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0367・NW06オアシス




 砂賊を襲い船をゲットして売る。その砂賊顔負けの盗賊行為を砂賊の連中にしかけて七日、ついにNW03オアシス近くに砂賊が出没しなくなってしまった。ミク達が砂賊を狩り過ぎた所為だろう。


 ちなみにベテラン連中には感謝された。理由は安く砂上船が手に入るからだ。ミク達が奪った砂上船は大量にあり、それらは安値で販売された。置いておく場所にも限度があり、それを超えてミク達が持ってくるからだ。それでも店は儲かっているので喜んでもいる。


 その店はともかく、ミク達としては砂賊が出てこなくなったのなら移動するしかない。なのでブラックホークの出張所に砂賊の出没場所を聞きに来たのだ。すると、所長室に通され説明を受ける羽目になった。



 「君達がこの近辺から砂賊を一掃してくれたのは大変ありがたいのだが、代わりに別の場所に多く出没するようになったようだ。それでも数は減っているのだろうが、星全体からすると微々たるものだろう。それでな、NW08オアシスか、SE04オアシスへ行ってもらいたい」



 ミク達は地図を見ながらその場所を調べる。MASCを使えばこの星の地図など簡単に分かるのだが、何処に砂賊が出没するかなどは分からない。この星は砂の星だが、それぞれの発着場を中心にして番号が割り振られている。


 NWはノースウエスト、つまり北西。SEはサウスイースト、つまり南東。真逆に行けと言われているのだが、元々どちらも砂賊の被害が多い地域らしい。SE04オアシスはここと同じで大きいオアシス。NW08オアシスは小さいオアシスなんだそうだ。


 どちらに行くかはミク達に任せるとの事。ブラックホークとしては両方救援に行ってほしいらしいが、それはあくまでも傭兵の自由だ。強制はできない。


 そう言っていたが、そこまで言われたら両方行くしかないだろうと思いつつ、ミクは礼を言って出ようとすると船長が入ってきた。



 「あれ? アンタ達が来てたのかい? 最近羽振りが良いらしいねえ、まあアタシもその理由は聞いたけどさ。儲けの多いチームがここを離れるのは少し寂しくなるね。それはともかく、遂にやったよ!」


 「うん? 何がだ? 何か重要な案件がぁっ!?」


 「ふん!! アンタにとっちゃ大事な事じゃなかったんだね!! いいさ、いいさ! アタシ一人でいいよ!!!」



 ドスドスと足音を鳴らして出て行く船長。何だと思ってミク達が見ていると、所長は投げつけられた物を見て驚いた後で満面の笑みになり、慌てて船長を追いかけていった。ミクは疑問に思って所長の机の上を見ると、長細い物が置いてある。何やら白い枠に……。



 「これは妊娠検査用の物です。つまり船長は妊娠されたという事でしょう。子供の事は大事な事じゃなかったのかと、船長は怒ったのでしょうね。嬉しかったから一緒に喜んでほしかったのでしょうが……所長もお仕事中ですから」


 「ああ、そういう事だったんだ。仕事の事を考えていたら、急に子供の事に頭は向かわないね。無茶だとは思うけど、それぐらい嬉しかったんだろうというのも分かるよ。私の場合は肉から作ったりだし、人間種とは違うからね」


 「「「………」」」



 三人は何とも言えない顔をしたがミクはスルーし、所長室を出た。入り口近くでは船長を捕まえた所長が、抱き締めつつぐるぐる回っている。それほどに嬉しい事だったらしく、その態度で船長の溜飲も下がったようだ。今は嬉しそうにしている。


 回るのを止めた二人は、周りを気にせずにキスしたり愛を語り始めたので、ミク達は雰囲気の邪魔をする事なくそっと出張所を出た。あれさえ無ければ優秀な二人なのだ、あれさえ無ければ。受付嬢などもそう言っていたので、割と日常的なのだろう。


 ミク達を見て愛を語り合うだけでなく、人前で平気でキスするようになったらしいが、そんな事をミク達に言われても困るといったところであろう。ミク達は先ほどの二人を頭から振り払い、まずは宿へ行く。


 部屋のキャンセルをし、宿を出たら食料店へ行く。ある程度の食材を購入してアイテムバッグに入れたら停泊所へ。いつもの砂上ヨットを出港させ、NW08へと向かう。ミクが使う【強風】は強力に出来るのだが、それをすると帆が耐えられない。


 なので帆が耐えられる速度を維持しつつ、ミク達はゆっくりと北西へ進んで行く。途中のオアシスに立ち寄って休憩や食事をしつつ、夕方頃にはNW06オアシスに辿り着いた。やはりガレオン船よりは遅いようだ。


 NW06オアシスの停泊所に泊めたミク達は、中に入って宿へと行く。結構怪しい感じの宿だったが気にせず一泊とり、酒場へと行って夕食を頼む。ミク達は酒を頼んで飲み食いし、ほろ酔いの姿で宿へと戻る。


 酒場を出た瞬間から明らかに尾行されていたが、当然ミク達が分かっていない筈はない。そもそも酔っているフリだけで、本当に酔う事など不可能である。誰かさんは既に気持ちよく寝ているが……。


 そのまま部屋の明かりを消して寝たフリをしていると、早速部屋に侵入してくる阿呆が居た。ミクは即座に触手を放ち、敵に麻痺毒を注入する。この時点で部屋に入ってきた八名は身動きがとれなくなった。


 その後、ミクは一人一人の脳を操って話を聞きだす。こいつらは<黄金の仮面>という組織の連中らしい。砂賊の組織の一つだが、古くからある組織であり歴史は長いそうだ。既に300年を超えて存続していると言う。


 その割には、やっている事は強盗でしかないのだが。そう言うと、最近<大鴉>に引き抜かれて構成員が減っているらしく、増やす為にも金がいるのでやったらしい。<大鴉>のアジトがNW09方面にあるのだが、数が多くて押し負けているのが現状のようだ。


 ミク達には関係無いので首から上をバケモノの口にして頭を喰らい、さっさと本体に転送して次の奴から話を聞く。首から上がバケモノの口になった段階で恐怖のあまりに失禁しているが、【超位清潔アーククリア】を使った後で更に聞いていく。


 三人で尋問したのですぐに終わったものの、見ていたセイランとヘルは多少動揺した程度で済んでいる。本体の方が遥かに恐いので、首から上がバケモノの口に変わった程度ではそこまで恐怖しなくなっているのだ。伊達に本体空間で修行をしていない。



 「でも、恐いものは恐いんですよ? 別に恐怖のあまりに失禁するなんて事はもう無いですけど、それはあくまでも慣れただけです。まあ、だからこそ拷問を見ても吐く事はありませんでしたけど……」


 「そうですね。それにしても宿の従業員もグルみたいですけど、どうします?」


 「それは後で殺すか洗脳してくるよ。そろそろ我慢できなくなって抱きついてきそうだから、終わらせてからね」



 そう言ってミクとレイラでさっさとヘルなのに天国送りにしておき、二人はムカデになって窓から外に出る。それを見送ったセイランは一息吐いた後、ゆっくりとヴァルに愛してもらうのだった。


 ミクは宿の従業員の居る部屋へと隙間を空けて強襲し、脳を操った後で貪り喰い転送する。コイツはかなりの余罪があったので善人に洗脳しても怪しまれるだけ。そう結論付けたミクは、さっさと本体に転送して他の従業員からも話を聞いて行く。


 一方、レイラは聞き出していた<黄金の仮面>のアジトに行き、麻痺毒で麻痺させて本体へと転送していく。いちいち話を聞く必要も無い。それほどに犯罪者塗れなのが砂賊である。


 一応アジトにある金品も後で押収するつもりであるが、まずは殺して転送を繰り返す。そんな最中ミクがやってきて、レイラと共に貪り喰っていく。二人で喰い荒らした為すぐに終わり、後はアジトの最奥を残すのみとなった。


 数人の人間種が居るのは分かっているのだが、何故か動きが殆ど無い。部屋の中に居る四人は、いったい何をしているのだろうか?。


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