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0349・話の続きと食事




 突き上げられて地面に叩きつけられた熊は地獄の苦しみに呻いているが、そんな熊に素早く近付いたヴァルは熊の首を絞め始めた。脇の間に熊の首を挟み、足で熊の腕の外側から抱きつく。そうする事により、熊を動けなくした。


 レイラが近くに待機しフォローの準備を整えているが、熊は殆ど暴れる事も出来ずに窒息死した。先にミクが【土柱アースピラー】で突き上げた御蔭である。元気な状態であれば暴れるので締めるなど無理であった。



 『主が魔法で突き上げてくれていて良かった。そうでなければ暴れるので近寄れなかっただろう。締め上げる程度ならば特に難しくないからな、殺す事は容易い。………どうかしたのか?』



 見ると、ファイレーセ達は真っ赤な顔をして横を向き、ヴァルを視界に入れないようにしている。ヴァルは忘れていたが、完全無欠に裸である。それも引き締まった筋肉の肉体美を持ち、大きなモノも持っているイケメンだ。


 シュネヘルトとホルティエンが真っ赤になるのは分からなくもない、だがファイレーセ、お前は何故だ。元男だろう?。



 「そうは言われましても、今は女のカラダです。それに……女の快楽も知っています。男だったのは、あくまでも記憶の中だけでしかなく、それも薄れてきていますし……。その、凄い体と大きなモノを見せられると///」


 「御嬢様の仰る事はもっともです。そんな逞しい体を見せつけられて、女の心をこれでもかと乱しておきながら、顔色も変えず反応もされない。本当に罪な方///」


 「そうです。私達だって裸なのですよ? 部屋に服は置いてきていますが……。男性なのに変わらず反応もされないなんてズルいです。反応している私達がバカみたいではありませんか///」



 ファイレーセ達は、先程まで以上に胸と股間を手で隠しながらも、顔を赤くして文句を言っている。それでもヴァルの裸をチラチラ見ているのだから、コイツらも変わらないなと思うミクだった。


 殺した熊に近付き力で無理矢理爪を引き抜いたミクは、その爪を使って熊を解体する。非常にやり難いが気にしなくてもいいだろう。そう思いつつ綺麗に解体したミクは、皮の下の脂肪層を上手に削ぎ落としていく。


 その間に岩を探して持ってきたヴァルに、レイラと共に牙を使って穴を掘らせる。十分に煮炊きできる穴が出来たら、湖の水を魔法で入れさせて肉を煮ていく。臭味が大量に出るので煮こぼさせ、十分にアクを抜くと一旦煮汁を全て捨てる。


 穴を【超位清潔アーククリア】で綺麗にし、再度水を入れたら近くの木の葉も入れて煮込んでいく。香草に使えるっぽい物があったので入れ、煮込んだら完成。熊肉の香草煮込みだが、果たして食べられるのだろうか?。



 『別に美味くはないな、不味くもないが……。味があまりなくて肉としか感じられん。それでも栄養補助食品みたいな物よりはマシか。あれは酷すぎるからな』


 「あっ、アレを食べたんですね? おそろしく味気ない物で、よくあれを食べ物と言い張るなと思います。ここに来て初めて食べましたけど、アレを食べさせられたからこそ、体を売ってでも良い生活をしようと思えましたね。それぐらい酷い物です」


 「本当に肉! ですね。それ以外には何も言えませんが、料理道具も調味料も無ければこうなるのは仕方ないでしょう。正直に申しまして、肉を食べられるだけマシです。あそこの宿舎の料理は栄養補助食品ですし……」


 「やっぱりそうなのね。奴隷に食べさせるんだから最低限かと思っていたけど、栄養補助食品かー。主が最初の星で捕まってたけど、パンが出てくる方がマシなのかしらね? といっても一日パン一個だけど」


 「えっと……冗談ですよね? 一日でパン一個なんて死んでしまいますよ。……よく生き永らえましたね? ある意味で凄いです。……今日は私達の部屋に来られますか? ここの者を招くのは自由ですから、怒られませんし」


 「でも大丈夫なの? 変なヤツに狙われたりとか、おかしなヤツが襲ってきたりとかしない? 私達は叩き潰せるけど、貴女達はそうじゃないでしょ?」


 「多少は武術の基本も学んでおりますし、私達も要人警護の真似事は出来ます。とはいえ、魔物と素手で戦って勝つ事は不可能です。当たり前の様に勝って、当たり前の様に解体し、当たり前のように枝を拾ってきて加工する。やっておられる事は滅茶苦茶ですよ?」



 そう言いながらホルティエンはレイラが作った木のフォークで肉を刺して食べる。魔物の肉は魔力を多く含んでいるので、唯の動物の肉に比べれば美味しい。それでも限度があるが、肉としては食べられるのだ。


 多少食べて満足できたら、ミクが魔法を様々に使って強引に作った毛皮をヴァルが羽織る。内側も何とか毛皮として着れるようになった物だ。ファイレーセ達は着てきていたのであろう貫頭衣を着て歩きだした。


 後片付けとして全てを壊して更地にしたミク達は、宿舎の方に歩いていく。何故か誰も来なかったなと思いながら。



 「あの湖を使うのは一部の者達だけです。あそこの湖は魔物が出てくる湖でして、もう一つの方だと魔物も出ません。誰も彼もがそちらを使うので、あちらの湖には来ないのです」


 『ではお前達が居たのは何故だ? 危険なのではないのか? 申し訳ないが、お前達も魔物に勝てる様には見えんぞ』


 「ええ。とはいえ、私達は身体強化は使えるのです。それを使って御嬢様と逃げれば済みますので、そうやって今まで命を守ってきました。御嬢様も今は身体強化が使えますし」


 「必死に覚えて鍛えました。でも、武器も無いですし戦っても勝てません。あそこの職員は魔法銃を持っていますし人数が多いのです。2、3人に勝っても殺されるだけですので……」



 宿舎が近付いてきたので危険な会話は止め、当たり障りの無い会話に変えておく。そのまま進み、5階建ての建物の職員にファイレーセが話すと、ミク達も一緒に案内される。


 職員達が居る5階建ての建物は<中央監視施設>というらしく、ここで監視カメラなどを使って見張っているらしい。そこから地下道を使って移動した先に、1号宿舎があるそうだ。


 ここに入れるのは売り上げが高く、それだけの稼ぎ頭が申請し認められれば住めるそうだ。一月ずつ家賃のようなものを払わねばならないらしく、払えなければミク達が案内されたような最低ランクに落とされる。


 ここでは最低ランク以外に住むなら金を払う必要があるらしく、そこでヒエラルキーが出来ているようだ。ちなみにミク達は最低で、ファイレーセ達は最高ランクだと聞いた。


 案内した職員達は「お前達も頑張れよ」と言っていたが、おそらく家賃云々は職員の懐に入るのだろう。欲が漏れていたのをミクもヴァルもレイラも感じていた。そんな職員は無視しつつ、ミク達はファイレーセ達の後をついていく。


 そして自室に案内されたが、なかなかの大きさの部屋だった。ミク達がヤマトで泊まった5部屋あったホテルと同じくらいだ。一部屋が大きいので最高ランクというのも分からなくはない。


 そんな部屋でちゃんとした服を着ていくファイレーセ。御嬢様なドレスだが、シュネヘルトとホルティエンが着せている。そこだけ見ると御嬢様なんだが、中身の半分ぐらいは茨木吾郎である。まあ、そこはスルーしておこう。



 「スルーして下さい! それよりもシュネ、ホリー。御三方に服を出して、ただし普段使い出来る質素な物を。そうでないと嫉妬を受けるわ」


 「「かしこまりました」」



 そうしてミク達が貰ったのはシャツとズボンだった。何でも非常に安い生地の物なのだが、知り合いになった者にはあげているので、ミク達に渡しても問題ないらしい。ありがたく貰って着るものの、その美しさは色褪せないようである。


 ミクの胸とレイラの胸を見て「ジトーッ」とした視線を送るファイレーセ達。ちなみにシュネヘルトがB、ホルティエンがギリギリC、ファイレーセがギリギリBである。


 ミクとレイラのシャツを押し上げるモノに、なんとも言えない感情が渦巻いてくる三人。とはいえヴァルの視線に気付いたのか、すぐにお澄まし顔に戻してミク達を案内する。


 ヴァルの毛皮は良いのだろうか? 誰からも咎められないが……。


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