0347・農業惑星GEMA915
宇宙船の中でミクは、女性陣から変な目で見られたり嫉妬の視線を受けたりしたが、本人はどこ吹く風である。見せびらかしているといわれても仕方ない完璧なプロポーションであり、<美の女神>が監修した造形である。美しくて当たり前なのだ。
そのうえ肉塊にとっては唯の擬態でしかない。本体は肉の塊なのだから当たり前ではあるのだが。だからこそ、余計に性欲を向けられる事に関して無頓着なのである。ちなみにヴァルもレイラも人間種と同じではない。
ミクに対して注意しているものの、ヴァルは主であるミクの裸を不特定多数に見せるのは如何なものかと思っているし、レイラは愛する母の体を他人に見せたくないという思いである。両者とも言っている事は間違ってないが、内心はズレまくっている。
そんなヴァルとレイラだが、ヴァルは凄い筋肉と大きなモノを持っておりイケメン。レイラは豊満なバストとくびれを持つ妖艶な美女。どちらも男女を十二分に誘惑する肉体であり、ミクの事を言えないプロポーションとスタイルである。
それを意識しているのかは分からないが、ミクを含めた三人は周囲を十二分に欲情させ続けている。一部の女性はミクやレイラを、一部の男性はヴァルの裸を見ているが、そこにツッコミを入れるほど野暮ではなかった。面倒なのでスルーしたとも言う。
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周りを魅了しつつトイレに行ったり食事をしたりしながら2日、遂に宇宙船は何処かに着陸した。外が見えない宇宙船なので何処に来たのか分からないが、枷を着けた者を連れてくるのだ。碌な場所ではあるまい。ミク達の裸で頭が茹だっていた者達も、表情を不安気にしている。
そんな中、ミク達は外に出される。出た場所は特にどうこうと言うべき場所ではなく、なだらかな斜面の丘だった。発着場としては普通の場所だし、周りは山と海だ。ここはリゾート惑星かと思ったのだが、それならミク達を連れてくる理由が分からない。
発着場からは魔導四輪に乗せられて連れて行かれ、畑や農場が見える所へ連れて来られた。大きな5階建ての建物があり、そこへ入れられると職員か何かが出てくる。宙賊はそこの責任者に引き渡すと去っていった。
目の前の職員から、どうやら話があるようだ。そいつは警棒の様な物で左手の掌を叩きつつ話してくる。
「ようこそ、皆さん。ここは農業惑星GEMA915。表向きはガドムラン星国の農業惑星だけど、裏はクーロンの売春惑星なの。私はここの所長をしているシェプリム。よく覚えておく事ね、死にたくなければ」
「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」
ミク達以外は言われた事が分かったのか絶望的な顔をしている。どうやらここは農業惑星であり、おそらくは逃亡できない場所なのだろう。ミク達ならば生身で宇宙空間に出ても平気だが、普通の生物はそうはいかない。出られない監獄のようなものかとアタリをつける。
「一部分かっていないようなのが居るけど、まぁいいわ。貴方達には普段農業をしてもらい、お客様が来たら相手をしてもらう。もし運良く気に入られたら、ここから出してもらえるかも……しれないわね。まあ、精々頑張って媚を売って股を開いて頂戴」
「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」
「男の方も同じよ? 好き者が来るから頑張って腰を振って楽しませてあげてちょうだいな。そうすれば身請けしてもらえるかもしれないわ。どのみち永遠に性奴隷から抜けられないけどね? じゃあ、連れて行って」
「「「「「「ハッ!!」」」」」」
周りに居た職員と同じ格好の者達が、ミク達を連れて行く。どうやらここには集められた者達が他にも沢山いて、それ以外に魔物も居るそうである。外に出ると魔物に殺されるとでも言いたいのだろう。武器も無いし。
ミク達が入れられたのは23号宿舎というところで、その近くにある広大な畑を耕さなければいけないそうだ。ノルマがあり、それが達成できるまで働かされるらしい。この惑星を出る事自体は容易いが、ここは宙賊のアジトと違って監視カメラが無い。
この宇宙の監視カメラは魔力で動くので、ミクには簡単に場所が分かるのだ。それに電気で動くヤツも、電気の有無を調べればいいので簡単に分かる。近くに全く監視カメラが無いのは、おそらくワザとだと思われる。
ちなみに宿舎の部屋は4人で一つの狭い部屋だが、たまたま人数が合わずミク達は三人部屋となった。ちなみに枷は外されたが未だ裸のままである。体を売っている者の中には服を渡される者がいるらしく、「そうやって手に入れろ」との事。
つまり自発的に体を売らせる方向に持っていきたいらしい。ミク達にとっては服が有ろうが無かろうがどうでもいいので、特に気にもならない事である。それはそうと、食事はどうなっているのやら。
案内してきた職員が早速畑の仕事を教えてくるが、ミク達にとっては容易い事でしかなかった。性奴隷といっても奴隷だ、ミク達は素手で耕せと言われると思っていたのだが、農業用の魔道具で耕すらしい。
耕運機みたいなもので耕すのだが、自らの魔力で動かすしかないようだ。すぐに動かせなくなっている者が続出しているが、ミク達はどんどん耕していく。あっと言う間にノルマが終わったので座って休むと、職員が唖然としていた。
「お、お前達!! こっちもだ! こっちの一面もやれ!!」
「ん? そっちも? 別に良いけど……すぐ終わるよ?」
ミク達は耕運機の魔道具で耕していくが、こちらの一面も20分ほどで終了する。本来は魔力が無くなると叩いて無理矢理やらせるみたいだが、ミク達の魔力は無尽蔵である。こんな事では無くならないどころか、大して減りもしない。回復の方が遥かに速いくらいだ。
またあっさり終わらせてしまい、今日のノルマを完全にクリアしたミク達。他のメンバーがやらなければいけない分も終わらせてしまい、23号宿舎に戻る前に近くの湖で水浴びをするのだった。
ここではコストをなるべく減らす為に【清潔】の魔道具などは使えない。体を売って手に入れる事は可能らしく、全員が体を売る事前提で成り立っているようだ。湖に行くと水浴びをしている女性達が居たが、ミク達は気にせず入る。
「あなた達、いったい何を勝手に使っているのですか!? 今はファイレーセ御嬢様が使っているのです!! さっさと出ていき、ヒィッ!!?!?」
「………」
ミクが本質を少しだけ出して睨むと、女二人と、その二人に傅かれていた女が息を呑む。あまりの恐怖に震えながら失禁し、体が動かなくなったようだ。そんなザコどもの事など気にせず、ミクはヴァルとレイラと共に水浴びをして体を綺麗にしていく。
お互いの体を手で触ったり、優しく撫でたりしながら綺麗にしていると、今度は女三人が赤面しながらもジッと見ているのだった。こいつらが何をしたいのか分からないが、ミクは揶揄う事にしたようだ。
「そこで見ているだけなんて楽しくないでしょ? さっきの事は水に流してあげるから、こっちに来なさい」
「え? あ、はい……。お願いします、お姉様//////」
あれ? コイツもしかして最初の星のナナドーアと同じ? そんな疑問を持ちながらも、丁寧に体を撫でて洗ってやるミク。そのミクの手つきに嬉しそうに身悶えするファイレーセ。
他の女二人も顔を真っ赤にしつつ、欲情の篭もった目で湖に入ってくる。こういうところでも男と女は変わらないなと思うヴァルとレイラ。二人も女二人を洗ってやるのだった。
おそらくミクには何か狙いがあるのだろうと思いながら……。




