表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
331/500

0324・LX―8744―ERIN星系・金属資源の星CB27




 ミクは光に包まれ、一瞬で本体空間へと戻された。何故? と思っていると神が居て説明を受ける。



 「ゴメン、ゴメン。忘れていたから一つだけ。飛ばすのは路地裏みたいな場所だから、傭兵斡旋所の場所を聞いて、そこで登録しな。その後は戦争に参加するなり好きにすればいいよ」


 「お前が次の星系で行う事は最初と同じだ。悪人どもを食い荒らせ。そこは技術は発展しているが、代わりに秩序が半分以上崩壊している。お前にとっては都合が良かろう?」



 その言葉を聞き、「ニヤリ」と笑うミク。神が手を振ると目の前の景色がグニャリと歪み、気付けば暗い路地に立っていた。どうやら今は夜らしい。周りを探ると、幾つかの悪意の持ち主を発見した。


 素早く移動し様子を窺うと、どうやら人を殺したらしく金品を奪っている奴が居る。その2人組はどちらも警戒せずに、殺した男の懐を探っているようだ。ミクは素早く両手を熊の頭部にして食い殺し、纏めて金品を奪う。


 3人の死体を貪り証拠を消すと、何食わぬ顔で金品を全て強奪して去っていく。誰も見ていないのは気配などで分かっているので、気にせず路地裏を出て行った。


 夜とはいえ路地を出れば明かりは有り、意外と明るい中を傭兵斡旋所の場所を聞いて進む。露骨に嫌な顔をする者も居たが気にせず聞き、傭兵斡旋所に移動し木製のドアを開ける。


 中に入ると清潔で、意外にしっかりした作りだという事が分かる。外側からは木製に見えたが、内側から見ると石製だ。わざわざ石と木の二重の壁にしてあるらしい。何故かは分からないが。


 受付のような場所に行き、傭兵登録を頼むと不思議な顔をされた。ミクが傭兵になるようには見えなかったのだろう。もう一度傭兵登録を頼むと、奥へと行き登録用の紙を持ってきてくれた。



 「ここに氏名と年齢を記入して下さい、それ以外は必要ありません。傭兵は死ねばそこで終わりです、いいんですね? ………分かりました、こちらを受理します。登録料10000セムをお願いします」



 ミクは奪った金品の中にあった10000セムと書かれた紙幣を取り出して渡す。受付はそれを持って受理すると、奥へ行き3分ほどで戻ってきた。手に小さな黒いドッグタグを持って。



 「これが星系最大の規模を誇る傭兵組織、我がブラックホークのドッグタグです。これを着けているとブラックホークの傭兵と認められますので、後は好きに仕事を請けて下さい。傭兵は全て自己責任ですけどね」


 「何か報酬の良い仕事はある? 幾ら危険でもいいんだけど、報酬は高い方がいい」


 「………はぁ。よく聞かれるんですが、死にたがりなんですか? 一応我がブラックホークは、このCB27惑星での金属の奪い合いに参戦してますが……実入りの良い仕事は北西の町LO12から西の戦場です」


 「ふんふん。ここから北西ね。その西で現在争ってると……何処と何処が?」


 「………。この惑星で金属の奪い合いをしているのは、ヴィルフィス帝国とガドムラン星国です! そんな事も知らないで、よく傭兵になろうと思いましたね」


 「知らないんだから聞いただけだよ。人を殺せば金が手に入るんでしょ? 私にとって大事なのは、その事実だけだよ。じゃ、ありがと。仲間を迎えに行ってくる」



 そう言ってミクは傭兵斡旋所を出る。最後のミクの一言に唖然としていたが、ミクは一切気にしていない。適当に道を歩いていると、怪しい連中が跡をつけてきた。ミクはあえてそのまま気付かないフリをし、薄暗い路地へと入っていく。


 ある程度進んで行き止まりに行くと、下卑た男達が後ろに九人居た。



 「へへへへへ、バカな女だ。オレ達に気付いていたんだろうが、自分から行き止まりに行くなんてな。そんなにられてえなら、今すぐ犯してやるぜ!!」


 「オレが先だ!」


 「バカ言うな! こんなイイ女、オレが……は……」



 後ろを塞いでいた九人は一斉に倒れて痙攣している。ミクが麻痺毒を噴霧したからだ。見えないように勘付かれないように、霧にして優しく飛ばしたからか、バカな男達はまったく気付いていなかった。


 ミクはその男達の脳を操り情報を聞くと、一人一人喰らって転送していく。こいつらもだが、人を殺して金品を奪っていた奴も妙な武器を持っていた。言うなれば銃の玩具のような物だが、こいつらの言葉を聞いてやっと分かった。


 これは魔法銃とも言うべき武器で、小さな【魔力弾マジックバレット】を撃ち出すようだ。持ち主の魔力で威力が変わるという面白い武器らしく、ミクはどうやら気に入ったらしい。護身用として一般人すら持っているそうなので、ミクが持っていても大丈夫だ。


 こんな武器があるのなら、今までの武器では目立ってしょうがないのは当然だろう。殆どの武器が使えないという意味は分かった。ミクは本体にチンピラの着ていた服などを送り、普通の服を作ってもらってからヴァルとレイラを呼ぶ。


 ヴァルもレイラもチンピラの着ていた服の繊維で出来た、見た目が普通な服を着て出てきた。金も回収したので二人に渡し、先ほどの傭兵斡旋所へ再び行く。


 中に入ると受付嬢に嫌な顔をされたが気にせずヴァルとレイラの登録をし、さっさと斡旋所を出る。ヴァルに対してやたらに丁寧だったのが面白く、途中で噴き出してしまったミク。おかげで猛烈に睨まれてしまった。


 今は夜なので宿に泊まってもいいのだが、この時間に宿をとろうとするとむしろ怪しまれるだろう。なので男と女が泊まる宿へ行き、一晩の宿代である7000セムを払った。そんなに高くないのだろうか?。


 部屋に入ったミク達は早速外へと出る。ムカデになって町を徘徊し、悪人を殺して喰らう為だ。明日の朝には北西の町へ出発しなければならない。この町の悪人を喰えるのは今日だけかもしれないのだ。しかも、この町は大きい。


 思っている以上に大きく、少なくとも20キロ四方はある。そんな町のスラムなので大きく、一晩だと三人全員で処理しないと終わらないだろう。いや三人でも終わらないかもしれない。なので、すぐに部屋を出たのだ。


 扉にはきちんと鍵をしてあるので誰も入っては来ないだろう。三人は存分に悪人を喰い荒らすのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 明けて翌日。ミク達は宿から出てレストランへと行く。朝食のセットを注文し、3000セムを払ったら席に座る。魔機械や魔道具に魔導武器などがあるにも関わらず、店員は普通に人間種がしている。雇用の問題だろうか?。


 ミク達は出てきた食事を見るも、内心で驚いてしまう。メニューには「半日に必要な栄養を一食で!」と書いてあるのだが、あまりにも酷い。出てきたのは栄養の事しか考えていない食べ物であり、栄養補助食品が出てきたと言えば伝わるだろうか?。


 ミク達は「これを料理と言う気か!?」と思っているが、文句を言っても仕方ないので黙々と食べる。食べる事を大事にするミクが何故文句を言わないのか? それは周りも同じ食事を普通にしているからだ。


 こんな味気ない料理が普通らしいので、ミクはこの星の食事に期待するのを止めた。そんなミクにとって無価値な食事も終わり、町の移動車乗り場へ行く。お金を払うと目的地まで乗せてくれるらしく、ミク達は北西の町LO12行きのものに乗る。


 この町はLE37というそうで、特徴が無く町が非常に覚え難い。町の名前が付いている星は、リゾート惑星とかシティ惑星らしく、こんな金属採掘用の星は番号のような町の名前しかないとスラムのボスは言っていた。


 そんな事を思い出しながら一人5000セムを払い、ミク達を乗せた4階建てバスは北西の町LO12へと移動していく。


 外の景色を見ながらも、ワクワクが止まらないミクであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ