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0374・巨大船での移動




 朝食を食べた後は、巨大船を動かし移動を開始する。ミクは送られてきた物資を使い、出来得る限り魔力効率を高め、魔力使用量を減らした新たなバズーカを開発していた。それが【風弾ウィンドバレット】を使用したウィンドバズーカだ。


 それとルーナ達用の特殊銃である、【爆音衝撃サウンドショック】を使うショックガン。この二つをルーナ達に渡す。ウィンドバズーカは一つだけであり、それを構えて喜ぶルーナ。茨木吾郎かどうかは難しいところだ。


 それはともかく移動していると、早速砂賊が現れたのでウィンドバズーカを撃つ。普通の魔法銃よりも威力のある【風弾ウィンドバレット】が飛んでいき、砂賊の砂上船を吹き飛ばして転覆させる。破壊するまでの威力は無いようだ。


 そして撃ったルーナがダウンしていないところを見るに、開発は成功したと言っても良いだろう。一撃で砂上船を吹き飛ばす威力にルーナが大喜びだ。他の砂賊にも二発、三発と撃っていると七発目でダウンした。



 「うぅっ……きもちわるい……。たった、ななかいでこうなるなんて………ほんきで、まりょくをたかめたほうがいいでしょうか………」


 「まあ、魔力の器を壊さなきゃ駄目だろうね。それも今は無理だけどさ。とにかくコレ飲んで回復。で、他の二人もバズーカ撃つ。今の内に魔力量の底上げもやるよ、ほら頑張る!」


 「「はーい……」」



 ヘルもセイランも魔力枯渇の苦しみはともかく、魔力の器を壊した際の苦しみは知っているので気乗りしない。魔力の器を壊した際の復帰は、魔力回復薬を幾ら飲んでも解決しない。魔力の器は自らの力で修復するしか方法が無いからだ。


 それでも魔力の器を壊さないと、いつまで経っても魔力の最大量は伸びない。それに三人とも種族が種族である、確実に四回以上器は壊せるだろう。それもまた彼女達がガックリとしている理由でもある。


 苦しみの回数が増えるのだから、余計にやる気にならないのは当然であろう。魔力の総量を増やしたい者からすれば、血涙を流して悔しがるだろうが……。だがそんな嫉妬をする者も、本当に魔力の器を最後まで破壊しきるかは疑問である。


 それはともかく、三人はウィンドバズーカを使いつつ、枯渇したら魔力回復薬を飲むという苦行を行っている。その横でミクは魔法を使いつつ、他の方向からやってきた砂賊を返り討ちにしていた。



 「それにしても数が多いねえ。相当数のクーロンの連中が動員されてるのかな? 思っている以上にクーロンの連中が居たと言うべきか、それともそこまでする程の何かがこの船にあるのか……」


 「とはいえ、お姉様が探して見つからなかったのですよね? だったら追い駆けてきているだけではありませんか? クーロンのメンツの為に、何としても奪わせまいとしているだけのような……」


 「それはあるかもしれませんね。クーロンというのは恐れられている組織でもありますし、近接戦闘で怖がられてもいます。それが大した事が無いと思われてはイメージ悪化は避けられませんし、スポンサーに対しても苦しい立場に追い込まれるでしょう」


 「むしろクーロンとしては、この船を破壊して無かった事にしてしまいたいのでしょうね。自分達は知らない、関係無いと言い張る為に」


 「でしょうね。それなら、うっ!? ………くすり、をのまないと……。く、くすり……」



 三人娘の女性らしからぬ声を聞きつつ、ミクも砂賊というかクーロンの連中を排除していく。ここまで粘着してくるのはクーロンの連中以外に無いだろうと思いつつ、もしかしたら他の砂賊を雇ったのかもしれないとも予想しているミク。



 「確かに……クーロンの連中だけだと数が多すぎますか。ミクさんが魔法で叩き潰していますが、それでも出てきますからね。私達だけでは絶対に防げませんよ」


 「防げないと言うより、飽和攻撃でやられてしまいます。この物量で攻撃されても耐えられるのは、ミク殿の攻撃とレイラ殿のシールド。そしてヴァル殿が動かしてくれているからです。クーロンとしても予想外でしょう」


 「でしょうね。本来なら溜めこんでいた魔力が枯渇していないとおかしいもの。にも関わらず、巨大船は動いてシールドも使えている。向こうからすれば「知っているスペックと違う!?」と言いたいでしょう」


 「魔力切れを狙って攻撃しても、いつまでも防がれ続ける。そのうえ何故かいつまで経っても動き続ける巨大船。確かに彼等が知っているスペックと違いすぎるでしょうね。考えてみれば、あの所長に扮した男が私達を行かせたのも、町から離れた所で拿捕する為だったのでは?」


 「魔力が無くなれば動かないからですか……。ですがレイラさんやヴァルさんの事は完全に想定外でしょうね。尽きる事など無い魔力量と、無限に動かし続けられる回復力と速度。考えれば考えるほど反則としか思えません」



 言いたい放題言ってくれるなー、と思いながらも敵を処理し続けるミク。三人娘にも敵を倒させ、枯渇すれば回復を続けさせる。敵が無限に湧くボーナスステージのようなものだ。儲からない代わりに練習は出来る。


 途中から魔法銃も追加して撃ちまくる三人。魔力枯渇のペースが一定になってきたので、おそらく限界なのだろう。それにしても未だ敵が攻めて来るのは、どうなっているのやら。仕方なく、ミクがジャベリンバズーカとバレットバズーカで攻撃していく。


 すると、すぐさま敵は逃走し始めた。……その動きに奇妙さを感じるミク。感知系のスキルを最大限に伸ばして大凡おおよそ分かった。連中はおそらくNW09オアシスから砂上船を奪ってきている。なので、砂上船が壊れても気にしていないのだ。


 砂漠に投げ出されても、別の砂上船に乗って向かってきている。ただしジャベリンバズーカやバレットバズーカだと殺されるので逃げたのだ。それが分かれば簡単である。ウィンドバズーカを二つ作ったらしく、肉を通して取り出すミク。


 甲板に置いた後、ジャベリンバズーカとバレットバズーカを適当に撃って敵を逃がす。出来れば一日程度で魔力の器を修復してほしいがどうだろうか? そんな事を思いつつ、今日の夕食を取り出す。


 ヴァルとレイラは食べなくても問題無い為、ミクも食べずに警戒に当たる。三人娘には食べさせた後、無理矢理に魔力の器を壊させた。ルーナが即座に嫌がったので、脳を操って魔力の器を破壊。ヘルとセイランはそれを見て粛々と破壊し、現在唸っている。


 どのみち無理矢理にでもやらされるのだから、最初から素直に従っていればいいものを……。三人の身の安全を考えても壊さないという選択肢は無い。苦しんでいる三人に【静心波】と【快眠波】を使い眠らせたら、ミクは警戒を続ける。


 ヴァルとレイラは分体を停止したままであり、魔力の供給源として分体を残したままだ。そもそも二人とも本体空間で休んでいる。ミクはジャベリンバズーカとバレットバズーカを持ったまま目を瞑っており、近付いてきた連中を狙撃している。


 二度三度と砂賊が爆散したからだろう、その夜はそれ以上近付いてくる者はいなかった。流石にミクの感知範囲から逃れる事は、例え地中であっても出来はしない。気配や存在だけなら感知可能である。


 鉱山で【土中探知】を使っていたのは、金属や宝石の為と詳細に判別する為だ。やはり地中に対しては、どうしても地上に比べて精度が下がってしまう。だからこそミクは集中して敵の気配や存在を調べているのだ。


 眠りながら呻いているBGMが鬱陶しいが。


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