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0041・二人への報告とロキド山脈へ




 「えっと、どういう事だい? いきなり言われても意味が分からないんだけど……」


 「詳しく言うと、昨日路上で急に妾にしてやるとか言われたから、豚と言って馬鹿にした。そしたら尾行してきたんで宿に泊まり、ヴァルを鳥にしてゼルダに報告。そしたら抹殺しろと言われたんで、まず侵入者を捕縛」


 「本来はゼルダの屋敷に泊まる予定だったのだが、襲わせる為に急遽宿に泊まった訳だ。そして侵入者をミクが操り尋問した結果、商国の諜報員だと分かった。そいつらはロキド山脈に秘密のルートを開拓していたぞ」


 「は? ロキド山脈!? あんな所を越えてきたって言うのかい? 仮に事実だとしたら滅茶苦茶な事をするなぁ……。命が幾つあっても足りないぞ」


 「聞き出したが、確かにやってやれなくはないルートだ。少数精鋭なら突破出来る可能性は高い。諜報員も全員【気配隠蔽】は使えたしな。そうやって越えてきたんだろう。一度越えれば、後は魔鳥便などを使えばいい」


 「確かに。それなら本国と連絡はとれるだろうね。しっかし、面倒な事をしてくれるなあ。狙いは我が国じゃなくて魔導国の気がするんだけど……。我が国に諜報員は送れても軍は送れない。となると、答えは一つしかないよね?」


 「ああ。実際に諜報員も言っていた。魔導国を陥とす為に、王国と魔導国を争わせるとな。そして王国側は気付いていないとも言っていたが、私達というかミクに暴かれて表に出ている。コレをどうする?」


 「どうするって……懇意にしているマルヴェント侯爵に伝えるしかないね。あそこの一派は国を守る気概のある人達だから、あそこしかないよ。それでも他の派閥のバカどもに足を引っ張られてるけど」


 「私は王国がどうなろうが知った事ではないが、商国や神聖国のような所に支配されては困るのでな、協力ぐらいならばする。一応言っておくが、使徒が一国に肩入れする事は無いぞ?」


 「まあ、そうなんだろうね。依頼して請けてくれるだけマシさ。ところで聞き出した証言はどれぐらい正しそうなんだい? そこを聞いておかないと動けない」


 「全て正しい。ミクが諜報員の脳に触手を突き刺して、無理矢理正しい事しか喋れなくしていた。更に、それを聞いていた他の諜報員の反応を見ても。間違いは無いとハッキリ言えるくらいだ」


 「………いやいやいや、脳に触手を突き刺すってナニ? それって聞いていいの? 何かスッゴク嫌な予感がするんだけど!」


 「別に問題無い。クベリオの町でもやったし、呪いで喋れない奴も無理矢理に喋らせる事が可能。脳を私が強制的に支配しているから、相手は意識も無く喋る。自分の意思で喋ってる訳じゃ無いから、呪いも反応しない」


 「怖っ!? 脳を支配って、それ相手を操るって事でしょ!? ……えっ、相手を自在に操れるの?」


 「自由自在は無理。どうしてもゾンビっぽくなる。だから見た目と雰囲気で怪しいってなるから、そこまで使えるものじゃない。精々、相手の情報を根こそぎ奪えるくらい。ただし、こっちが質問した事のみ」


 「あー……つまり相手が知ってても、気を利かせて喋ってくれる訳じゃないって事ね。それでも凄い事に変わりはないんだけどさ。………それって喋らせた後、元に戻す事は出来る? 何の問題も無いように」


 「??? ……そもそも脳に触手を突き刺しても死にはしないし、狂ったりはしない。一時的に私が支配しているだけ。触手を抜けば元に戻る。まあ、私はその後に食べるから、戻して放置した事は無いけど」


 「ふんふん。成る程、分かった。もしかしたらミクの力を借りる事になるかもしれないけど、その時は適当な内容の依頼にするから受けてもらえると助かるよ。無いに越した事はないんだけどね」


 「そうだな。それよりも、ミクの試験はどうなる? 長く掛かるのであれば、私達はロキド山脈に行きたいのだがな。奴等の開拓したルートの確認と、出来るならば破壊しておきたい」


 「それはお願いしたいね。試験に関しては、最初の実力試験は受けられるよ。先に受けておくかい? 他の試験は色々調べないといけないし、予約してるのが5人しかいないんだ。掛かるコストを考えると10人集まるまで試験は無理だね」


 「なら実力試験だけ受けて、それからゼルダの屋敷に行こうか?」


 「りょーかい」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 実力試験に関しては、秒で試験官をボコって終わらせた。想定していたのは人質の居る状況。ギルドの受付嬢を人質にとっている形で試験が始まったが、一瞬で近付いてフルボッコにした。


 試験官が「それでは人質を危険に晒す」と言ったが、ミクは危険なんて無いと主張。再び試験をするも、試験官は秒でボコられた。何をやっても勝てないし、どうにも出来ない試験官はミクを合格にする。


 それを見ていた野次馬もロディアスも顔が引き攣っていた。人質の安全を担保する為に交渉するのではなく、反応出来ない速さで犯人を殺す。実現できるならそれが最良だろうが、本当に出来る奴が居ると何とも言えなくなるのだろう。


 あっさり試験を合格したミクは、ゼルダの屋敷へと歩いて行く。ローネとこれからの予定を話しながら移動し、ゼルダの屋敷に行き守衛に話してメイドを呼んでもらう。中に入った三人は、ゼルダの元に案内された。



 「おかえり。昨日はヴァルが来てすぐに居なくなったけど、上手く殺せた? ミクの事だから問題は無かったと思うんだけれど、逃げられる可能性も無い訳じゃないしね」


 「何の問題も無く殺したよ。屋敷までは鼠で行ったんだけど、誰も気付かなかったね。屋敷に侵入する時は百足で入って、脳を操って喋らせたら、脳を喰い荒らして殺してから転送した」


 「「百足………」」



 想像したんだろう、ブルッと震えてから考えるのを止めたようだ。なら最初からしなければいいと思うのだが、それは駄目なのだろうか? その話の後、開拓ルートの話になってロキド山脈の事も伝える。



 「まさか、あんな所を越えるルートを開拓したなんてね。その執念に驚くけれど、それぐらい魔導国の攻略は進んでないという事ね。商国が魔導国に様々な調略を仕掛けているのは有名な話しだし」


 「そうだな。だからこそ、商国からの調略に慣れていない王国を狙ってきたのだろう。王国と接している国は魔導国と商国しかないからな。商国はロキド山脈で隔てられているので、実質は魔導国だけだ」


 「そのうえ魔導国とは昔から持ちつ持たれつで歩んできた。まあ、王国は肥沃な土地が多く、魔導国は魔物が強いからか質の良い魔石が多い。昔から食料と魔石の取引は活発だからね」


 「ああ。魔導国も農業の大変さは知っているからな、大規模農業に慣れていない以上は手を出そうとはせん。まあ、肥沃な土地でも楽ではないからな。魔物を狩って魔石を取る方が楽だろう」


 「さっきから色々話しているけど、諸々の理由でロキド山脈に行ってくる。昇華草っていうのは採ってくるから」


 「あっ!? ちょっと待って! アイテムバッグを持って行ってちょうだい。出来るだけ沢山、でも採り過ぎないようにお願いね。それでローネなんだけど……」


 「悪いが私もミクと一緒に行く。奴等の開拓ルートが潰せるならば、今の内に潰しておきたい。こちらの諜報員が居なくなった事はいずれバレる。再び送り込まれる前に使えなくしておきたい」


 「ああ、成る程ね。分かったわ、二人とも気をつけて。そこまで不穏じゃないけど、商国がここまで手を出してくる事って無かったから、余裕を見せていると足を掬われるかもしれない。まあ、ミクなら掬われても問題無いでしょうけど」



 二人はゼルダに挨拶をして彼女の屋敷を出た。まずは食堂に行き、大銅貨4枚を支払って昼食を食べる。相変わらず美しい所作とマナーで食べるミク。それと変わらないローネ。


 美女二人は注目されながらも食事を済ませ、王都を出発した。少し離れてから大きくなったヴァルに乗って進んで行く。目指すのは北のクオノ町だ。そこへ三人は向かっていく。


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