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0325・西の戦場




 4階建てのバスが北西の町へと走って行く。外には山と森が見え、手つかずの自然ばかりが見える。この星は金属資源を採掘する為の星で、かなりの量の資源が眠っているらしい。


 その資源の取り合いをしているのがヴィルフィス帝国とガドムラン星国という二国だ。どちらもそれなりに多くの星を支配下に置いている星間国家で、軍事力もかなりのもののようだ。


 ここは辺境なのでそこまででは無いらしいが、もっと熾烈に戦争を繰り返している所もあるらしく、そこではもっと稼げるようだ。とはいえ、空間戦闘用の兵器がないと参戦すら出来ないらしいが。


 それと魔法銃以外に、近接戦闘用の風弾ナイフも所持していた。これは刺したり切ったりしつつ、【風弾】を使って戦うものらしい。何でそんな面倒な事をしているのかと思いきや、この星系では自力で魔法が使える奴が殆ど居ないようなのだ。


 かつての時代に魔道具が完成し、その後に誰でも均等に使える魔道具が開発された。これで魔法陣を刻むのに術者の力量に左右されなくなったらしい。気付けば人間種は魔法を使う努力をしなくなり、魔道具に頼るようになって今に至る。


 楽な方、楽な方に流された結果のようだ。魔道具があれば魔法が使えるので、魔法を使う努力を全くしない。一部努力して習得している者は居るみたいだが、そういう連中は凄腕だったり、国に所属したりしているようだ。


 高給取りなのかは知らないが、この星系では魔法使いは貴重なんだと理解できた。自分達の価値が高い事は分かったが、どうするべきかは少し迷っている。敢えて出さないで名を上げていくか、それとも出して暗殺者などを喰うか。


 どちらでもいいので悩みどころだが、今は隠しておこうと思うミクだった。バラすのはいつでも出来るし。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 三時間ほど掛かったものの、北西の町LO12に到着した。ミク達はバスを降り、LO12に入っていく。特に門番とかは居ない。かわりに大きなゲートがあり、そこにドッグタグを翳すとゲートが開く。


 これなら門番も要らないなと思いつつ、LO12の傭兵斡旋所というかブラックホークの事務所へ行く。中に入って受付嬢に聞くと、LO12の西ではガドムラン星国との争いが激化しているそうだ。


 この惑星ではブラックホークはヴィルフィス帝国側だが、別の惑星ではガドムラン星国側であったりするので注意するように言われた。ブラックホークは所詮傭兵であり雇われだ。雇ってくれる方の味方をするのは当たり前となる。


 個人的にガドムラン星国に雇われている者も居るので気をつけるようにと注意もされた。内部からの裏切りという事もあるらしい。誰が味方で誰が敵かすら分からない、そんな戦いをするのが傭兵だと説明を受ける。


 ミク達を脅かしたかったのかは知らないが、ミク達にはまるで効いていない。さっさと西の戦場の話を聞き、何をしたらいいかを聞く。すると、敵の傭兵を殺してドッグタグを奪えばいいらしい。



 「相手の傭兵のドッグタグを持つという事は、相手を殺したという事です。相手から奪っただけでは報酬にはなりませんが、それが発覚した場合は賞金首になりますので気をつけて下さい。また賞金首を倒してドッグタグを手に入れれば、賞金が手に入りますよ」



 そういうシステムのようだ。それにしても小さな金の為に大きな組織を騙すバカが居るらしい。いつの時代でも何処でも変わらないと言えばそれまでだが、それにしてもバカは居なくならないなー、と思うミクだった。


 西の戦場へは自力で行くしかないらしく、ミク達は歩いて向かう事に。お金のある奴なら魔導二輪車とか、魔導四輪車とかを買って乗るようだ。ちなみにヤマト国のように免許とかは要らないそうで、買って乗り回すのは普通の事らしい。


 ミク達は町から離れると走っていき、一時間ほどで目的地に到着した。もしかしたら魔導二輪車よりも早かったんじゃなかろうか? そんな事を思いつつブラックホークの簡易事務所に行き、現在の戦場の状況を聞く。



 「現在ヴィルフィス帝国は北西と南西から攻めて来ている敵軍に対処中だ。我々は遊撃だが、向こうも遊撃の傭兵を放っている。大半は歩兵だが、一部に魔導装甲が確認されているので注意しろ」



 魔導装甲とはいったい何だと思って確認すると、人が乗り込んで戦う大きなな乗り物の事らしい。現在確認されているのは、MAS04とMAS06だそうだ。型番で言われてもサッパリ分からないが、どちらも蜘蛛型の魔導装甲らしい。


 MAS04が蜘蛛型で【風弾】を使うタイプ、MAS06が蜘蛛型で【魔力弾】を使う物らしい。どちらも大きく、人を踏み潰そうとしてくるので、近寄らないように遠くから攻撃して動けなくするのが基本のようだ。倒せたら報酬が出るとの事。


 ミク達は聞きたい事は全て聞いたので、早速戦場へと行く。昼食を食べていないが、味気ない食事をする気にもならなかったので移動を決めたようだ。北西と南西に軍が居るものの、その隙間を縫うような形で相手の傭兵が攻撃してきていると言っていた。


 なのでミク達は真っ直ぐに西へと行く。この辺りは森と山だらけであり、LO12の東に多くの資源を採掘している山があるらしい。敵軍はそこを狙って進軍してきているようだが、分かりやすい戦争の理由である。


 ミク達が西へと真っ直ぐ進んでいると、早速森に紛れた連中が居た。ミク達は声を出さず、【念話】も使わず意思疎通を行う。肉塊と使い魔ならではの方法であり、他の者には絶対に気付かれない方法だ。


 相手は5名だったので素早く身を隠し、無味無臭の麻痺毒を散布して敵を麻痺させる。「ドサッ」という音がした後で敵に近付いたミクは、裸に剥いて全てをアイテムバッグに仕舞った後で話を聞いていく。


 会話をする為の道具や、音を記録する為の物を持っている可能性がある。ミク達の事は出来得る限り気づかれたくない。なので裸にひん剥いたのだ。後は脳を操って聞きだし、終わったら首から上を喰って転送する。


 それを繰り返し敵軍の情報を仕入れたら、手に入れた物を整理しつつ話し合いを行う。



 (北西の敵軍の近くにMAS04が二機。南西の敵軍の近くにMAS06が一機。MAS06の方が後で作られただけあって、防御が硬く足が速いうえ、強力な砲を持ってるみたい。まずはMAS04を撃破かな?)


 (無理に撃破する必要も無いと思うがな。今は意図的に目立たなければいけない訳ではないし、向こうの傭兵を削り続けた方が良いと思う。その後に撃破するかどうか決めたらどうだ?)


 (私もヴァルの作戦に賛成。いきなり魔導装甲というのを破壊したら多分だけど怪しまれると思う。バラして調べたい気持ちも分からなくはないけど、今すぐは止めた方がいいわ)


 (だったらまずは邪魔な連中を間引こうか、どういう武器を持っているか分からないし、魔道具で此方の位置を把握しているかもしれない。気を付けるようにね)


 ((了解!))



 話しつつ森の中を進んでいたのだが、その途中で敵を発見した。傭兵だろう、服装がバラバラなので分かる。ついでにどうも防御用の魔道具も持っているみたいだ。常時魔力を少しずつ使用しているので分かりやすい。


 ミクは再び麻痺毒を散布し、麻痺させると裸に剥いて話を聞いていく。全て喰らって始末したが、彼らの着ていた上半身の鎧に防御用の魔法陣プレートが挟まれていた。どうやら【魔力盾マジックシールド】のようだ。


 魔法を使った遠距離戦がメインだから、こんな防具になったのだろうか?。


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