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0472・堀の拡張と夜間の木材集め




 <ワイルドドッグ>の面々の家を後にしたミクは、ウキウキした女性三人とすれ違いながらルーダイト達の小屋へ行く。こちらは既に復帰していたらしいが、疲れ果てていた。どうやらつい先ほど復帰したらしく、苦しみの辛さでダウンしているのだ。


 気にせずミクは食事を出し、二人に食べさせていく。ゆっくりとだが食事をとっていき、少しずつだが回復してきたようだ。顔色は疲れ果てたような顔をしているが、苦しみはもう無い。その事に心底安堵していた。



 「もういやよ、この苦しみは人に耐えられるものじゃないわ。魔力枯渇でも苦しいのに、その比じゃない! 冗談でも何でもなく私はゴメンよ!」


 「心配しなくても後二回、ちゃんと壊してあげるから諦めなよ。ここに居る以上は容赦しないし、これから先役に立ってもらう為にも壊すから。そもそも私が教えてたクーエル青年だって二度壊してるんだよ? 泣き言を言わない」


 「シャレになってないのよ? この苦しみ。こんな事を三日も続けられたら精神が壊れるわ、間違いなく」


 「それはないわ。私だって数百年前に5回目を壊した筈だけど、何の問題も無かったもの。確かに地獄の苦しみだけど、耐えられない訳じゃないし壊れたりしないわ。その程度で壊れるほど人間種の精神はヤワじゃないわよ。だからこそ大変なんだけど」


 「諦めろ、エイリーダ。少し魔力を使ってみたが明らかに今までと違う、研究の為にも魔力と闘気の器を壊す必要があるのは間違いない。今までよりも細かい部分まで分かるようになっている」


 「…………はぁ、嫌になってくるわね。ここまで感覚が変わっているなら、今まで以上の物が作れるわ。あーもう! 諦めるしかないじゃないの」


 「まあまあ。少しだけど精力剤をあげるから、これ飲んでゆっくりしてるといいよ。早く寝た方がいいけど、少しぐらいなら大丈夫でしょ。それじゃ」



 そう言ってミク達は小屋を後にし、自分達の小屋へと戻る。ゆっくりと食事をするのだが、お腹を空かせていたのか豪快にガブガブ飲んでいるロック。少し心配しているティムも唐揚げを食べ始めると夢中になった。


 香辛料もあったので今回の唐揚げはしっかりと下味が付いている。なので今までよりも美味しいのだろう。そんな食事も終えて今はのんびりとしている。


 ロックは既に寝てしまっており、その横で寝転がっているティムも既に半分以上眠りかけている。ゼルは既に本体空間へと送られたし、ミクとレイラは情報収集をしている。主に魔物の生態や利用法についてだ。


 ゼルを転送して寝かせた頃にはティムも寝ていたので、分体を停止して後は色々作っていくミクであった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 明けて翌日。ルーダイトとエイリーダの二人を連れて五人の家に行き、朝食をとりつつ今日の予定を話す。昨日の深夜にソムデオートも器の修復が終わったらしく、朝起きた時には気分は回復していたらしい。なので今日の作業に参加させる。


 今日の作業は村の東側の堀を埋めて拡張するお仕事だ。ついでに魔力を使用して鍛えるのと、土を運んで埋める身体強化となる。既に猫車とかスコップとかは用意してあるので、存分に土木工事を頑張ってもらおう。


 ゲンナリした顔をしている女性陣を連れて外へ出たミク達は、村の外の堀を東側に伸ばしていく。【土魔法】の【落穴】を使って堀を掘り、要らない土砂は【土球アースボール】で埋める場所へと飛ばしていく。


 それらを繰り返し、予定の堀を掘り終えたら昼食にする。軽めの昼食を食べ終えたら、次は既存の堀を埋める作業だ。こちらは身体強化を行いつつドンドンと埋めていき、上から木のハンマーで叩いて固めていく。これもミクが作っておいた物となる。


 本当に土木工事にしか見えないが、体を鍛えるという意味では悪くない。身体強化は筋肉の強さに比例するので、鍛えた体であればある程に強化される。つまり大した事の無い体では、大して強化されない。そういった事も知識として教えていく。


 皆頑張っているからか汗を掻いているが、体力的にはそこまで疲れていない。身体強化の御蔭で疲れにくい状態になっており、それが維持されているからだ。七人も驚いているが、身体強化とはこういうものである。


 午後からも精力的に働いた結果、堀を新しく掘るのと、既存の堀の埋め戻しは一日で終わった。明日は柵を設置するお仕事だ。そこまでやれば、少なくともある程度の安全は担保されるだろう。


 <ワイルドドッグ>の家に戻り、夕食を食べつつソムデオードに聞く。流石にそろそろ話しておかないといけない。駄目なら断らないといけないし、今日は苦しんでいる訳でもないのでストレートに受け止める必要がある。



 「う……む。特に問題は無いと思う、おそらくだが……。何と言うか、もっと早くに出会えていたらと思わなくはない。そういう女性だ」


 「そう。なら精力剤を渡しておくから飲んでおいて。私は幾らでもこの薬が作り出せるから、遠慮する事はないよ。それと、この村の女性達は貪欲だから搾り取ってくる。気をつけるようにね」


 「そうそう。あればあるだけ搾り取るから早めにギブアップした方がいいわよ。もちろん一回だと怒るでしょうから何回かは必要だけど」


 「姉さん。アタシ達はどうすればいいんだい? ヴァルはいないし、色々キツいんだけど? 昨日までは苦しかったからそんな気分にならなかったけど、今日は色々と溜まってるし……」


 「ならミクにしてもらえば良いじゃない、私だってそうだし。今さら気にするような間柄じゃないでしょ?」


 「とりあえずルーダイトとエイリーダにも媚薬と精力剤を渡しておくけど、その容器は持って行かずに返してね」


 「了解、了解。やっと苦しみも無くなったし、昨日の夜以上に楽しめるわ。昨夜は何だかんだと言ってそこまで楽しめなくて、苦しさも残ってたから寝ちゃったのよ。ようやくよ、ようやく」



 ミク達は家を後にし、自分達の小屋へと戻る。ロックは母乳を飲んで既に寝ている為、ティムにも飲ませて寝かせた。昨日は飲ませてなかったが、一日くらいなら問題もないだろう。


 その後、両腕を肉塊にして三人を飲み込んだミクは、昨日と同じく情報収集をしていく。今日も魔物の生態や食べられる部位に、解体の上手なやり方などの動画を見ながら学ぶ。


 大満足して痙攣しているメイリョーズとカラマントを転送し、ベッドに寝かせていく。ゼルは本体空間に寝かせておき、ミクとレイラはムカデになって外へと出る。目的は明日作る柵の為の木材だ。


 南の森に着いたミクとレイラは、不必要な木を引っこ抜き本体へと転送していく。本体は丸太にした後で【乾燥】させて、すぐに使えるように加工をする。一時的に本体空間に保管するが、後で拡張した場所に出す予定だ。


 根ごと引っこ抜いた際に地面の下からミミズの魔物が現れたが、襲ってくる事も無く潜ったので放置した。襲って来ないものまで殺す気は無いし、今はそれよりも木を集めなくてはならない二人。


 興味が無い訳ではないが二重の意味でスルーを決めて、必要な木材を集めていく。人の手がまったく入っていないからか、乱雑に生えているのを整理しつつ抜いていると、妙な魔物が襲い掛かってきた。


 噛み付かれたものの、それだけで他には何も無い。見たところ、どうやらモグラのようだ。爪で攻撃してくるでもなく、何故か噛み付かれたものの、そもそも牙が食い込んでもいない。


 まったく効いていない事が分かったのだろう。モグラはそっと離れて地面に潜っていった。殺そうと思えば殺せるのだが、面倒だったミクは放置し木を引っこ抜いて行く。


 色々な魔物が居る惑星だなーと、モグラを思い出しながら種類の豊富さに関心するのだった。


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