0408・S19での襲撃
色々リゾートの映像を楽しみつつゆっくりとしている。今は雪の降るリゾートで、滑ったりジャンプしたりしている映像だ。ヤマト皇国に居た頃にスマコンで見た事がある、スキージャンプというのを自分でやっているかのような映像が流れている。
壁や床や天井の映像も動くので、面白いと言えば面白い。そんなリゾートの映像を見ていると、ルーナがベッドに寝ているミクにしなだれかかってきた。ただ、性欲というよりは甘えているだけらしい。他の2人もそれぞれに甘えている。
結局この日は交わる事もなく、三人娘は各々に甘えたまま眠っていた。全員裸ではあるものの、健全で何よりである。
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翌朝、スッキリと目覚めたらしい三人娘と共にチェックアウト。食堂に行って朝食を食べたら、SW12を出てS14へと移動していく。蜘蛛の巣状に広がっていると言えばいいか、中心都市から網目状に町が広がっているが、必ずしもそうとは限っていない。
それがS19だ。S14以降は真っ直ぐ南にしか町がなく、斜めの区域に町は無い。とはいえ、そちらの方に道が伸びていない訳ではなく、その辺りは鉱区となっているだけだ。特にS14からS19までは優秀な鉱区なので、万が一にも奪われては困るのだろう。
特に元々は独占権利者だった筈のギャルタム家だ。特殊金属をリョースナに奪われている事すら腹立たしいのは想像に難くない。そんな事を考えつつS14に到着したミク達は、そのままS15へと移動していく。
まだまだ昼には随分早いので、ここで止まっても無駄に時間を使うだけである。どのみち仕事の関係上S19までは行かねばならないのだから、早く行って休んだ方が体にとっても心にとっても良いだろう。
S15で昼食を食べて休憩したら、S16へと出発する。到着したものの、そのままスルーしてS17へ。到着したものの、流石にこれ以上は移動も大変なので宿をとる。今日は普通のホテルなので三人部屋をとり、部屋で少し休む。
ミク達は何の問題も無いが、三人娘は移動だけだったので体を動かさないといけない。なので本体空間へと送り、ちょっとした運動をさせる。そこまで厳しくはないが、それなりに体を動かせたようなのでスッキリしたらしい。
ホテルの部屋に戻ってきたら夕方だったので夕食へ。食堂に行って夕食を食べたら宿に戻って休む。今日もゆっくりかと思ったら、昨日とは一転、既に妖しい目をしていた。「こいつら変わらないな」と思いながらも、さっさと撃沈するミク達。
大満足して寝ている三人に呆れつつ、ミク達は分体を停止するのだった。
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次の日。さっさと起動したミクは三人娘を起こし、チェックアウトしたら食堂へと移動。朝食を食べたらS17を出発して南へと進む。魔導二輪に乗って快調に進む六人だが、妙に車両が多いのが気になっていた。
今までは斜めに移動してきたから少なかった? ……そんな事は無いと思うが、この辺りは優良な鉱区が多いので左右に外れる道もある、その所為で通行が多いのだろうか? そんな事を考えながら進むも、ミク達の側よりS17方面への道に車両が多い。
………もしかして、と少し思うところが出来たミクは二人に指示する。
(私達の側より、隣の反対車線の方が車両が多いって事は逃げて来てる可能性がある。もしかしたらS19が奪われたのかもしれない。一旦S18のブラックホークの出張所に寄るよ)
((了解))
本体空間での話を終え、ミク達は急いでS18へと移動する。到着したS18でブラックホークの出張所に行き話を聞くと、案の定S19が奪われたという情報を聞く。奪われたのは今日の朝であり、夜中に強襲されて大混乱したらしい。
今でも混乱中であり、詳しい情報が全く入って来ないそうなので、奪われた以外は分からないのが正直なところのようだ。
ミクは出張所から出てS19への道へ行く。検問所の人が注意してくれたもののブラックホークの傭兵である事と、S19に行く仕事をギャルタム家から請けている事を話すと、納得して通してくれた。
ミク達は魔導二輪で走って行くが、流石にS19を奪ったばかりでは碌な備えは出来ていないらしい。バリケードも何も無い中を走り抜けていく。向こうから来る車両が全くないという事は、イェルハムラかクーロンが移動を禁じているのだろうか?。
そう思いながら走っていると、前方にMASが二機待ち構えていた。今日の朝S19を取って、すぐにS18への道に配備する? ……ちょっとした奇妙さを感じながらも、ミク達は縦一列になって前方へと走る。
MAS二機が砲を撃ってきたが、その魔法は【魔力投槍】だった。かつてCB27惑星で見たあの砲だ。新型の可能性も考えて、三人の【魔力盾】で逸らしたと見せかけて突っ込む。
ミクが真っ直ぐ前へと行き、ヴァルが右のMASへ、レイラが左のMASへと向かう。そして至近距離から【爆音衝撃】を使う事で中の人物を気絶させる事に成功。コックピットをこじ明けて中の者を引きずり出す。
クーロンの傭兵など興味も無いのでさっさと首を刎ね、ミクは砲を検分していく。どこかに外せる場所がある筈なので、そこから綺麗に外して収納したいのだ。お金の事ではなく、取り外すなら綺麗に取り外したいだけである。
ミクは色々調べ、コックピットの中に続いている配線などを辿り、そこから綺麗に外していく。代わりに機体は壊されているが、オーダーは新型の砲なので良いだろう。この砲が新型かどうかは分からないが、ヴァルとレイラに見せてやり方を覚えてもらう。
作業の間は三人娘が周囲の警戒をし、外し終わったらアイテムバッグへと仕舞う。機体は適当に置いておき、ミク達はS19へと移動を開始した。
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何故かその後は何事も無く移動でき、S19へと辿り着いた。何故わざわざMAS二機の為だけに通行を禁じたのか分からないが、S19に来たミク達はブラックホークの出張所へと行く。中に入ると誰も居らず、ガランとしていた。
一人も居ないとはどういう事だと悩みながらも、何かの痕跡がないか調べつつ二階へと上がる。三人娘には一階の捜索を頼み、ミク達が二階の所長室に入って執務机に近付くと、突如としてガスが噴出し部屋を覆い尽くした。
ミクはすぐに睡眠ガスだと察知し、アイテムバッグを肉の中に収納した。ヴァルとレイラも収納した直後、ブラックホークの出張所へ砲撃が加えられ大きく建物が揺れる。慌てて三人娘が外へ出ると、クーロンの傭兵が大量に四方八方から攻めてくるのが見えた。
更にMASも四機見える為、慌てて傭兵を切り殺しながら身体強化で離れる三人。ミク達がどうなったか分からないが、今はブラックホークの出張所から逃げ出すのだった。
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こちらはミク達。睡眠ガスという事はミク達を殺す気は無いのだと判断したものの、正しかったのかどうか考えていると、突如としてクーロンの傭兵が入ってきた。そのクーロンの傭兵はいきなりミク達の両腕両足に魔法銃を撃ち、その後は担いで外へと連れ出す。
睡眠ガスで寝ているフリをしているが、随分容赦の無い連中だ。寝ているフリでも寝ていても、普通は痛みで飛び起きると思うが……? それとも起きる事が無いほどの強力な睡眠ガスを使っているのだろうか?。
ミク達は気にせず寝たフリをし、クーロンに運ばれていくのだった。……久しぶりの状況にワクワクしながら。




