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0328・LO12での買い物




 食堂に行き、一人7000セム出すと普通の食事が出てきた。もっと高値の料理があり、<ワイルドドッグ>の面々はそれを食べていたが、別にそこまで高値の物でなくともいいらしい。ミクは久しぶりの普通の食事に十分満足したようだ。


 ゆっくりと堪能した後、ミクは簡易事務所に戻って傭兵に必要な物を聞いて行く。これに関しては他の傭兵に変に思われない為のものであり、ミクが自ら欲しいと思っている訳ではない。


 幾つか聞いたものの、大型のナイフぐらいは持っておけと言われた。最後の最後に頼れるのは無骨な刃物だという考えはあるらしく、魔法銃にだけ頼るような戦いは危険なのだそうだ。そもそもミク達はそんな戦いはしないのだが。


 それはともかく、一旦LO12に戻って装備などを整える事に決め、再び走って移動する。東から魔導二輪車や魔導四輪者でやって来る者が居るが、そういった者からすれば走っているミク達はバカにする対象らしい。


 金の無い新人という感じなのだろう、笑われているがミク達は気にしていない。そのまま走り続け、LO12に到着した。


 町に入り、まずは武具を売っている場所に行く。倉庫を改造したような店だが、どの店も似たような店構えである。この形が一番コストが掛からないのだろう。ミク達は武器を見ていくが、役に立ちそうな物は無かった。敵から奪って装備を整えたのだから、普通の装備は持っていて当たり前である。


 大型の良さ気なナイフを見つけ、それを三本33000セムで買う。魔法銃よりも大型ナイフの方が高いのだから呆れてくるが、そこは横に置いてガンベルトに着けておく。


 次に食料を売っている店に行って保存食を探すと、栄養食が売っていたので無視して移動。ウロウロしていると、干し肉とチーズにパンが売っている場所があった。栄養食よりも大分高いのは腹立たしいようだが、ミクは購入する。不味い物はお断りなのだろう。


 その後、移動手段の為に魔導車の店に行く。魔導二輪車、魔導四輪車が売っているが、一人用から三人用までしかないらしい。殆どの傭兵は五人組か六人組でチームを組む為そこまで大型の物は要らないらしく、更に大型の物は値段が跳ね上がるそうだ。


 ミクは魔導二輪車を三台購入し、150万セムを支払った。高い買い物になったが仕方ない。一人用の魔導二輪車はヤマト皇国で見た原動機付き自転車と似ていて、同じぐらいの大きさの物だ。バイクという物ほど大きくはない。


 篭める魔力によってスピードが変わるらしいが、篭めすぎると壊れるので魔力が多いと注意しろと説明を受ける。ミク達は恐る恐る魔力を篭めたが、少ない量でも動くようだ。すぐに慣れたミク達は、魔導二輪車をアイテムバッグに仕舞って魔道具店に行く。


 中に入って最初に目に付いたのは、ヤマトにあったスマコンであった。この星系では普通に使われていて、<MASC>という商品らしい。誰も彼もがマスクと呼ぶものらしく、使ってみるとスマコンと変わらなかった。


 ただ、スマコンほど豊富な事は出来ない代わりに、他の惑星とのやりとりも可能なようだ。1台15万セムだったので、これも3台買っておく。安値の物なのでそこまで良い物ではないが、ミクとしては情報収集が出来るだけで十分である。


 他に買う物は無かったので、ミク達は町を出て少し歩く。その後に魔導二輪車に乗り、西の戦場へと再び移動していった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 移動中に問題も無く、魔導二輪車でミク達はベースキャンプに戻ってきた。アイテムバッグに魔導二輪車を仕舞うと、まずはブラックホークの簡易事務所へ行く。すると、随分と傭兵が集まっているようだった。



 「おお! お前達か! 丁度良いところに来た、そこで聞いていてくれ。昨日の夜に何かあったのか、今日の昼間の攻撃は昨日より激しかったらしい。そこで、明日の昼に大々的に反撃を行う事に決めた。指揮を執るのは<ワイルドドッグ>だ」


 「<ワイルドドッグ>のリーダーをやってるバルハーマだ。明日のクソッタレどもブッ殺し作戦に参加する奴はオレの方に来てくれ!!」


 「それ以外の奴に頼みたいのは夜間戦闘だ。明日の攻勢には多くの者が参加してほしいと思っている。で、新人のお前達には夜間戦闘に参加してほしいんだが良いか?」


 「私達? 別に良いけど、出来る限り邪魔な連中を排除すれば良いんだよね? それ以外にアレをしろコレをしろと言われても困るよ?」


 「ハッハッハッハッハッ、流石に新人にそんな無茶を言ったりせんさ。とはいえ、お前さん達は既に30を超える戦果を挙げている。だから期待はしているぞ? また儲けて戻って来い!」



 ここの統括に「ニヤリ」と笑いかけられたが、顔が厳ついという事を自覚しているのだろうか? ただ人相の悪いオッサンの顔が更に悪党面になっただけである。


 既に夕方が近かったので、ミク達は食堂に行き高めの普通の食事を頼む。席に座って待っていると、<ワイルドドッグ>の面々が隣に座った。



 「よっ! お前らには明日の攻勢に加わってほしかったんだがなー。まあ、ここの統括に言われたならオレらも大きくは言えねえ。それはともかくとしてだ。今日の昼間の攻撃が激しかったのは、多分お前さんらの所為だろ?」


 「アタシ達は責めてる訳じゃない、何故なのかを知っておきたいんだよ。明日の指揮を任されてるんでね」


 「夜中に敵の傭兵を生け捕りにして、喋ってもらったんだよ。そしてクリムゾンヴァルチャーの拠点が北西に、クーロンの拠点が南西にあるのが分かった」


 「「「「「クーロン!!!」」」」」



 突如、立ち上がる程に驚いた五人は、咳払いした後で席に座る。そこまで驚くほどの相手なのだろうか? ミク達にとってはどちらもザコなので、イマイチ判断がつかない。なので聞いてみる事にした。



 「いや、クーロンとクリムゾンヴァルチャーの連中じゃ全然違うだろ。クーロンの連中は頭がおかしいのか、魔法銃を撃ちながらも近接戦闘までしやがるからな。あいつら滅茶苦茶なんだよ」


 「………バルハーマ、この子達「それが?」っていう顔してるんだけど? アンタ達まさかと思うけど、接近戦が出来るの?」


 「普通に出来るけど? いや、驚かれても困るし、むしろ近接戦闘ぐらい出来なきゃダメでしょ。それこそが殺し合いなんだし」


 「「「「「………」」」」」


 「うわぁ、コイツらマジだ……。本気で近接戦闘っつう危ない事をする連中だったとはな。普通はそこまでの危険を冒したりしないぞ? そんな危ない事は狂人しかしねえっつーの」


 『近接戦闘の方が勝てる可能性が高い場合はどうするんだ? 接近すれば勝てるのに、わざわざ距離をとって仕切り直しでもするのか?』


 「そうだよ? 当たり前じゃないか。………ああ、アンタ達だと突っ込むんだね? よくもまあ、そんな危ない事を続けるもんだ。絶対に早死にするよ、アンタ達。賭けてもいいくらいだ」


 「じゃあ彼らは生き残るね。メイリョーズの賭けは当たる事の方が珍しい。九割を外す女は伊達じゃないから、アタッ!?」


 「余計な事を言うんじゃないよ!!」



 一頻り笑った後で食事を終えたミク達は、食堂を出て夕闇の中を出発する。クリムゾンヴァルチャーとクーロンの連中は大分ご立腹らしい。少なくとも今日の夜にどちらかを沈めようと思うミク。


 MAS04二機か、それともMAS06一機か。どちらかを沈めておけば、明日の昼の戦いは楽になるだろう。どちらにするべきか? 判断に迷うミクだった。


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