが、汚物を抹殺する神命にはそれぐらいの力が要るのだろう。


 そうしているとアーマートータスを見つけたので近付き、噛みつきに来た首を鉈で落とした。残念ながら反応速度は怪物の方が遥かに速い。なので噛み付かれる前に首を落とせてしまう。回避の必要すらない。


 倒したアーマートータスの血を指の先から吸い出して飲んでいく。次に右腕を肉塊に変えて本体に送り、本体は綺麗に解体した甲羅だけを送ってきた。それをアイテムバッグに収納する分体。あっさりと依頼達成である。



 『依頼も終わったし、このまま一気にドラゴンまで行くか?』


 「そうだね。適当に進路上のを倒しながら行こうか」



 そのまま言葉通り一気に進んだミクとヴァルは、30層の大扉の前で作戦会議をしていた。この層には現在誰も居ない。それはミクが各種スキルで確認している。【気配察知】【魔力察知】【精神感知】【魂魄感知】【存在探知】。


 この五つの【スキル】を使用し、隠蔽されていても発見できる状態で誰も居ないのを確認した。なので遠慮無くヴァルも喋れるし会話も出来る。現在、ヴァルは男性形態になって装備を確認中だ。



 『一応はバルディッシュもウォーハンマーも持っておくが、メインは弓矢になりそうだな。流石に鋼製の武器がドラゴンに通用するとは思えんし、ロディアス達も魔剣や魔槍で戦ったと聞いている』


 「それは仕方ないよ。私の鉈やメイスは近接戦闘用で、中距離~遠距離用じゃないし。最悪は肉体を変化させて倒せば済むし、生きたまま貪り喰えば倒せるよ。その場合は素材が手に入らないけどね」


 『今後の事を考えたら、ドラゴンの素材は幾つか欲しいところだな。それで何がしかの長柄武器を主は作るべきだ。解体用の武器がいいのは分かるが、言い訳用の武器が要るだろう?』


 「そうだね。面倒ならハルバードとかグレートソードでいいよ。叩きつければいいだけだしさ。最悪、適当な長い柄に鉈でも付ければいいでしょ」


 『流石にそれは適当過ぎないか? それに長柄に分厚い剣を付けた武器があったんじゃなかったか?』


 「そういうのは古くからあったらしいね。確か矛とか<戦いの神>が言ってたかな? 面倒くさいから、それで決定」


 『まあ、主がそれでいいなら良いけどな。俺も言い訳できればと思っただけだし』



 主従揃って適当な気はするが、それでも言い訳できる武器を用意するだけマシなのだろう。


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