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0357・ファイレーセ達との仕事内容




 湖から上がったミク達は、いつも通りにファイレーセ達の部屋へと行く。そこで本体空間に移動させて訓練をさせていくのだ。現在は戦闘訓練と並行して魔法や闘気術、それに仙術の訓練もしている。全て使える反則的な存在が居るので、幾らでも教えてもらえる三人。



 「そこっ、足の幅はもう少し狭く! 小回りが効く状態を維持しないと避けられないわよ!! 常に別の動きが出来る様に余裕を残す、決して無理はしない。二刀流において大事なのは防御、決して攻撃ではない」


 「はいっ!」


 『防御して押し込まれるなら流せ、もしくはいなせ。決して受け続けるな、そうなれば押し込まれ続けて最後には死ぬぞ! とにかく敵を引きつける事と常に余裕を持って対応できるようにしろ』


 「はい、分かりました!」


 「はい、だめー。また同じ失敗してるじゃない、指一本分の厚み前へ出す。まったく……抜き打ちを覚えたいって言っておいて、一ヶ月も経つのに未だ足捌きが出来てないじゃない。もちろん他の事もしながらだけど」


 「んー……何で僅かに足りないんでしょう? 毎回これで完璧と思いながら体を動かしてるのに、言われた事に気をつけているのにコレなんです」


 「多分そういう骨格か、そういう風に筋肉がついているんだと思うけど……そこは感覚で補強できるはずなんだよね。はい、もう一回」


 「分かりました………ふっ!!」



 それぞれがそれぞれの練習を行い技術を向上させていく。戦闘訓練も魔法の訓練も、そしてそれ以外の訓練も簡単なものではない。一朝一夕では整わない、長く時間の掛かる修練である。だからこその技術であり技なのだ。


 それを反復しながら只管ひたすら自分の体に叩き込む三人。彼女達が一人前になるのは、まだまだ先である。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 更に二ヶ月ほど経ったある日、ミク達は何故かファイレーセ達と共に呼ばれた。何でもイヘルジャラとかいう伯爵と知人の貴族が、ファイレーセ達だけではなくミク達も所望しているらしい。ちなみにヴァルは呼ばれていない。


 その話を現在所長室で受けているのだが、何故かファイレーセ達からジト目を受けている。



 「それで面倒なクソ貴族どもが、お姉様達のカラダを味見させろなどという倣岸不遜な事を申しているのです。金や権力やコネがなければ、この手でくびり殺しているところなのですが、私としても如何いかんともしがたく……申し訳ございません」


 「まあ、仕方ないね。シェプリムはここの所長でしかないし、客の事に対して云々は言えないでしょ。ガドムラン星国にもクーロンのスポンサーが多いみたいだしさ。明日の仕事は了解するよ。特に問題はないしね」


 「主が言うように問題は無いのだけれどしゃくに触るわね。納得も出来ないし、ここはシェプリムで鬱憤を晴らすべきじゃない? ここ最近お預けしてたけど、それで飼い主の手を噛むんだもの、しつけのし直しをしなきゃね」


 「レイラお姉様。私は手を噛むなんて、そんなつもりはありません。私にも立場というものがありますし、「その体でイジメて欲しいのよね?」クーロンの幹部と……//////」


 「ほら、みなさい。ヴァル、徹底的に躾をし直すわよ。御褒美欲しさに下らない事をするなんて、二度としないようにね」


 『まあ、最近は構ってやれなかったから、構うぐらいはいいがな。ほら、行くぞ。ちょっと激しくなり過ぎても、お前が望んだ事だ。受け入れろ』


 「///ああ……止めて下さい。お姉様、御主人様///」



 レイラとヴァルに引き摺られていくシェプリム。「止めて」と言っている割には喜色満面の顔をしているのだが、その顔で言っても説得力は皆無である。そして所長であるシェプリムに呼ばれていたのは知っているが、こういう関係だとは知らず遠い目をするファイレーセ達。



 「……あの宙賊でさえ震え上がるという拷問好きの所長が、お姉様方の手にかかるとあんな風になってしまうのですね? 「イジメて」アピールが凄かったですけど……あんなの初めて見ました」


 「最初はヴァルを連れて行ったらしいんだけど、媚薬と精力剤で化けの皮を剥がされたんだよ。中身はイジメられるのが大好きな「ドM」だったね。まあSとMは表裏一体らしいから、シェプリムは正しく「ドS」であり「ドM」だよ」


 「はあ……私には全く理解できない世界ですので、どうでもいいですけども。それより、明日のイヘルジャラ伯爵の件、本当に宜しいのですか? 何だか作為的な感じがしますが」


 「そうです。あの者達がミクさんを知る事など無かった筈。にも関わらず、ここにきて急に呼び出すというのは明らかに不自然。絶対に理由がある筈ですし、そうでなければあり得ません」


 「ミク殿とレイラ殿を呼び出す理由………私達には分かりませんが、何か心当たりはありますか?」


 「何となくはねー。多分だけど、私達が潰した貴族の影響じゃないかな? 声を落とすけど、実はね……洗脳して、性欲を食欲にすり替えたの。だから、ここに来る貴族の数は減ってる筈。それの調査だと思ってる」


 「………あの、ミク殿。何故そのような事を? 怪しい行動はしないと仰っていたではありませんか」


 「怪しくないよ。私達が相手をしてきた貴族は貴女達と同じく最高の快楽を受けているの。それで満足してしまい「性行為はもういいや」と思う洗脳をしたけど、事実としての快楽も与えてある。そして次の欲望を食欲にしただけ。これなら誰も不幸にならないでしょ?」


 「「「………」」」


 「……ゴホンッ! まあ、本当にそれが出来るならば、誰も損をしないですし不幸にもならないでしょう。貴族が美味しい物を食べるなんて普通ですし、行き過ぎた美食家がゲテモノに手を出すのも普通ですから」


 「それはそうですね。トルカント侯爵閣下も変な御料理とか食べておられました。カエルとかヘビとか、後は虫なども食しておられたのは知っております」


 「私も料理長に聞いて唖然とした記憶がありますよ。御嬢様の食事は普通の物にして下さいと念を押したら、侯爵閣下しかお食べにならないと聞いてホッとした思い出ですが。ゲテモノ食の時には奥様すら食卓を一緒にはしませんでしたし……」


 「今初めて聞いたけれど、それはそうでしょう。お母様が時々変に機嫌が悪い時があったけど、アレはお父様がゲテモノを食べていたからね。月に一度はそんな事があったわ」


 「思い出話は後でしてもらうとして、明日のイヘルジャラ伯爵との仕事はさっさと終わらせて、脳を操って聞く事になるからそのつもりでね? 何を言い出すか分からないけど、多少の覚悟は必要だから」


 「「「………」」」



 ミクの言葉を聞いた三人は真面目な顔で「コクリ」と頷いた。良い悪いは別にして、明日になれば一つの答えが出る。イヘルジャラ伯爵は有罪か、それとも無罪か。一つの結果から複数の謎が生まれるかもしれないが、それもまた覚悟の上だ。


 話しているとレイラとヴァルが所長の寝室から出てきた。なので覗くと、色々なモノを噴き出したのだろう、ベッドがグチャグチャになっている。そのベッドの真ん中で、白目を剥いてビクビク痙攣している所長が居た。


 普通の人なら顔をしかめる光景だが、ファイレーセ達は所長が忘我の境地を彷徨っているのが分かる為、顔を真っ赤にして見入っている。



 「///ゴホンっ!! 所長はメスの幸せに浸っておられるようですし、そろそろおいとまいたしましょう。シュネ、ホリー。行きますよ」


 「「//////」」


 「行きますよ!!!」


 「「は、はい! 御嬢様!!」」



 所長のアレな姿を羨ましそうに見るのもどうかと思うぞ? そんな事を思うヴァルであった。


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