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0476・山の白鱗族




 生命反応が固まっている場所へと向かって歩いていくミク達。この星の原住民が居るとすれば果たしてどのような民族なのか? そういった話をしつつ近付いていくと、突然矢が飛んできた。


 先頭を歩くミクに向かって飛んできたものの、そんな矢に当たるようなミクではなく、あっさりとキャッチし飛んできた方向を見る。すると、岩場の影からリザードマンが現れた。


 本当に見た目はリザードマンであり、蜥蜴とかげのような顔に鱗塗れの背中、更には長めの尻尾まで。二足歩行のリザードマンそのものとも言える。剣と盾を持つリザードマンが前に出て、ミク達に大声で話しかけてきた。



 「OMAETATIHANANIMODANAZEKOKOHEKITASOREIJOUSAKIHESUSUMUNARAYOUSYAWOSENZO」


 「んー………あれってリザードマン語? 何言っているかサッパリ分からないんだけど……仕方ない。【念話】の一種である【想念思話】を使うしかないか」


 (これで何を言ってるか分かると思うんだけど、こっちの言ってる事が分かる?)


 (何!? これはいったい何だ!? いったい誰の声なのだこれは!!!)


 (私だよ私、目の前の知らない奴。今、手を振ってるでしょ? それが私であり、これは【想念思話】という特殊なスキルだよ。それを使って言葉が通じない相手と意思疎通を図ってるわけ。で、そっちは何?)


 「そっちは何だと? それは我々の科白せりふだ。お前達こそいったい何だ、何をしに来た!? 事と次第によっては容赦をせんぞ!! 逃げるならば見逃してやるから、今の内に去れ!」


 (私達はこの山を調べに来ただけだよ。どんな魔物が居るのか、どういう種類の魔物が居るのか。有用なものが居れば狩って帰るくらいかな? とりあえず調べてる最中だから帰るって事はないね)


 (ほう、ならば我等白鱗族は容赦をせぬぞ! 貴様らは山を荒らす者として始末する!!)


 (この世は弱肉強食。弱ければ喰われて死ぬしかない。それを分かっていて喧嘩を売ってくるんだね? ならば、こちらも容赦はしない)


 (ホザくな、侵略者が!!!)


 「皆、戦闘準備! あの原住民、白鱗族とかいうらしいけど、あいつらが襲ってくる!! 連射銃を使って! とりあえずは殺さずに済ませる!!」


 「「了解!」」



 当たり前の事であるが、弓矢と銃では比較にならない程の差がある。そんな事は銃を知っている者からすれば当たり前の事なのだが、知らない者にとってはよく分からない棒か筒のような物である。


 ミク達が取り出した物を見て鼻で笑っていた白鱗族であったが、連射される【風弾ウィンドバレット】でボコボコにされ、すぐに気を失う事となった。ミクは蜘蛛の糸を束ねたロープを取り出して手足を縛り、敵対した5人を引き摺っていく。


 近くに集落があるのは分かっていたので、そこまで引き摺っていくと、集落の中からワラワラと沢山の白鱗族が出てきた。女性っぽい胸の膨らみがある者ばかりなので、どうやら男性は狩りなどに出ているようだ。


 喧嘩を売ってきた5人を引き摺って見せると、奥に居た年寄りとおぼしき者が前へと出てきた。



 「SONATATATIHAITTASINANIMONODEARUKANAWAKASYUUGATAORETEORUNOHSAITTAKOYATUARANIHAMIMAWARIWOSASETEIYAHAZU」


 (相変わらず何を言ってるか分からないから【想念思話】を使わせてもらうよ。これ使わないとそっちと意思疎通が図れないからさ。私はミク、この山へは魔物を探すのと獲物を獲りにきた。その為の調べ物をしていたら矢を射かけられたって訳)


 (ふむ。よう分からぬが考えただけで会話が出来るとは便利なものだ。それはともかくとして、そなたらは我等を襲いに来た訳ではないのだな? とはいえ、あまり山の恵みを奪われても困るのだが……)


 (言いたい事は分かるんだけど、それならそうと話してくれないとね。一方的に矢を射かけるって事は殺し合いにしかならないんだけど? こいつら話の前に矢を射ってきたからさ、それだと殺し合いになるよねえ)


 (何という事を。せめて話し合うが先であろうに、それで叩き潰され命も奪われなかったとは。手加減された証であり、白鱗族の恥にしかならんわ)


 (私達は連射銃を持ってるんだし、しか……あれ? 私の考えまで送られてる?)


 (少なくとも【想念思話】の範囲は使用者が決められるからね。今はそこの長老っぽいの、私、ゼル、レイラの四人の想念は広がるようにしてある。双方向のみとか色々出来るよ。その分、使い熟すのは難しいんだけどね)


 (それはそうでしょうよ。ともかく、私は黙っておくわ。会話に参加してもいい事なさそうだし)


 (了解、了解。まあ、とりあえず私達はこの山の魔物を調べにきただけだよ。それ以外にどうこうとは……って、またか。私達には当たらないのに懲りないねえ)


 (あれは北の見回りに行った者どもか……そなたら止めい! 話し合いの最中に矢を射かける阿呆がおるか!! 白鱗族として恥を晒すのは止めよ!!)


 (何を言っている長老! 敵を目の前にして戦わぬなど戦士のする事ではない! それに、そやつらは狼どもの手先であろう! 今すぐ我等の剣の錆びにしてくれるわ!!)



 新たに現れた七人は血気盛んに騒いでいるが、長老と他の女性達は冷めた目を向けている。わざわざ落ち着いて話し合いをしていたにも関わらず蒸し返したのだ、愚か者と思われるのも当然だろう。


 最早考える必要も無く、ミク達の連射銃でフルボッコにされたバカども。面倒なのでロープを解き、阿呆どもを長老に渡すのだった。



 (こいつらもそうだけど弱過ぎて警戒するに値しないから返すよ。何と言うかバカバカしくてさ。こんな弱いのに調子に乗るんだから、呆れて物も言いたくなくなる)


 (本当ねえ。こいつら世の広さというものを全く知らないみたい。あの<宇宙一決定戦>ですら予選で敗退するわよ、この程度なら。あまりにも弱過ぎて情けなく思わないのかしら?)


 (集落の中では強いんじゃないの? 知らないけど。世の広さを知らずに調子に乗るマヌケなんて、世の中に山ほどいるしね。こいつらもそういう有象無象の一人でしかないわ)



 散々に三人に扱き下ろされているが、その所為か益々冷めた目を向ける女性達。流石に自分達の立場を理解したのか、今は大人しくしている。



 (すまんの。この村には140名ほど生きておるのだが、こやつらは見回りの連中なのだ。見回りは若い者の仕事での、ベテランは狩りに行って獲物を獲っておる。クソ山羊でも獲れたらいいのじゃが……)


 (クソ山羊って、あの調子に乗って見下してきた山羊の事かな? 割と大きな体で角が大きくないヤツ)


 (そうじゃ。あのクソ山羊めは自分が優位だと挑発してくる癖に、不利になるとすぐに逃げるのだ。弓矢を見てもすぐに逃げるのでな、昔から蛇蝎だかつの如く嫌われておる。だが、肉が美味いので余計に腹立たしい)


 (ふーん。まあボコボコにしたのもあるし、良かったら渡そうか? こっちに喧嘩を売ってきたから首を落としてやったんだよ。上から石を蹴り落としてきたけど当たらなかったからさ、バカにしてやったら怒ってね。突進してきたよ)


 (何とまあ、あのクソ山羊が逆にバカにされたのか。これは面白い! おお、なんじゃ!? その珍妙な物の中から山羊の死体が出てくるとは!)



 珍妙と言われたので、どうやら白鱗族にはアイテムバッグは無いようである。そんな事も情報として得ていくミクであった。


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