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0423・探索一日目の結果




 三人はそれぞれ調べ物をしているが、その間に本体もやるべき事をやっている。それは何かと言うとゼルの武器作りだ。白魔銀や紫魔鉄はまだまだ余っているので、連射銃や各バズーカ、それに槍や短剣などを作成している。


 短めの槍の方がいい為、迷ったものの全長220センチの槍とした。穂先は45センチで笹穂型。切る事も突く事も考慮したのは【光槍術】がよく分からないからだ。まあ、おそらくは光魔法を組み合わせたものだろうと考えている。


 他に必要な物はそもそも自前で持っているので問題無し。窓から夕日が見えてきたので情報収集を止め、寝ている連中を起こして酒場へ。適当に注文して席に座り、雑談をしながら待つ。


 周囲を見ると、首のドッグタグがバラバラなのが分かった。どうやらこの惑星では傭兵組織の事は棚に上げて、個人としてチームを組んでいるみたいだ。もちろんミク達のように、一つの傭兵組織で固まっている者達も居る。


 見渡してみると、それなりにクーロンの傭兵が多いのだが、ミク達に気付いていないらしい。もしくは気付いていも殺されるだけだから手を出して来ないのか。どうなのかは分からないが、喧嘩を売ってこないならどうでもいいとスルーするミク。


 食事を終えて宿に戻ると、再びバカな四人が盛ってきたので返り討ちにし、さっさと寝かせると分体を停止。朝まで暇を潰すのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 次の日の朝。ゼルに完成している武器を渡してから酒場へ。朝食を食べたらジャングルへと進むのだが、第一ベースの狙い目は南東らしい。そちらの方角にはグリーンディアーや、グレイボーアが出るようだ。


 この星では獣系の魔物が多い為、肉は豊富に出回る。それを乾燥させたり冷凍させたりして、宇宙船で他の星に運ぶのだ。つまり、肉も十分な値段で買い取ってくれる。とはいえこの星での死者は多く、それらの多くは不意打ちが原因だ


 この星は森林惑星であり、大半は鬱蒼としたジャングルとなる。当然ながら木々の陰や足下など、非常に死角が多い。目の前からグリーンディアーが突進してくると思ったら、足下からブラウンスネークが襲ってくる。


 上下からの攻撃を防ぐのは難しく、毒を受ければそれだけで死亡率は跳ね上がる。まあ、ミク達には関係無いしどうでもいい事だ。ゼルも【気配察知】ぐらいは自前で出来るらしく、問題なく対処できている。


 流石に1500年の経験は伊達ではないらしい。本人はミクがとんでもなさ過ぎて、自分の力を誇る気は欠片も無いようだが……。



 「いや、ミク相手に誇っても空しいだけでしょ? 圧倒的なまでに違いすぎるじゃない。アンノウン相手に誇ったところで、桁が違い過ぎて私がマヌケにしかならないし、そもそも神々と関わりがある時点で私以上でしょうに」


 「まあ、そうですよねえ。お姉様って尋常じゃありませんし、色々な意味で規格外な方と比べても意味がありません。勝つとか負けるとかじゃなくて、ああいう方も居るんだなーと見ているぐらいで丁度良いのだと思います」


 「いえ、貴女も十分おかしいのよ? ルーナ。自覚が無いのでしょうけど、別の宇宙の神の因子を持つってナニ? 私永く生きてきたけど、初めて知ったぐらいなの。貴女達三人とも規格外の枠に入ってるからね?」


 「「「えー……」」」


 「ミク達が居るから理解してないんでしょうけど、ね!! この星、思っている以上に魔物が多いわ。そのうえ、やたらに好戦的な気がするんだけど気のせいかしら? 天然の魔物って、もうちょっと慎重な筈」


 『やはりそう思うか? 主も俺やレイラも何かおかしいと思っている。異常なまでに好戦的だし、飢えている印象だ。普通の自然環境であれば餓死したりして適正な数まで減るんだが、ここはそれが起こっていない。そんな印象を受ける』


 「何というか、何処かから補充されてるんじゃないかと思えてくるわ。培養して放り込むなんて事をするのはイェルハムラでしょうけど、ならばこの星の魔物はクローンなのかしらね? それとも養殖かしら?」


 「技術的に養殖は可能でしょう。そこまで難しい事では無い気はします。それぞれのベースの近くに培養研究所か養殖所でもあるんですかね? まさか、間引きの為にクーロンは出張ってきている?」


 「ゼタナクトがイェルハムラに貸して、イェルハムラが魔物の養殖実験をし、クーロンが狩りという名の後始末をしている……。突拍子もない妄想だけど、無いと言い切れないのが悩ましいところね」


 「とりあえずはウロウロして、色々な物を探していくしかないね。地下施設でもあるなら、ジャングルの何処かに監視カメラとかあるかもしれない。それらも探していこうか、魔道具だから分かりやすい筈だし」



 そう言ってミク達はウロウロし始める。ジャングルの中でも迷う事無く移動し、魔物を倒しアイテムバッグに収納しつつ怪しい場所を探す。しかし見つからず、昼になったので一旦戻る。


 魔物を売って酒場に行き、昼食を頼んで話を始めていく。内容は午後からどうするかだ。



 「午前中は南東だったけど、そっち方面には今のところ何も見つかってない。狙い目は南東って情報だけど、隠したい物があるから南東という情報を出してるのか、それとも戦闘などを監視する為に南東と言っているのか……」


 「どっちにしても拠点は南東に無いって事ですか? ……ああ。怪しい物が南東に有るのか無いのかですか。どうなんでしょうね……戦闘を監視するのであれば、何らかの情報収集をしてるって事になりますけど?」


 「その場合は養殖か作った魔物を、傭兵にけしかけてるって事になりますよ? まあ、養殖云々の話自体に根拠が無いのですが、それよりも原点に戻って怪しい物探しですね」


 「ええ。今のところは何も見つかってません。それなりに速く移動している私達の探索範囲は広い筈なんですけどね。それでも見つからないとなれば方角が違うのでしょうか? それとも第一ベースの周りには無い?」


 「その可能性も十分にあるでしょうね。そもそも発着場が近いし、そんな所で悪さしてバレたら逃げられるかもしれないわ。悪事を働くなら遠い所かしら? とはいえ、今は第一ベース周辺を虱潰しらみつぶしにするしかないわね」



 昼食を食べつつ方針を確認したミク達は、今度は反対の北西に向かってみる。こちらにも多少は傭兵がおり、戦闘も行われているようだ。そんな中、それぞれがスキルなどを使いながら怪しい物を探していく。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 結局この日は空振りに終わり、第一ベースへと戻ってきたミク達は、魔物を売った後で宿の部屋を確保する。その後は酒場へと行って夕食に。酒と食事を注文したら、適当な雑談を始める。



 「それにしてもジャングルの地形って厄介ねえ。予想以上に上下から狙われるし、途中で鳥まで襲ってきたわよ。その分、儲けたし良かったんだけどさ。狩りをしてる方が体を売るより儲かるのが何とも言えないわ」


 「そういえばギャンブルで借金を作ってしまい、体を売ってらしたのでしたね。何故そんな事をされていたのです? 流石に駄目な事ぐらい分かると思いますけど」


 「体にガタが来ていて自棄になっていたのは確かね。古い時代に大怪我を負い、その所為で子宮を失ったの。子供なんて20人以上産んで育ててきたけど、無くなると喪失感が凄かったわ。それからね、自分を犠牲にし始めたのは」


 「その結果が、あの機械と魔道具だらけの体ですか? 女性として分からなくもないですが……いえ、子供を産んだ事の無い者が言う事ではありませんね」


 「それもあるけれど、人によって違うわよ。私の場合は後からきたわね。最初は子供なんてもういいと思ってたけど、時間が経てば経つ程にね、耐えられなくなっていったの。交わりを求めたのも、もう妊娠出来ないからよ。それは自覚できていたわ、多分」


 「多分ですか? ああ、今は元通りに戻ったから冷静だという事ですね。言葉は悪いですけど、それって永い間おかしくなっていたと言えるのでは?」


 「そうよ。その当時は……おかしくなっている自覚は有るようで無かったのだと思う」



 酒の席の話としては暗いので、もうちょっと明るい話題をお願いしたいところである。


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