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0346・宙賊のアジトと宇宙船




 ミクとレイラは宙賊の連中を相手にしていたが、事切れた連中ばかりになったので部屋を出る。汚い物だらけだが、魔法を使って綺麗にすると怪しまれるので今はこのままで居るしかない。それよりも、アジトを把握しない事には先に進めない。


 小さな星をくり貫いて作られているからか、思っているよりは広いのだ。森の洞窟をアジトにしていた盗賊とは訳が違うし、規模も大きく違う。なので何処に何があるのかを把握する必要があるのだが、そもそも宇宙船を操縦できるパイロットは何処に連れて行ったのであろうか?。


 もし殺されているなら、宇宙船が残っていても操縦できる者がいない。そこに気付いたミクは困ったなと思いながらも、記憶を掘り起こしつつ汚れを落とせる部屋に行く。記憶していた場所に来たのでさっさと汚れを落とし、最後に【超位清潔アーククリア】を使っておく。


 レイラも綺麗になったようだが、未だ服が無いなと困っていると慌ててこちらに走ってくる宙賊がいた。そいつはミクとレイラを引っ張ると、先ほどの部屋へと連れて行く。


 その後は他の宙賊に根掘り葉掘り聞かれたが、ミクとレイラは「知らない」の一点張りである。そのうえ監視カメラの映像を見ると、ミクやレイラはヤられていただけなので、そもそも殺す事なんて出来ない事が分かった。


 結局、死因が分からなかったので、爺どもと同じく宙賊どももヤり過ぎという結論で終わった。そもそもミクもレイラも裸であり、武器も何も持っていないのだ。そんな二人がどうやって人を殺すというのか、むしろミク達が聞きたいだろう。……普通は。


 意図的にこういう状況を作り出しているのだが、普通の人間種にはそう思えるのだ。どうやって? と問われたら、宙賊も分からないから答えようがない。だからこそ、ミクやレイラの所為だと言えないのだ。変なところで律儀な宙賊だった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 鉄格子の付いた独房に戻されたミクとレイラは寝転がって分体を停止している。外から見れば寝ているようにしか見えないだろう、一応は胸が上下している。最低限、人間種に見えるようにはしているので、自動で呼吸しているフリぐらいはする。


 どうも宙賊どもの結論としては、ミクとレイラの具合が”良すぎて”腹上死したのだろうという結論になったらしい。寝ているフリをしていても、小さな音すら聞き逃さない肉塊である。遠くで喋っていても聞こえている。


 ミクとレイラが狙った形になったのでヤレヤレと思いつつ、これでバカな事をしてくる宙賊もいなくなるだろう。後は宙賊のアジトから脱出する方法だが、普通の人間種が出来る事をしないといけない。肉塊の異常なスペックがバレると怪しまれる。局部が異常な高スペックなのはバレてもいいのだが……。


 それはともかく、自然な形でどう脱出するか。ヴァルも交えて本体空間で議論しているが、未だに答えは出ていない。何と言っても、普通の人間が出来る範囲でないといけないのだ。それでは出来る事が極端に減ってしまう。


 多少の高スペックなら優秀な傭兵で済まされるのだが、鉄格子を曲げて潰したり、宇宙船を魔石無しで動かしたりしたら怪しまれるでは済まない。MAS06を魔石無しで動かした時も騒がれたのだ。宇宙船はアレ以上に魔力を必要とする。


 それでもミク一人で余裕をもって賄える程度でしかないのだが、それが公になると碌な事にはならないだろう。だからこそ、ヴァルも含めて相談しているのだ。ちなみにだが、ヴァルも今は独房に入れられている。ただし、男性用の独房だ。


 そちらは男性が連れて行かれて、女宙賊の相手をさせられているらしい。他の男性もさせられたらしいが、出なくなるとお尻の方を刺激されて無理矢理だったそうだ。男女どちらにとっても拷問のような状況であろう。


 とはいえ女性の方に関してはミクとレイラがやらかしたので、他の女性は宙賊の相手はさせられていない。そういう意味では助かったと言えるだろう。これからはどうなるか分からないが。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 あれから10日ほど経った。大まかな地図は頭の中に出来上がったが、未だに脱出の目途めどが立たない。どうやって宇宙船を操縦するかと、どうやって脱出するか。普通の人間種までスペックを落として考えると、出来ないという結論になるのだ。


 困った事にあれから隙が無くなったというか、ミクとレイラは呼ばれなくなった。もっぱらヴァルから入ってくる情報頼りになってしまっている。特に厄介なのが、鉄格子付きの牢をずっと監視カメラが記録している事だ。流石にムカデになる訳にはいかない。


 コレの所為で余計に手が封じられてしまっているのだ。ミクやレイラにとって腹立たしいが、肉塊の本質を発揮するのは致命的な失敗と言わざるを得ない。唯一良かった事と言えば、クーロンの女幹部が完全にヴァルのとりことなっている事だろう。毎日呼ぶので全ての情報を引き出せている。


 とはいえ、その情報だけで脱出できるほど甘くはない。なのでタイミングを計っているというか、チャンスが訪れるのを待っている。ヤマトで読んだラノベの中に、そういうシチュエーションがあったのをミクは覚えているのだ。


 なので今は待ちの状態だと思っている。出てくる食事も栄養補助食品のような味気ない物だし、早めにどうにかしたいのだが焦ってもしょうがない。不思議とイライラしないミクに安堵しているヴァルとレイラ。


 ミクもまた不思議にイライラしない自分に戸惑っているが、妙な経験とか色々してきた所為だろうと適当な結論をつけた。分からないのだから仕方ない。それにしても、チャンスは来るのだろうか?。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 あれから更に10日経った。何故かは分からないが、今日は独房から出され歩かされている。どうやらヴァルも同じらしい。いったい何があるのかと思ったら、ミク達が乗ってきたのとは別の宇宙船に乗せられるようだ。


 というより、ミク達が乗ってきた宇宙船は何処にも無かった。おそらくは解体されたか、闇商人のような者に売られたのだろう。そう思っていると座席も何も無い宇宙船に乗せられ、その宇宙船はアジトから飛び立った。いったい何処に連れて行かれるのだろうか?。


 乗っている者達も全員不安そうにしているし、枷を着けられているうえに裸だ。女性達は女性達で固まって男性に背を向けている。裸を見られるのが恥ずかしいのだろう。贅肉がたっぷり乗っているオバサンも恥ずかしそうにしている。


 その体はどうなのかと思うが、ミクは裸でも全く気にしていない。



 「相変わらずだけど、少しは気にしてほしいわ。裸を見られても気にしないのは知っているけれど。向こうの男どもがチラチラ見てるの分かってるでしょ? 見せびらかしてない?」


 「別に見せびらかしてはいないけど、見られるのは特に気にしないね。好きなだけ見れば良いし、自分で慰めるなら好きにすればいいと思うよ? 別に私が犯される訳でもないんだし」


 『主は相変わらず過ぎる。もう少し自重してほしいところなのだがな? そうしないとレイラがキレるかもしれん。もちろん俺もだが』


 「自重と言ってもねえ。さっきも言ったけど、犯されるならまだしも、見られているだけなら特に問題ないよ。それに、何か嫌な思いをする訳でもないしね。そもそも男が女に欲情するって健康な証拠でしょ? そこでおっ勃ててる少年なんて正にそうじゃん」


 『まあ、それはそうだが……。ハッキリ言うのもどうかと思うぞ? 本人は恥ずかしがってるじゃないか』


 「そうよ。傷付くことだってあるんだから、指摘するのも良くないと思うわ」



 そう言っているレイラも体を隠そうとしていないのだが……そこはどう考えているのだろうか?。


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