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0370・魔法バズーカ




 「お疲れ様ーっ! そっちはどうだった? 何となくルーナが一回か二回、死んだような気がするんだけど……私の気のせいで済んだ?」


 『ルーナならガッツリと三回ぐらい死んでいたぞ。殺された後、跳ね上がるように起きるのは面白かったな。どうも殺されても一瞬で修復するらしい。御蔭で敵の方がギョッとしていた。胸を撃ち抜かれたのに、すぐに起き上がるんでな』


 「いや、アレは仕方ないと思います。私だって初めて発動して驚きましたし、まさかあんな風に復活するとは思いませんでした。異様なほど高速に穴が塞がっていくといいますか、どこかの肉が減ったんじゃないかと思うぐらい治っていくんです」


 「それで調子に乗って前に出て二度目。最後は隠れていた相手に胸を撃ち抜かれてです。それもこれも慎重だったら回避したり防げるものばかりなのに、何故何度も殺されてしまうのか……」


 「おお、ルーナよ。死んでしまうとはなさけない……」


 「止めて下さい! 王様じゃないでしょう!! 後、私は勇者じゃないですから! 攫われたお姫様なんていませんよ!?」


 「まあ、冗談はさておき、こっちは<大鴉>の幹部とやらをブチ殺してフィニッシュだね。魔導装甲を持ってたからゲットしたけど、とりあえず解体しようか。私ならあの砲をバズーカぐらいまで小さく出来るから、そうして遊ぼう」


 「なら早速解体するわね。それはそうとボディの方はどうするの? バラして捨てるか、それともそのまま売る? 買い手は居ると思うけど、どれぐらいで売れるかは不明ね。型式も最新の物かも分からないし」


 「これはMAD03でしょう。史上もっとも多く作られた魔導装甲と言われています。バランスが良く使い勝手も良い物で、色々な戦場で使われたと聞きますね。確か最新の物はMAD27だった筈です。前にMASCで確認しました」


 『そういえばMASCを使って情報をとれば良かったんだな。あまり馴染みが無いので忘れていた。ヤマトでもスマコンを持っていたのは主だけだったし、その主もあまり情報収集には使ってなかったからな』


 「言葉は悪いけど、憶測とか多くてまともな情報源としては使えないんだよね。魔導装甲のカタログを見るぐらいなら問題無いんだけど、詳細な情報となるとワザとおかしな情報を混ぜたりする奴がいて、どうにも判然としないの」


 「まあ、カタログスペックだけで全てが分かる訳じゃありませんし、ライバル企業の者がおかしな書き込みをしていたりしますしね。結局、直接目にしないと分からないという事は多いですよ。何にしても」



 そんな話の最中もレイラが砲を取り外し、アイテムバッグに収納していく。この世界のマジックバッグがどんな物か知らないが、ある程度お金に余裕が出てきたら買う事を決めるミク。本体が作っても良いのだが、それをするとオーバースペックの物が出来上がってしまう。


 それもまた色々マズいので、それなりに自重しているのだ。傍から見れば「本当か?」と疑うところだが、本人的には自重しているのだろう。それはともかく、砲を外して収納し本体をどうするか考えていると出張所の所長が走ってきた。



 「ハァッ、ハァッ、ハァッ! ま、まさか君達だとは思わなかったよ。町中でとんでもない音がしていて、慌てて町の人に避難をしてもらい、有志の者で駆けつけたら終わってるなんて……。とんでもないね、本当」


 「今ごろ出てきて手柄がどうのと言い出すんじゃないでしょうね? 流石に何一つ渡したりはしないわよ」


 「そんな厚顔無恥な事はしないさ。……いや、するかな? ここNW09オアシスから西に行くとサボテンが沢山生えている所がある、その辺りに<大鴉>のアジトがある筈だよ。これが僕の限界だ。もし何とかしてくれる人が来たら渡そうと思っていた情報さ」


 「分かった。まあ、行くにしても明日からだけどね。それなりに時間を使ったから宿に帰って寝たいところだし……。ヴァル、レイラ、面倒だからブッた切っていいよ」


 『「了解!」』



 長巻と戟を使い、MAD03を切って解体していくヴァルとレイラ。それを見て唖然としているルーナ達と所長。程好い大きさになったらミクが収納していき、全て収納したら町の宿へと戻っていくのだった。


 部屋に戻ったルーナ達は早速ヤろうとしたが、「明日は<大鴉>のアジトを攻めるから早く寝ろ」と言われ渋々寝る。面倒になったミクはリラックス段階で【快眠波】を使い、強制的に三人を眠らせた後で分体を停止するのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 翌日。宿の部屋を更新してから食堂へ行き、普通の食事をとるミク。店員からは相変わらずやる気を感じられないが、昨日とは違い完全に暗い訳ではなく期待が見て取れた。


 既に絶望していたのだろうが、ミク達が町のアジトをブッ潰した事で希望が出てきたんだろう。それならば、もう少し笑顔で送り出してほしいものだ。そう思いながらも食事を終えて、ミク達は出発する。


 砂上ヨットに乗って西へと出発すると、砂賊が攻撃を仕掛けてきた。ミクはアイテムバッグからバズーカを取り出してレイラに渡す。レイラはそれを肩に担いで発射。砲撃は狙いを違わず命中するも、相手の砂上船ごと破壊してしまった。



 「主! この【魔力投槍マジックジャベリン】のバズーカ、威力があり過ぎて使えないわ! 相手の砂上船を持って帰らない場合しか使っちゃ駄目ね!」


 「ならこっちを試してよ! こっちは【魔力弾マジックバレット】だから、多少威力は落ちると思う!! それでも壊したらゴメンねー!!」



 そう言ってミクはもう一つのバズーカであるバレットバズーカを取り出して渡す。そちらもレイラが撃つが、至極あっさりと敵の砂上船もろとも破壊した。これでお金儲けの最中は使えない事が判明。その所為で威力を落とす事を考える羽目に。


 ミクが悩みながら【強風】を使っていると、横からルーナが持って肩に担ぎ、敵に対して撃ちこむ。フラついていたからか上手く当たらずカスったものの、それだけで砂上船が壊れ投げ出される砂賊。



 「ああいう風に使えば良かったのかしら……? ところで、たった一発撃っただけで魔力枯渇を起こすなんてね。魔力の器を壊したのも一度だけだから仕方ないのかもしれないけど。主、魔力回復用の<天生快癒薬>を頂戴」


 「ヘル、これをさっさと飲ませておいて。戦えないのは邪魔でしかないから」


 「分かりました」



 ガラスびんに入れてある魔力回復用の<天生快癒薬>を強引に飲ませるヘル。口に突っ込んで上を向かせるという荒技で無理矢理飲まされたルーナは、すぐに魔力が回復し顔色が回復した。



 「幾らなんでも酷い飲ませ方ではありませんか!? もう少し優しく出来るでしょうに!! 勝手に使った私が悪いとはいえ、無理矢理突っ込まれて上を向かされるとは思いませんでした!!」


 「無理矢理突っ込まれるような事をするのが悪いんですよ。これからは勝手に触ったり撃ったりするのは止めましょう?」


 「いや、そうですけど……」



 まだゴニョゴニョ言っていたルーナの声も尻すぼみになり、やがて口を閉じた。元々自分が悪いのだから自業自得である。


 その後も攻めてくる砂賊を船ごと破壊していると、サボテンが大量に生えている場所に来た。さて、本当にあの所長が言っていた事は正しかったのだろうか? 今もまだミク達は信用していない。


 <大鴉>の幹部が殺され、壊滅してからやって来た。タイミングとしては怪しすぎるのだ。偶然なのか、それとも狙ってやったのか。今はまだ保留という事で、答えは出していない一行。


 それもこれも、この近くを探れば分かるだろう。


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