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0385・SE04の傭兵組織壊滅




 ミク達は意気揚々と二階へと上がる。既に何があっても良いように【魔力盾マジックシールド】を準備していたのだが、所長室に入ると案の定撃ってきた。予想通り過ぎて「もうちょっと捻ればいいのに」という声がルーナから聞こえる。


 それはともかく、下で争っている声を聞いていたのか、問答無用で撃ち続けてくる。とはいえ、ミク達に当たるものは何一つとしてない。しばし撃たせたものの、魔力切れでダウンしたようだ。頭の悪い阿呆でしかない。



 「さて、この出張所には既にお前しかいない。なので解禁しても問題ない訳だ。お前の脳を操って情報をもらおう。なに、心配は要らない。お前も食堂の阿呆と同じくオブジェにしてやる」



 そう言って脳を操り話を聞き出していくミク。ついでに他の傭兵組織の出張所も全て聞き出して幸福薬を脳にブチ込んだ。これは壊す為なので洗脳する必要は無い。ヘラヘラ笑う廃人の完成であり、それを引き摺っていくミク。


 一階では死体から装備品などを全て剥ぎ取り終わったヴァルとレイラが待っていた。全員を伴って外へ出たミクは、廃人を裸に剥く。そして四肢を切り落として傷口を火魔法の【豪炎】で焼き、無理矢理に止血する。


 その後は縄を取り出して首を括って絞め、出張所の前に吊るして腹を掻っ捌いた。これで奇妙なオブジェの完成だ。ミクの命を狙うとどうなるのか、食べ物に毒を入れた奴の末路がどうなるのかを理解するだろう。


 どちらかというと、ミクの怒りは食べ物に毒を入れた方が大きい。<喰らう者>にとって、食べるという事はとても大事な事である。食べなくても生きていけるが故に、食べなければ生きられない種族よりも拘りが強いのだ。


 その<喰らう者>の食べ物に毒を入れたのである。ミクには効かないとはいえ、食べ物の味が大きく損なわれるのは間違い無い。万に一つの可能性として美味しくなるかもしれないが、そんな低い確率を許容するミクではない。


 自分の、食べ物に、毒を、入れられたのだ。それだけで彼女にとっては万死に値する行為である。だからこそ奇妙なオブジェにされた。そしてその仲間どもも同じ様にされる。怒れる怪物は止まる事など知らないのだ。知っていても止まらないが。


 オクタゴン、クリムゾンヴァルチャー、テンペスト、ライジン。それぞれが襲撃され血祭りに上げられた。各出張所の入り口には元所長だった奇妙なオブジェが飾られており、その途中にもクーロンの連中は殺している。


 しかし、クーロンの出張所には未だ行っていない。クーロンの出張所だけはオアシスの中心近くにあって警戒が厳重なのだ。もちろん容易く突破できるのだが、ワザと突破できないフリをしているだけである。


 そろそろ夕方である為、ミク達は砂上ヨットに乗ってSE04オアシスを出ていく。このオアシスでは宿を確保出来なかったからだ。これに関しては仕方がないと言える。


 砂上ヨットで外に出たミクは、町から離れた場所で三人娘を本体空間に連れて行き、そこで食事と睡眠をとらせる。そもそも休まなければならないのは三人娘だけなので、ミク達はこの時間からも動く。というより、これからが本番だ。


 ミクは砂上ヨットの操縦をヴァルに任せ、レイラと共に鳥になってSE04オアシスへ。既に日も落ちて夜になっている為、一時的にとはいえ落ち着いているだろう。そう思っていたのだが、未だ阿鼻叫喚の状況らしい。


 よほど奇妙なオブジェが堪えたのか、町の人達も「どうするんだ!?」と戸惑っている様子である。少し聞いてみると、奇妙なオブジェを作り出した本人に町ぐるみで嫌がらせをしてしまった。それをどうするんだ? と話している。


 宿に泊めなかったり、食堂で料理に毒を入れているのを見て見ぬフリをした事だろう。どうも該当の宿と食堂が糾弾されているらしい。傭兵の出張所は死体塗れ、所長は入り口で奇妙なオブジェ。町の人が騒ぐのは当たり前である。


 やり過ぎたかもしれない……。とミクは今さらながらに思っているようだが、やってしまった事は取り返しがつかないし、そもそも悪い事をしたとは欠片も思っていない。ミクがやり過ぎたと思っている理由は、「やり過ぎて面倒な事に巻き込まれるかもしれない」だ。


 人間種とは違うのだから当然だが、そんな二人は既に調べていたクーロンの出張所へ行く。鳥の姿で四階建ての建物の屋上に降り立つと、そこからムカデの姿に変わって侵入していく。誰かに見られているという事は無い。


 中に入って移動していくミクとレイラ。手分けして中に居る者達を麻痺させ、脳を操って情報を得ていく。それが終われば殺してバラし、そのままそこに放置する。クーロンだけ綺麗に居なくなっていたら不自然なので、今回は全て死体として置いていく。


 装備品や持ち物は獲っていくが、それ以外の死体は要らない。今回不思議とイライラしないミクは、食べ物を壊すという事以外には特に思うところが無いらしい。食わなくても気にならないようであり、やはり何かしらの心境の変化があったと思われる。


 その事には頓着せず、ミクはどんどんとクーロンの連中を始末していくのだった。最後にクーロンの出張所の地下に居た所長を麻痺させて、脳を操り話を聞き終われば廃人にし、入り口に吊るして奇妙なオブジェにしてやった。これで終了だ。


 出張所の入り口には縄で首を括られており、四肢が切られて断面が焼かれ、腹を割かれて臓物をブチ撒けている死体が吊るされている。ブラックホーク以外の全ての傭兵組織の入り口に、その奇妙なオブジェは吊るされており、ようやくミクの溜飲も下がったようだ。


 もうこの町でする事も無いだろうと思っているが、まだ何かあるのだろうか? 明日ブラックホークの出張所へ行き、所長から話を聞いて、用が無ければ別の場所に行こう。そこで砂賊狩りをすれば問題ない筈だ。


 傭兵が殆ど居なくなったからオアシスが守れない? そんな事はミク達の知った事ではない。喧嘩を売った相手があまりにも悪かったで終わる話である。散々ブラックホークの追い出しに関して、見て見ぬフリを繰り返してきたのだ。自業自得であろう。


 そんな事を考えつつ屋上に行って鳥になった二人は、ヴァルが待っている砂上ヨットに帰るのだった。現在ヴァルは砂上ヨットを停止させているらしい。近くに魔物も居ないようなので、走らせる理由が無いそうだ。


 ミクとレイラが戻った後、ミクが「お疲れ様」と言ってヴァルとレイラを本体空間へと戻す。ミクは一人気ままに砂上ヨットを走らせ、魔物を見つけては貪り喰っていくのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 翌日。本体空間に居る三人娘を起こし、朝食を食べさせると砂上ヨットへ肉を通して転送する。外へ出てきた三人娘は、再びSE04オアシスへ行くというミクに怪訝な顔をしながら話す。



 「流石に恐怖の大王と化しているであろう、お姉様が行くのは危険では? 恐怖に駆られた人間種というのは何をするか分かりません。こちらを襲ってくるかもしれませんし、そうするとまた死体が増えて恐怖が増しますよ?」


 「酷いなぁ、恐怖に駆られて襲ってきた程度じゃ殺しはしないよ。足を圧し折るくらいで済ませるって。その程度で冷静になるだろうからね。それはともかく、砂賊の討伐だから所長に聞きに行く必要があるの」


 「ああ、そういえばSE04へは砂賊の討伐に来たんですよね。NW08と09では<大鴉>でしたけど、こちらはそうではありませんし……。まだ砂賊を潰してない以上は、仕事をしなければいけません」


 「裏にクーロンが居て、とっくに止めを刺されている気もしますが……」



 言いたい事は分かるが確認はしないとな。セイランの一言に対して、そう思うヴァルであった。


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