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0383・SE04オアシス




 「流石に私も、聞いた話が全て間違っているとは思えないんですよ。実際にクーロンは目の敵にしているし、その割には当たり前のように生きている六人。どう考えてもおかしい。クーロンが目の敵にしているのも勝てないからなのでは? そんな気がするんですよ」


 「まあ……言いたい事は分からなくもないし、確かにあの女性達は怯えているようには見えなかったな。普通に飲んで食べていただけだ。周囲を警戒する素振りもなかったし、純粋に食事と酒を楽しんでいる様子だった。クーロンが目の敵にしているのとは、あまりにも対照的だ」


 「余裕があるのは六人組の方で、余裕が無いのがクーロンか……。しかし、あのクーロンがそこまで余裕がないなんてな。いったい何があったんだ? そこまでクーロンが怒り狂う何かがあったんだろうが……」


 「流石にそこまでは……。明日の朝、女性の相手が終わったら、ブラックホークの出張所に行って聞いてみるしかありませんね。知り合いはここに常駐してますから、質問すれば答えてくれるでしょう」


 「そうか……何にせよ、明日だな。情報が無ければ動けないし、クーロンが目の敵にしている相手がバケモノの可能性があるとは思わなかった。情報はキチンと取っておくべきだな。……いや、確認はしてるんだ。してるんだが」


 「我々はSE03オアシスに関して集めていますからね。それ以外の事はどうしても後回しにしがちです。仕方がない事ですが……。とりあえず、クーロンに対しては知らなかったというのが一番でしょう。顔を知らなかったのなら、言い訳は幾らでも出来ます」


 「そうだな。オレ達だって聞いていた六人組っていうのと、一人だけいる男の特徴、そして持っている武器の形状から間違いないって思っただけで、実際に顔を知っている訳じゃない。そもそも六人組の画像とかを見せられた訳じゃないし」


 「ブラックホークの掲示板では出回っているらしいですけど、見ない方が良いですね。履歴から手繰られたりするかもしれません。ここは知らぬ存ぜぬでいった方がいい。どのみち顔は今日見たんですし」


 「そうしよう。オレ達にとってはSE03オアシスが平和ならそれでいい。それ以外の事に首を突っ込んでもしょうがないし、砂嵐は通り過ぎるまで待つに限る」



 男三人はお互いの顔を見回した後で頷きあったので、おそらくミク達の事をクーロンに告げ口する事はあるまい。なら、ここで殺しておく必要もないのでミクは建物を出た。さっさと宿の部屋へと戻ると三人娘は眠っており、ヴァルとレイラは分体を停止していたのでミクも停止する。


 本体空間に戻って話し、<夜の砂影>とかいう砂賊には手を出さない事に決めた。ミク達とて何でもかんでも殺して喰う訳ではないし、それをやれば神から何をされるか分からない。流石にそれは嫌なので、マシな連中は殺さないのだ。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 次の日の朝。宿を出たミク達は食堂で朝食を食べた後、砂上ヨットに乗ってSE04オアシスを目指して出発する。それなりに起伏の激しくなってきた砂丘を乗り越えて進み、ようやく見えてきたSE04オアシスは思っているより大きかった。


 どうやら大規模なオアシスが幾つか連なっているらしく、流量も豊富なようだ。ルーナがMASCを見ながら教えてくれる。水が多ければ、その分住める人の上限も上がるだろう。湖の如く大きいらしいので、この大きさのオアシスになるのは分かる。


 砂上ヨットを泊められる停泊所に行き、砂上ヨットを降りて町中を散策する。すぐにブラックホークの出張所に行っても良いのだが、どうにもこのSE04オアシスは治安が悪そうなのだ。なので、まずは町中を調べてまわる。


 店は普通の品揃えで愛想も普通。別に良くもなければ悪くもない。にも関わらず、町中にはガラの悪い連中が妙に多い。それと、見回りつつブラックホークの出張所を探しているが、何処にも無い。何故か見つからないのだ。


 不思議に思いつつも色々調べているが、何故かブラックホークの出張所だけが見つからない。ルーナは歩きながらMASCを使い、ようやくブラックホークの出張所を見つけた。どうも住宅街の一角にあるらしい。


 何故そんな所にあるのかと思うのと同時に、迂闊に近付くなとも書いてあるそうだ。SE04オアシスの他の傭兵組織が纏まって、ブラックホークの追い出しをやっているらしい。ここではクーロンに他の傭兵組織が協力している形だそうだ。


 砂賊が暴れているうえ、ブラックホークの追い出し……。何となく裏で繋がっているものを感じつつも、ミク達は堂々と住宅街へと行き、ブラックホークの出張所に入る。周りからジロジロ見られていたが気にしない。


 中に入ってブラックホークのドッグタグを見せると、呆れた表情の所長が話し掛けてきた。



 「まさか堂々と日中にここへ来る者が居るとは思わなかったよ。いや、噂に聞いた君達なら、むしろ敢えて堂々と正面から来るか。そして敵は全て蹴散らすのだろう。まあ、それが出来るならありがたいのだが……。申し送れた、私はここの所長をしているデュエインだ」


 「私の事は……どうやら知ってるみたいだから横に置いておくとして、私としてはこのオアシスを一週間ぐらいウロウロしようと思うんだけど、どうかな? 沢山釣れると思うし、それらを始末していけば十分でしょ?」


 「………滅茶苦茶な事を考えるものだ。こちらとしては構わないし、私も自分の身ぐらいは守れるが……正直に言うと、そこまでの事を考えて正面から来たね? 呆れてしまうが、噂の実力を考えると当然なのかもしれないな」


 「じゃあ、そういう事で。砂賊を潰す前に、他の傭兵を潰すよ。傭兵同士のイザコザは犯罪にはならないしね。こっちが先に襲われたなら、尚更反撃は正当防衛だよねえ」


 「君達の場合は過剰防衛になるだろうが、そもそも傭兵同士の殺し合いなど誰も気に留めんよ。ただし破壊を撒き散らさないようにしてくれ。流石に物を壊せば金を払う必要が出てくるからな。もちろん壊した奴が」



 所長であるデュエインもミクも「ニヤッ」と笑った後、ミクはブラックホークの出張所と所長の自宅を兼ねた家を出た。六人でウロウロしていると早速とばかりにナイフを持って襲い掛かってくる者が居たが、ルーナの抜き打ちでバッサリと斬り殺される。


 死体をアイテムバッグに仕舞うと、ミク達は再びウロウロし始める。それを見て何を思ったのか、周囲の傭兵が一斉に襲ってきたが、全てミク達に殺される。ルーナに首を切られ、ヘルに心臓と首を刺され、セイランに頭をカチ割られた。


 ミクも鉈で頭をカチ割り、ヴァルはメイスで頭を潰し、レイラはナイフで首を切り裂く。誰も彼もが一撃で敵を殺しており、一瞬で終わったからか他の傭兵達は動きを止める。それでも一部止まらない者は、あっさりと死体に変えられた。


 再び死体を収納し、ミク達はウロウロし始める。店を冷やかしながら油断なく周囲を警戒し、襲ってきた者は誰であれ殺す。そうやって練り歩いていると段々と襲ってくる者が減ってきた。


 なので仕方なく怪しい路地に入ったりしてみたのだが、何故か襲って来ない。困ったミク達は仕方なく宿を探して歩くが、何処も彼処もミク達の宿泊を拒否してきた。どうやら裏で手を回したみたいだ。


 なので仕方なく、町をウロウロし続ける。襲ってくる者が居ないか探りながら続け、食堂に入って昼食を頼む。お金を払って待っていると、裏の厨房に怪しい奴が入ったので、ミクは椅子から立ち上がり素早く厨房の中に踏み込む。


 するとそこには、鍋の中に妙な物を入れようとする男と、それを見て何もしない料理人が居た。


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