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0401・SW10奪還作戦05




 ルーナは薙刀を使い遠心力で相手の頭を叩き割り、近くの敵は短く持って素早く突く。【魔力盾マジックシールド】で敵の魔法銃から放たれる魔法を逸らし、回転させた石突で股間を打ち上げる。上手く戦っているものの、先程よりは殲滅速度が少し遅い。


 とはいえ少しだけであるのは、敵の急所を突かなくてもよく叩き割れるからだ。身体強化込みの武器である為、薙刀といっても刃は分厚い。にも関わらず軽々と扱い、敵の頭をカチ割り、首を薙いで切り飛ばしていく。


 ヘルは変わらず相手の喉を穿ち、首を切りつけて相手を失血死させていく。セイランは頭をカチ割りつつ、向けてくる魔法銃ごと体当たりで転倒させていく。その者達は正気に戻った後ろのブラックホークの傭兵達が次々に殺していく。


 三人娘から指示された通り、武具を剥いだ敵傭兵を肉の盾に使いつつ前進していくブラックホーク。相手から多くの罵倒が飛んでくるが、テンションの上がっているブラックホークの傭兵達は聞く耳を持たない。本当の意味で戦争となっていた。


 三人娘が戦線をドンドン押し上げていくからだろう、後ろのブラックホークの傭兵達はついていくので精一杯だ。それでも戦線を押し上げていき完全に突破したからだろう、今度は反転して後ろから敵傭兵を襲い始める。


 敵は前門にブラックホークの傭兵、後門に三人娘。この二つに挟まれて身動きがとれなくなっていた。大昔の戦争なら死兵になる事もあるが、魔法銃全盛の時代に死兵になる根性のある者など多くない。大半の者は動く事もできず、殺されるのを待つだけであった。


 敵を殲滅し終わった三人娘は<黒い風>の面々の所に行くが、そこには捕まったバーコードハゲ達を囲んで悩んでいる傭兵達が見える。三人は近づいて何を悩んでいるのか聞くのだった。



 「敵の殲滅は終わりましたけど、いったい何を悩んでいるのですか? そこのバーコードハゲの事で悩んでいるようですが……」


 「こいつらを捕まえてはいるんだけど、縄とか持ってないし、どうしたものかと困っているのよ。このままSW10に突入すると、こいつら絶対に隙をみて逃げ出すでしょう? だからどうすればいいのか困っているって訳。どこまでも迷惑を掛けてくれる連中よ」


 「だったらこうすればいいじゃないですか。コレが一番簡単な解決法ですよ」



 ルーナはそう言って、バーコードハゲの両腕の腱と両足の腱を切り、【上位治癒ハイヒール】で傷だけを癒す。当然ながら腱は切れたままなので両腕両足を動かす事は出来ない。



 「これで身動きはとれません。どのみち末路は処刑なんですから、両腕両足が動かなくても何の問題もありません。<奇妙なオブジェ>になるよりマシでしょう。……してほしいなら、してあげますが?」


 「「「「「「………」」」」」」



 バーコードハゲを始め、裏切り者六人は首を左右に振るだけで一言も発さない。「もう終わりだ」と言っておきながら、殺される事は嫌らしい。覚悟の無い連中だ。ルーナはそう思っているが、ミクに毒され過ぎである。


 そのルーナと同じくヘルとセイランも、淡々と残り五人の両腕両足の腱を切って治療する。あっと言う間に膝で動くしかない連中の完成だ。適当に魔導四輪に放り込んでおき、見張りをつければ問題無いだろう。



 「逃げられても問題ありません。その時にはお姉様が動くのと、逃がした連中の全ての指を切り落とすだけです。ですので死んでも逃がさないようにお願いしますね?」


 「「「「「ハッ!! お任せを!!!」」」」」



 ルーナの「ニコッ」とした笑顔が猛烈に怖かったのだろう、誰も彼もが一切の異論を挟まなかった。<やはり暴力は全てを解決する>………訳ではないが、必要な時には暴力を示すべきであろう。直立不動なのだから。


 完全に従順な連中を見てジト目を向ける<黒い風>の面々。自分達だって三人娘に目をつけられたら直立不動だろうに。そう周りの連中に思われながらも、SW10への制圧作戦を話していく。



 「制圧はそこまで難しくはないわ。町の中に居る敵は全て殺す事、ただし一般人には手を出さないようにね。まあ、この星の一般人は子供の頃から教えられるから、制圧戦の時には外に出ないわ。出ると巻き添えを喰うからね」


 「では、攻撃してくる連中を手当たり次第に殺戮すればいいですね。今までと変わりませんけど、死角が多くて厄介なくらいですか……」


 「それが十分厄介かつ、その所為で結構な死者が出るのが制圧戦なんだがなぁ……ま、頼りにしてるぜ? ここまで来たら取り戻さないとな、流石に俺達の沽券に関わる」


 「私達の場合、失敗するとどんなお叱りを受けるか分からないので、ここで一気に決めておきたいですね。一週間無しと言われたら、泣いて凹む自信があります」


 「ルーナだと、この世の終わりみたいな顔をしそうですよね。まあ、私も似た様な心境かもしれませんが」


 「一週間無しってなにー? もしかしてアレ?」


 「ええ、おそらくその”アレ”です。詳細に話すとヘルとセイランが五月蝿そうなので話しませんが、泣いて凹むくらいお姉様もお兄様も上手いんですよ」


 「「へー……」」


 「その話は横に置いておきましょう。私達三人が最初に突っ込みます、それを見て皆さんはタイミングを図って入って来て下さい」


 「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」



 既に三人が指揮している気もするが、そんな事は誰もツッコまずにSW10へと向かって移動する。SW10への検問所には誰もいないので一度止まり、もう一度確認したら三人は突入していく。


 SW10の町中に入ると、三人の乗る魔導二輪に対して次々と攻撃が降り注ぐ。右手で魔導二輪のハンドルを持ってコントロールしつつ、左手で容器から魔力回復用の<天生快癒薬>を飲む。


 暢気のんきに飲み物を飲みつつ運転しているように見えるのだろう、更に攻撃が激しくなったが、ことごとく【魔力盾マジックシールド】で逸らしていく。道が魔法で抉れるが知った事ではない三人。


 そのまま町中をグルグルと走り回り敵の魔力を無駄に使わせる。そうしていると三人を狙う魔法も止んでいき、ついに全く撃たれなくなった。それを合図にブラックホークの傭兵がSW10に雪崩れ込んでくる。


 この時点で制圧戦の半分を終えていると言っても過言ではない。確かに魔法を無駄撃ちさせただけだが、そこが制圧戦で一番危険なところなのだ。この星系でも魔力が回復できる物など存在していない。


 なので魔力を使い切ると相当程度の安全が確保出来るのだ。枯渇していなくとも、敵に無駄撃ちをさせるのは有効な手段となる。それを三人でゆっくり走り回りながらやってのけたのだから、本来なら賞賛に値する行為なのだ。


 三人がここに来るまでに示した事がアレ過ぎて、正当に評価されないのは仕方ないのであろう。敵を虐殺するように倒していた方がインパクトがあるのは当然である。


 三人は未だSW10をウロウロしているが、魔法も全く飛んでこなくなったので、手近な建物に入って確認していく。このままSW10は制圧されて終わりであろう。それでも最後まで気を引き締めながら、ナイフや短剣片手に襲ってくる者を殺していく三人。


 今は閉所で扱いやすい武器に変更したルーナ。太刀とナイフを持って始末しながら、ミク達の方はどうなったのだろうと考える。こちらよりは厳しくないだろうが、何でもアリだからもう終わってたりして。


 そんな風に考えているのだが、心配は全くしていなかった。何故なら不滅の存在など心配するだけ無駄だからである。


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