表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
488/500

0481・再び攻めてきた青狼族




 あれから10日。既に結構な大きさの穴になってきた露天鉱床。大きく螺旋を描くように掘り進めており、ぐるっと回っていくような形で採掘場所へと出入りしなければいけなくなっている。


 既に白鱗族の建物はミクが作った圧縮ブロックで補強されており、よく分からない泥? でくっつけられたらしい。レイラもゼルも興味が無かったのか詳しくは聞かなかったようだ。まあ、ミクも興味は無いのだが。


 今日も鉱石掘りなのだが、そろそろ一度開拓村の方に帰らなければいけなくなっている。どうもバルハーマが言うには、ブラックホークの出張所が出来るらしいので、職員が来たら知っている情報を話してほしいそうだ。


 流石に向こうを放っているミクとしては責任を多少感じなくもないので、そろそろ一旦戻ろうかと考えている。ミクが作った石の圧縮ブロック板に魔法陣を記しておいたので、白鱗族の村にそれを置いていけば十分だろう。


 魔法の基礎自体は叩き込んだらしいので、後は自分で練習を続けていくだけだ。そんな事を思いつつ今日も採掘していたのだが、村の方に30ほどの気配が近付いているのが分かる。北西の方から来たっぽいので、おそらく青狼族だろう。


 どうやらまた攻めてきたようだが懲りない連中である。そう思っているもののミクは動かない。何故ならレイラとゼルが村に居るし、レイラから【念話】が来ているのだ。ミクが動く必要は無いと。なので採掘を続けるミクであった。



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 (早く家の中に避難しなさい! 青狼族が攻めてきたみたいだから、早く家に入るのよ!! 特に子供を抱えている人は早く!)



 ゼルと私が声をかける事で慌てて家の中に入っているわ。まあ、この【想念思話】のスキルなら思念で広げられるから、声を出すより速く伝わる。こういう時には助かるんだけど、そもそも青狼族は何をしに来たのかしら?。


 おそらくは襲いに来たのでしょうけど、ここ最近は青狼族の村の人数も減っていた筈よね? 私や主の感知範囲には青狼族の村も入っているのよ。最初に来た奴等も白鱗族も森に住むって言ってたけど、青狼族って厳密には森に住んでないの。


 あれらは森と山の境界線に住んでいて、実は白鱗族が普通に攻められるのよ。知らないからでしょうけど、青狼族って洞窟に住んでるから攻めても問題ないわ。まあ、いちいち私達も教えないのだけど。



 (貴方達も速く家の中に入りなさい。もうすぐここに青狼族の連中がやってくるわ。戦いは私達に任せておきなさい、流石にあの程度は相手にもならないしね)


 (私達だって魔法を教えてもらったのだから戦えます! 狼どもを私達の魔法で吹っ飛ばして倒してやる!!)


 (そうです! 狩りの大人達が居なくなった隙を狙うような連中、私達の手で倒してやるんだから!!)



 あらら、これは止まりそうにないわねえ。子供は子供なりに頑張ろうとするし、許せない敵である以上は戦おうとするわよねえ。私としては最近数が減ってるのが気になるのよ、青狼族の数が。


 蜘蛛の魔物がどうとか言ってたけど、もしかしてそいつに喰われてる? それとも別の魔物に殺されてるのかしら? その辺りがちょっと分からないのよね。……っと、ようやく来たみたいだけど。



 (ここの鱗どもを皆殺しにして、全て奪うのだ!! でなければ我等が生きていけぬ! 皆の者、死力を尽くせ!! 今が存亡の機ぞ!!!)


 ((((((((((うぉぉーーーっ!!!!!))))))))))



 青狼族の言葉はよく分からないけど、思念で内容が分かるから助かるわね。青狼族は自分達の思念に戸惑ってるけど。そんな連中に先制攻撃とばかりに、私達が教えた子供達が魔法を撃っていく。


 【風弾ウィンドバレット】と【岩弾ロックバレット】だけど、魔力消費が違うのよねえ。【岩弾ロックバレット】はそれなりに消費するんだけど、この辺りには土が碌に無いから【土弾アースバレット】は使えないし。


 魔法を使っている子達を守る形で居るけれど、白鱗族の若者達は頑張って戦ってるわね。予想以上に優秀かしら? それでも傷付いて倒れているけど、ゼルが【治癒魔法】を使ってあげてるから死んではいないわね。


 っと、危ない。矢が飛んできてたけど、子供達に当てさせる気はないわよ。私達が介入しても良い事にはならないから介入は最小限にしてるけど、泥仕合のような戦いになってるわねえ。


 あら? 狩りに行った連中が戻ってきたみたい。こうなると白鱗族の方が有利なんだけど、先ほど声を上げていた相手のリーダーを殺されると困るから介入しようかしら。


 気配を消して背後に回り………首を絞める!! 後ろから突然体当たりし、倒したところで一気に首を絞めただけなんだけど、思っている以上に上手く嵌まったわ。後は気絶するまで絞め続けるだけ……はい、終わり。


 他のも片付いたみたいだから、こいつから話を聞きましょうか。急に来たのも気になるし。



 (お前達が急に攻めてきたのは何故? 存亡の機とか言っていた以上は、何かしらの理由がある筈。それを答えなさい)


 (森の西から恐怖の魔物が攻めてきた。我等は必死に抵抗しているが、為す術なく多くの同胞が喰われた。このままでは種族の存亡の危機なのだ。鱗どもの家を奪い、そこに移り住まねば耐えられぬ)


 (そんな勝手な事を許す筈が無い! お前達が喰われればいいだろうに、私達を攻めてくるな!! 他の所に行け!!)


 (((((そうだ! そうだ!)))))


 (他の所に引っ越そうと思わなかったの? 何故わざわざこちらに来るのか分からないけど、白鱗族の土地を奪えば生き残れる?)


 (分からぬ。だが、我等にはその道しかないと長老が占いによって決めた。だから我々は従う、それが掟だからだ)


 (成る程、占いのような物に従う種族だったのね、どうりで脳筋な筈よ。誰かが指針を決めて、それに従うだけの種族なら考える事をしないでしょうね。そして自分で考えないから馬鹿みたいな者が上の身分になっていく)


 (後は愚か者だらけの種族になるという事かの? 我等のように合議で決めて居るのかと思えば、古臭い占いとやらで決めておるとは……。こやつらも哀れじゃの。我等は祖先が占いを捨てたからのう、当たらんと言って)


 (私達からすれば、占いなんて物に種族の将来を託すなんて絶対にあり得ないけどね。そんな物はまやかしだと2000年以上前から分かっている事よ。今さらの話でしかないわ。知り合い全員に聞いても、バカバカしいとしか言わないでしょうね)


 (ゼルの仲間は横に置いておくとして、それよりもコイツらを喰う怪物に対処しないといけないわ。そもそも岩山に来ないという保証が無いもの。場合によっては白鱗族でさえ移住しなきゃいけないかもしれないわ)


 (ぬう……確かにそれはあるかもしれん。我等としては当然動く気など無いが、とはいえ皆の命には替えられぬ。移住する事も考えねばならぬか……)


 (住み慣れた地を追われる事に忸怩じくじたる思いはあるでしょうけど、ここに留まって全滅というのは最悪だからね。そうなるくらいなら移住した方が良いわ。とにかく最悪を回避するのが先よ)


 (それにしても、コイツらだって今まで生きてきてる筈よね? 蜘蛛の魔物がどうとか言ってたけど……。急に別の強力な魔物に襲われたのかしら?)



 それはそれで何があったのか気になるわね。とりあえず詳しい話を聞きましょうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ