表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
347/500

0340・第二坑道




 坑道を戻るミク達の前では、モグラの魔物がゴキブリの魔物を殺して食っていた。どうやら残していった虫の肉にゴキブリが群がり、そいつらをモグラが捕食しているらしい。なので放っておく。


 ミク達は早く終わらないかと思っているが、なかなか前方の争いは収まらない。モグラの数が少なく、ゴキブリも反撃しているからだ。多勢に無勢だったのか、遂にモグラの魔物が殺される。寄って集って噛み付かれたので耐えられなかったのだろう。


 ミクは【火弾】を連射してゴキブリの魔物を燃やす。理由はこっちを狙う気配を見せたからだ。敵に容赦などする筈も無く、最速で燃やされて暴れるゴキブリ。近付くものは魔法銃で殺されるので、ゴキブリは前方へと走って行った。


 ミク達は呼吸をする必要が無いので問題無いが、普通は酸素が減るのでやらない事である。普通の人間種ではないとバレるおそれもあるので危険なのだが、相変わらずゴキブリの魔物を燃やすのが好きなミクであった。


 歩いて脱出していくも魔物が見当たらない。残していった肉はあるので、恐らくは火の着いたゴキブリの魔物が暴れた所為だろう。そう思いながら歩いて行くと、何やら傭兵らしき気配が前方からする。


 不思議に思っていると、前から声を掛けられた。



 「おい! そこに誰か居るのか? 居たら返事しろ! 返事が無きゃ撃つぞ!!」


 「何で撃たれなきゃなんないの? ここに居るよ! で、何?」


 「そこに居たのか。で、お前さんらがやったんだろ、火着け! あのゴキブリの魔物に火を着けるヤツはたまに居るんだが、暴れて危険だから止めろ!! 後、中の酸素が無くなるから良い事じゃねえんだよ」


 「あー……それはゴメン。面倒だから火を着けた方が早いと思ってさ。それで火を着けたんだよ。結構多いし面倒臭いし、そのうえモグラの魔物もあいつらに噛み殺されてたし。寄って集って噛み千切られてたよ」


 「そりゃ珍しい事もあるもんだ。大抵の場合は、爪で切り裂かれて食われるだけなんだが……。ま、そりゃいいか。とにかく火を着けるのは止めな。ここは第一坑道だからまだいいが、第二坑道にはそれなりに入ってる奴もいるからな」


 「了解。そういえば第一坑道には私達以外誰も居なかったからか、ビックリするほど虫の魔物が出てきたんだけど? 確かに虫の魔物は多いって聞いてたけどさー」


 「ああ、それか。第一坑道は碌な魔物も居ないし、碌に宝石も採れねえんで殆ど誰も行かねえのさ。宝石? ああ、原石だよ。鉄鉱石なんて掘っても碌に金にならねえけど、宝石の原石なら稼げるのさ」


 「へー」



 そんな話をしつつ、ゲートの所に居る警備員に話して外に出る。魔導二輪を出して乗ると、さっさとEF22に戻るのだった。話していた男連中はガン無視された形である。まあ、下心満載の連中だったので当然ではあるのだが……。


 EF22に戻ってきたミク達は、さっさと宿に行き部屋を確保。その後、虫の魔物の素材を売りに行く。鉱山に売る場所が無いのは不便だが、あそこは鉱山だから仕方ない。どのみち大半の傭兵も魔導二輪か魔導四輪で運ぶんだし。


 解体所のような所に行き、素材を出して売り払う。解体しなくて良い分、多少はオマケしてくれたが、それでも82170セムにしかならなかった。傭兵を倒す方が儲かるなと思いつつ、ミク達は食堂へと行く。


 少し早めの夕食を食べたら宿に戻り、ゆっくりとしつつ第二坑道の事を考える。明日は第二坑道に行くのだが、魔鉄を掘り出せるかどうかは分からない。それと人が居る可能性が高いので、【土中探知】が使えるかも分からない。


 迂闊に使うと他の傭兵の方に行くかもしれない。とはいえ、他の傭兵も儲かるかもしれないし、人が多い分魔物も少ないかもしれない。一番儲かるのは今掘ってる坑道なんだが、そこは代わりに作業をしている人が居るので迂闊な事が出来ない。


 どうしたものかと思いつつ、明日考えればいいかと分体を停止する事にした。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 次の日。ミク達は朝食を食堂でとった後、再び鉱山へとやってきた。昨日はムカデとかゴキブリとかモグラしか居なかったが、今日はもうちょっと高く売れる魔物が出てきてくれると助かる。そんな事を考えつつ、第二坑道へと向かうミク達。


 中へと入って行き、最初に思ったのは、第一坑道とは違い、支道があることだった。蟻の巣みたいになっている坑道である為、どこからどう魔物が出てくるか分からない。それでも朝早いからか、ミク達以外に第二坑道に入っている者はいないようだ。


 試しに【土中探知】を使ってみると、第一坑道とは比較にならないほど少ない数しか出てこなかった。比較すると、どれだけ第一坑道に人が入ってなかったか分かる。そんな事を考えつつ支道一つ一つを調べていく。どこに魔鉄があるか分からないし。


 第一坑道もそうだが、細かい魔鉄はそれなりに存在する。とはいえ、ある程度の塊で存在してくれないと掘る気にもならないし、掘ったところで落盤の危険性が増えるだけだ。幾らミク達とはいえ、そんな迂闊な事はしない。フラグの事もあるし。



 「ここは魔物の数が少なくて助かるけど、逆にやる事が少なくて困るね? 宝石関係の物もあるけど、小さなのばかりで掘る気にもならない。そもそも宝石を掘りに来た訳じゃないし、困ったものだよ」


 『仕方ないだろう。強力な魔物もそこまで居る訳じゃない。もちろん出てきたら儲け物だが、そういう奴等は滅多に出てこないから高値なのだしな。やはり儲けるなら傭兵を殺した方が良いのだろう』


 「でも傭兵だってドッグタグ一つで2万セムよ? もちろん傭兵の場合は装備を売ったりすればもっと稼げるけれど、それでも限度があるわ。夜の装備を持つ奴か、魔導装甲を重点的に狙うべきかしら?」


 『そんな事をすれば不必要に目立つ。決して良い結果にはならんと思うぞ? 食べられる肉は増えるかもしれんが、面倒な事もそれだけ増える。主が爆発するかもしれん』


 「それは……まあ、分からなくもないけど。それよりも、この坑道から急に支道が多いわね。逆に言えば、何故第一坑道は支道が一つも無かったのよ」


 『話を聞いてなかったのか? 第一坑道は試掘の為の坑道だ。だからあそこで止まっていて、あれ以上は掘られていない。本格的に鉄を掘っているのは第二坑道からだ』



 そんな話を暢気のんきにしつつも、現れる魔物を次々に倒していく一行。鎧袖一触、相手にならないザコを処理しているようなものである。【土中探知】で沸いてきた魔物をあっさりと処理していく。


 第一坑道と同じ魔物しか出ないのでウンザリしつつ、面倒なので魔物の肉は埋めていく事にした。これなら虫の魔物が寄ってくる事も無いだろう。もしモグラの魔物が掘り当ててもそれはそれ、ミク達の責任ではない。


 【落穴】の魔法で穴を空け、適当に捨てて埋める。そんな事を繰り返しながら支道に進んでは、行き止まりで戻るを繰り返す。所々に点在しているものの、一塊ではないので掘らずに進む。


 ウロウロしていると他の傭兵に会ったが、互いに会釈だけして通り過ぎる。大きな声を出すと魔物が寄ってくる事もあるので、会釈だけなのが基本だそうだ。昨日の下心満載傭兵が教えてくれたのだが、その通りだったらしい。


 下心満載だったが、言っている事は正しかったようである。それはいいのだが、第一坑道よりも広いにも関わらず、第一坑道以上に金属や宝石が無い。こちらは掘り尽くしたとして廃坑になったからだろうか?。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ