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0398・SW10奪還作戦02


 0398・SW10奪還作戦02



 未だ前が詰まっていてどうにもならないルーナ達。止まっているものの何も出来ないので飽きてきたのか、魔法銃を取り出して確認をしている。取り出したのは普通の魔法銃であり、連射魔法銃ではない。アレを出す意味は今のところ無いからだ。



 「剣とか持ってるから突っ込むのかと思ったら、普通に魔法銃で戦うんだな? 俺達も砂漠惑星の過去ログ漁って読んだけど、お前さん達はまだマシなようで何よりだ。正直に行って謎の美女と呼ばれてた<解体師>の仕事は見たくねえ」


 「まあ、ミクお姉様はどうしようもありません。一番強いですし、一番容赦が無いですから。敵と認識した途端、相手をゴミのようにしか考えない方です。いきなり変わるので驚きますけど、戦いでは当たり前だとお兄様は言っておられましたね」


 「ヴァルさんもレイラさんも同じだけ容赦がありませんけどね。それでも怒り狂った際のミクさんほどでは無いでしょう。情け容赦が一切無くなるという事を越えて、相手を唯の肉としか認識しなくなりますから」


 「肉かよ……本当に怖えなぁ。それぐらいじゃねえと激戦の中生き残れねえのかもしれねえし、昔の傭兵ってのはそんなもんだったとは聞くけどさ。それぐらいじゃないと舐められるっていうのはマジなのかもなー。っと進んだな」


 「どうやらやっと前の敵を排除し終わったようですね。随分時間が掛かっていましたが、そんなに敵が多かったので、あれ? 右の列が動いていませんね?」


 「ああ。右の列が動かないのは怪我人だよ。怪我人が出たら一番右に寄せるって決まってるのさ。壁際だと襲われる可能性も減るから、傭兵組織に関係なく惑星共通の事だ。右に寄せられた奴には攻撃しないっていう暗黙の了解もある」


 「ちなみに破られた事はあるんですか?」


 「………オレが知る限り過去に二度ある。二度ともウチがやられて、非道をやったのはクーロンだ。あいつら碌でもねえよ。だからこそ、あんたらの砂漠惑星でやった事読んだ時にスカッともしたな。クーロンの奴等「ざまぁ!」ってな」



 右端を避けて進んで行くものの、チラリと見えた負傷者は腕や足を撃ち抜かれていた。どうやら【魔力盾マジックシールド】の魔道具を超えて攻撃を受けたらしい。そんな事を考えていると、またもや止まった。


 どうやらバリケードのような物で前方を塞いでいるらしく、前回もそれで手こずったようだ。負傷した者が無理に吶喊して穴を空けたらしいが、代わりに負傷したとの事だった。まだ10キロ程度しか進んでいないのにこれである。


 相手は完全に防御陣地を構築して迎え撃ってきている。これではSW10に近付くまでにどれだけの傭兵を消耗するか分からない。とはいえ、この奪還部隊を指揮しているのはルーナ達ではないので勝手な真似は出来ないのだ。



 「貴女達が前に出れば簡単に勝てるのかもしれないけど、元々は私達の力で奪還するって事になってたしね。指揮してるのもランク9の奴だしプライドもあるでしょ。前に勝手に出たって雰囲気悪くなるだけよ?」



 先ほどの男性は運転席から後部座席に移っている。魔力の温存の為に女性傭兵に交代した形だ。魔導四輪に乗っていて仲間は4人いるらしく、それで順繰りに交代しているらしい。大体の傭兵は魔力の節約の為にそうしているそうだ。



 「貴女達みたいに魔導二輪に乗っているのは少ないでしょう? 魔力に自信のある奴か、それとも魔石を潤沢に用意できる奴しか無理ね。基本的には交代で節約しながら移動するのが主流よ。町と町の距離も長いしね」


 「そうなのですか……私達としては休憩しつつ移動出来るので特に問題は無いですよ。それよりまた負傷者が出たようですけど、突破の兆しはありませんね」


 「バリケードも厚くなっていってるのかもしれないし、そうなると更に怪我人が増えそうね。とはいえ、この星の戦いってこんなものよ。所長が人数が足りないって言ってたでしょ? 基本的に防御側が有利なのよ、この星での戦争は」


 「あのようなバリケードを複数作って敵を削るからですか? 多くの負傷者が出てしまうから、一度奪われた領地はなかなか取り戻せない?」


 「そういうこと。思っている以上に多くの死傷者が出るのよ。ブラックホークはまだ負傷者で止めるけど、国の軍だと結構な死者が出るわね。だからこそ、何処の国も軍を出したがらないの」


 「自分達は命を懸けず、お金で済ませたいという事ですね? まあ、傭兵の仕事とは元々そういうものですし、国の兵がやりたがらない仕事を傭兵が肩代わりするんですしね」


 「そうそう。それで報酬もらってるのが私達である以上、迂闊に非難は出来ないのよ。私達だって仕事して食べていかなきゃいけない訳だし。それに、こういう仕事が合っている者もいるもの」


 「世の中には様々な方がおら、動き始めましたね。どうやら二つ目のバリケードも突破できたみたいです。次は三つ目ですけど、この調子で大丈夫でしょうか? 5キロ毎に設けているようですし、最低でも後六つはあると思うのですが……」


 「さあ? 流石に駄目なら三人にお呼びが掛かるんじゃないの? 今回の奪還作戦が失敗したら私達の責任だけど、指揮官が一番重い責任持つのは当たり前だからねえ。突破出来ました、でも取り返す戦力がありません。じゃ、どうにもならないし、撤退するしかなくなるもの」


 「そういえば、まだバリケードだったのを忘れてました。SW10に着いた後の方が激戦なのではありませんか? 建物の影から撃たれたりするんじゃ……」


 「よく分かってるじゃない。町の中の方が激戦よ? 流石に一般人を巻き添えにはしないけど、建物を利用しての市街戦は死角が多すぎるのよね。そんな中を移動していって敵を殲滅するの。魔導装甲を出してくる奴等も居るし」


 「それはまた……。私達で魔導装甲に勝てるかと言うと、難しいとしか言えませんね。上手く戦えば勝てるかもしれませんが……」


 「流石に魔導装甲は多くの人員で集中砲火を浴びせないと勝てないわよ。<解体師>なら勝てるのかもしれないけど普通の傭兵には絶対に無理、っと、また止まったけど……前から誰か来たわね」



 三人にも前から来ているのは見えていた。自分達に声をかけてくるかもしれないと一応構えていたが、目的は話していた魔導四輪の四人だった。



 「<黒い風>の四人は前に来てくれないか? ランク8の助けが要る。市街戦まで温存しておきたかったが、予想外に被害が大きい。すまんが来てくれ」


 「彼女達と一緒ならいいわよ。駄目ならそっちで頑張ってちょうだい。彼女達という戦力があるのに下らないプライドの方が大事なら、このまま頑張りなさいな。私達は後ろで見てるから」


 「お前………他の三人はどうなんだ!?」


 「リーダーの意見に賛成に決まってるだろ、バカバカしい。てめぇのチンケなプライドが大事なら、お前が突撃しろよ。負傷したらオレ達が代わりに指揮してやるからさ!」


 「全くだ。戦力を正しく使わず己の下らない誇りが大事なら、その誇りと共に死ねばいい」


 「私もさんせーい! いちいち面倒なのよねー、バカの相手って。それに誰かを都合よく利用して、長々と傭兵続けてきただけの奴に従う理由なんて無いしー」


 「グッ! グググググ……分かった! 貴様らも前線に来い! 使ってやる!!」


 「え、嫌ですけど? 頼まれるならまだしも「使ってやる」なんて言う人に使われる理由などありませんね。どうぞ、そちらの素晴らしい戦力で頑張って下さい。貴方の査定にどう響くかは知りませんけど」


 「お、おのれキサマら……! 調子に乗るなよ小娘が!!! キサマらの手なんぞ要らんわ!!!」



 ドスドス地面を踏みしめて去っていく髪の薄い傭兵。横から無理矢理持ってきている髪が哀愁を漂わせているが、汗でベッタリ張り付いていて汚い印象を受ける。



 「それにしても何なのでしょう、あのバーコードハゲは。同じ組織の傭兵を「使ってやる」って言いましたよね? あれは傭兵ではなく、醜い官僚か貴族のようではありませんか。自分が何を言っているのか理解して……いないのでしょうね」


 「アイツはあんなものよ。心配しなくても、後で泣きを入れてくるし査定は下がるから。金に靡いた何処かのバカがヤツをランク9にしたらしいの。ランクが9になれば、こういう時の指揮を任されたりして報酬が上がるのよね。それよりありがとう、合わせてくれて」


 「アイコンタクトがありましたからね、何となく強く拒否しておいた方がいいかと思いまして。最悪は私達の手で<奇妙なオブジェ>にしてしまいましょう。なに、乱戦の最中なら仕方ありません」


 「「「「………」」」」



 ……お前もか、ルーナ。


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