0353・所長と職員
昼寝という遊び時間が終わり、夕方の食堂へと行く。相変わらずの栄養補助食品を食べ、さっさと部屋へと戻る為に席を立つ。ファイレーセ達は客をとらなければいけない日であり、その為に特訓は明日からなのだ。
今日は暇なので部屋に戻ろうかと思っていたら、何故かミク達が呼ばれた。何もおかしな事はしていない筈だが……そう思っていると、ここの職員に呼ばれたらしい。つまり職員も”買う側”なのだ。
それなら仕方ないと思い、案内されるのでついて行くと、途中でヴァルと別れる事に。何故かと思って聞くと、ヴァルは所長であるシェプリムに呼ばれているようだ。ミク達はそれを聞きながら中央監視施設の大部屋へと行く。
そこは最初から奴隷を連れてきてヤる為の場所らしく、防音がしっかり整った部屋のようだ。ミクはレイラと本体空間を通して相談し、ここでいきなり殺すのはマズいので止めておく事にした。腹上死を狙うのはもっと後でもいい。
ミクとレイラはそこに居た下卑た視線を送ってくる男性職員達に溜息を吐きつつも、媚薬と精力剤を使い満足させてやるのだった。今はまだ雌伏の時であり、余計なトラブルは必要ない。そう思いながら。
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媚薬と精力剤を使ったからか死屍累々の光景ではあるものの、ここに居る者は一切誰も死んではいない。ただし精魂尽き果てたであろう程に、2人に搾り取られたのは言うまでも無い事である。ミクとレイラは悪臭立ち昇る部屋を開け、外へと出て行く。
何故か3人ほど女性職員が居たが、その3人も他の男性職員と同じく気絶中だ。女好きだったのかは分からないが、媚薬と精力剤で狂った連中のサバトのようだった行為も終わり、ミク達は綺麗に洗い流すため湖へと歩いていく。
よくもまあ、あれだけ出したものだと関心するが、半分以上は自業自得だと気付いていない二人。そういえばと思いヴァルに連絡すると、既に所長のシェプリムは気絶しており脳を操って情報を得たようである。ヴァルは上手くやったようだ。
実はミク達も死屍累々の有様になってから睡眠薬を放出して眠らせ、その後に脳を操って情報を得ている。それなりには手に入ったものの、職員はあくまでも管理者でしかなく、宇宙船の発着などは近付いてきてから知らされるらしい。
淡々と受け入れて奴隷として扱い、自分達もお零れとして楽しむ。ここの職員は大凡その程度でしかなかった。その為シェプリムに期待していたのだが、所長ですらそこまでの情報を持っていないみたいだ。この事実に困るミク。
今はまだこの星から出る気は無いが、だからといって情報が無いのはマズい。それも施設の所長が碌に知らないとなると厄介な事になる。どうしたものかと思いつつも、ミクとレイラは自身と服に【超位清潔】を使った後、湖に入っていくのだった。
服と体を一緒に洗って上がると、再び【超位清潔】を使って完全に綺麗にし水分も飛ばす。綺麗になったので戻ろうかと思うと、横から突然魔物が出てきた。何かと思ったら熊の魔物だったので、今度は触手で首を絞めて殺害する。
宙吊りにされて何も出来ないまま、もがき苦しんでから死亡。爪を引っこ抜いて切り裂いていき、皮の下の脂肪層を取っていると、もう1頭現れた。一回り小さい雌だったが、突然怒り狂って走ってきたのでコイツも宙吊りにする。
レイラが溜息を吐いているものの、そんな事は気にせず皮を剥ぎ、脂肪層を取っていく。途中で面倒になり食い荒らした後、丁寧に毛皮を揉みつつ乾燥させて仕上げた。ヴァルの物より上手く出来たのではなかろうか?。
雌の毛皮はレイラに渡し、最初の雄の毛皮を自分の物にして上機嫌に戻るミク。そのまま23号宿舎に戻り、ベッドに寝ると分体を停止するのだった。尚、ヴァルも戻ってきている最中のようだ。所長室のシャワーを使ったらしい。
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明けて翌日。食堂に行って栄養補助朝食を食べ、今日も農地へと行く。再びの土作りだ。職員は魔道具を使って土壌を調べ、作る作物に最適な土になっているか調べているらしい。昨日、満足するまで抜いてやったからか、何故か親切に教えてくれた。
まだ整っていない為、再び耕しながら肥料や水を混ぜ込んでいく。ここで育てるのは<ゾッティア麦>という物らしい。何でも酒の原料なんだそうだ。ガルドラン星国では最もポピュラーな酒で、これが一番安定して売れるとの事。
ついでに<ゾッティア麦>は収量の多い麦らしい。ただし美味しくないそうで、食料には使えないとの事。食べられなくはないが粘りが出ずパサパサで、口辺りも悪いらしい。何で知っているのかと思ったら農業惑星出身なんだそうだ。
中央監視施設の職員。その八割はガドムラン星国の者で、幹部連中だけがクーロンの関係者らしい。所長はクーロンの幹部なので普通の職員が逆らう事も無いし、そもそも絡みたくないそうだ。
不思議に思って聞くと、所長は溜まると職員か奴隷を呼び、自分の性欲を発散する為に使うらしい。鞭で叩かれる事もあるそうで、碌なものじゃないそうだ。誰も暴力なんて御免なので、自分が指名されないようにビクビクしているとの事。
実際に聞いている職員も磔にされて、一時間ほど鞭で打たれたり、蝋燭の蝋をアソコに垂らされたり、尻を張形で掘られたりした事があるらしい。アレをされれば逆らう事なんて絶対に考えないとの事。それぐらいの恐怖を刷り込まれたようだ。
その後は話もせず農業に集中し、またもや半日で終わったので食事をしにいく。さっさと食べ終わり、湖へと体を洗いに行くのだが、その途中で本体空間を通して会話する。
(ここの所長、シェプリムだっけ? 物凄く怖れられてたみたいだけど、ヴァルの話と真逆だよね? ヴァルは昨日シェプリムを叩いてたって言ってたし、それで悦んでたとか言ってなかった?)
(ああ、主の言う通りだ。最初は普通にしていたのだが、媚薬と精力剤が効いてきた辺りから様子がガラリと変わったな。只管に虐められる事を望み、叩かれると大悦びで尻を振るし、俺が命じると即座に足の指を舐め始めたぞ?)
(それって根っからの服従者よね? ヤマト皇国の言葉だと<ドM>って言うんだっけ? 本当にそんなの居るのねえ……、他人を虐めていても、内心は虐められたかったのかしら?)
(ヤマトで読んだ心理学? とやらの本には、他人に暴力的な者の中には代替行為としてやっている者も居るらしいよ。本当は虐められたくて、他人を虐めている奴とかね。おそらくは媚薬と精力剤で仮面が剥がされたんだと思う。変な奴なんて何処にでも居るよ、私達だってそうだし)
((まあ、それは……))
内心で会話をしつつ、昨日と同じ様に体を洗っていく。愛する母との裸の触れあいだからか、レイラはやたらに喜んでいる。十分に満足したら次はヴァルだ。やはりヴァルも肌を密着させて触れ合うと喜ぶ。
三人とも快楽を感じないのでイヤらしい意味ではなく、母と子がスキンシップをしているようなものなのだろう。実際に三人だけだと欠片も性的な匂いがしないのだ。三人だけなら。
「やっぱりお姉様方はここにおられたのですね。昨日は一日爺どもの相手で大変だったのです、体は綺麗に洗い流しましたが心はまだで……。入っても良いですか?」
「しょうがないね。三人一緒に入って来なさい、一緒に洗ってあげるから。レイラは御免だけど、見張りをお願いね」
「「「はい///」」」
「ええ。分かっているわ」
ファイレーセ達にはスキルの事などを聞いておかねばならないので、丁度良かった。そう思い、洗ってやりながらミクは聞いていくのだった。




