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0309・下京ダンジョン終了




 気を引き締め直して21層を進む。この層は沼地となっており非常に厄介で足がとられる層だった。今までとは違って開けているが、足下が面倒な層である。ジュディはミクが背負っており、【魔縄鞭】で固定しているので問題は無い。


 この層が厄介なのは何も足がとられるだけではない。前から来ているが、チャージディアーが襲ってくるのだ。跳ねるように体当たりをしてきたり、角を突きこんでくるので厄介極まりない。そのうえ、沼にブラウンイールがいる。


 どう見ても茶色いウナギなので、ミクはヴァルにスティレットを貸し、頭を突き刺して殺害させる。その後は【超位清潔アーククリア】を使って中の泥などを全て無くしたら、血抜きしてから冷凍して保存していく。


 その手際の良さにジュディが喜んでいるのを聞きつつ、一行は沼地を足早に進む。それにしても本当に地形が厄介なダンジョンである。何故ここまで厄介な地形が続くのであろうか? 不思議に思い話していると、微妙な顔でユミが話す。



 「まあ、京は古くから長い間ヤマトの都だったんだよ。良い悪いは別にして、奈良の平城京から遷都を重ねて京の都に落ち着いた訳だ。その後1000年近くヤマトの都だった事もあり……」


 「妙に長ったらしく話すが、何が言いたいのだ?」


 「簡単に言うといやらしい方が多いのさ。ブリテンでもそうだけど、貴族っていうのは大抵本音を隠して話すだろ? 裏でゴチャゴチャやったりとかさ。そういういやらしさがにじみ出てる感じがするんだよ」


 「成る程。権力者というのは往々にしてそんなもの。特に貴族関係はドロドロしたものばかり。表面は綺麗に整えるけど、裏側は汚物と言ってもいいほどに汚い。チクチクと人を苛めるのも得意な奴等。全くもって人間種の汚物でしかない」


 「まあ、私はそこまでは言わないけど、でもいやらしい人達は多かったと思うよ。そんな事を続けてた都だからねえ。鎌倉に権力が移った後で戻り、今度は江戸に権力が移ってそのまま。にも関わらず、自分達は高位だと思い込んでいた連中らしいからね」



 聞くに堪えない愚痴が増えそうになってきたので、慌てて話の方向を変えるローネ達。権力者というのは何処でも碌なものではないらしい。


 とはいえ、それを動画を見ている人達に聞かせてもしょうがない。ユミは色々な立場や関係上、喋らない方がいいとなって口を閉じた。


 泥沼の中のブラウンイールを倒してゲットしつつ、30層のボス部屋へ。やっと到達したという気分の方が強く、遅い昼食を食べながら休憩する。


 早々に昼食を食べ終わったジュディは、お気に入りの<チョコモ○カジャンボ>を食べている。



 「このアイス美味しいんだけど、せっかくだから新しいやつの方が良かったかな? いやいや、新しいのが美味しくなかったら余計にイライラするし、それなら美味しいって分かってる方を食べた方が……でもなー」


 「迷うなら両方って思ったけど、アイスを二つも食べたらお腹壊すね。ここでお腹壊されても困るから、帰ってから食べればいいさ。それにしてもアイテムバッグというのは羨ましいね。入れた物の温度が変わらないって凄いよ」


 「まあ、私達にとっては当たり前だが、確かに初めて手に入れた時にはビックリしたな。いつだったか思い出せないくらい昔だが……」


 「確かに。私も元居た東大陸の知り合いに預けてきたけど、初めての時には本当に驚いた記憶がうっすらある。これで大儲け出来るとか、素材をいっぱい持ち運べると思った筈」


 「流石に現状の技術力じゃ、どう足掻いても再現出来ないだろうけど、いつかは作れたらいいなと思うよ。私が生きている間には無理だろうけどね。それはともかく、そろそろ行こうか?」



 休憩も十分にとり準備を整え、中へと入るとボスが出現。30層のボスはグレーターゾンビ五体と、グレータースケルトン五体だった。


 グレータースケルトンが骨で出来た槍を持っており、前で槍衾やりぶすまを作り構えている。後ろのグレーターゾンビは弓を持ち、かなりの威力の矢を放ってきた。おそろしく厄介なボス戦である。


 近付くとしてもグレータークラスだ、簡単には近付かせてくれない。向こうと同じように槍を持っても相手はスケルトン、刺突なんて然して効かない。


 そしてグレーターゾンビが強力な矢を後ろから撃ち、こちらを射殺そうとする。見事な連携であり、多くの者はここで死ぬのではなかろうか?。



 「【高位聖化グレーターホーリー】!!」


 『【超位聖化アークホーリー】!!』


 「【超位聖化アークホーリー】」



 ローネとヴァルとミクの聖化ホーリー系魔法が飛び、あっと言う間に終了、31層へと転移される一行。一切の情け容赦なく消え去ったしまったアンデッド達。色んな意味で安らかに眠れ。


 31層からは打って変わって小春日和の平原である。むしろ嫌な予感しかしない一行は気を引き締めて進んで行く。野草であったり、野菜が生えているのは分かるのだが、31層を超えて野菜? とは思う。しかも甜菜であった。


 何故ここまで来て砂糖の原料なのかは不明だが、研究の為に少量ゲットしつつも進んで行く。何故か魔物が目に映らないが、ミク達は既に気付いている。気付いていないのはユミとジュディだけだ。



 「【上位聖化ハイホーリー】! ……チッ! これでは終わらんか。【高位聖化グレーターホーリー】!!」


 「これは面倒。最後まで嫌がらせが続く。ここに出てくるのは、おそらくレイスだけ。ひたすらレイスをけしかけて魔力を使わせようという層。最後の最後までいやらしいダンジョン……!」



 言われて理解したのだろう、ユミもジュディもゲンナリした顔になった。それでもヴァルとミクが中心になって聖化ホーリー系魔法を使いつつ突破していく。途中でジュディにも教え、【上位聖化ハイホーリー】を練習させながら進む。


 ノーマルクラスの【聖化ホーリー】を教えてもいいのだが、実戦ではあまり役に立たない。かろうじてノーマルレイスとレッサーレイスに効くぐらいで、この二種はハイクラスやグレータークラスよりも見かけない。


 簡単な他の種類の魔法で倒せるため、いちいち聖化ホーリー系魔法を使わなくとも勝てるからだ。見つけた奴がさっさと処理するし、天然では他の魔物の魔法で殺されたリしている。なので見かける事の方が少ないのだ。


 時間を掛けても損するので一気に進んで行き39層。ボス部屋前で休憩を行う。出てくるボスはアーククラスで確定。なので、危険ならユミとジュディは逃げる。それを確認してボス部屋へと入った。


 中に入って現れたのは、アーククレイジーモンキーだった。……お前かい。



 「ウホッ///!? ///ウホーーーーッ!!!」



 よほどヴァルが好みだったのだろう。アーククレイジーモンキーは股間を猛り狂わせながら突撃してくるうえ、その速度は恐ろしく速い。が、こいつに対してヴァルは遠慮する気が一切ないらしい。


 長巻を取り出して一閃。胴を袈裟懸けに両断して始末した。アーククレイジーモンキーの動きどころではなく、ミクの【閃】の如き速さである。剣系スキルの奥義の一つである【雷切り】だと説明するが、速過ぎて飲み込めないらしい。


 呆然としているユミやジュデイを他所に、赤青の魔法陣とポシェットが出てきた。何故か非常にファンシーなのだが、ボスに合わなさ過ぎではなかろうか? そう思いつつも赤い魔法陣で40層へ。


 40層は何やら遠くに町が見える場所で、そこに台が作られており、生首が台の上に置かれていた。その生首が宙を飛び、体が遠くから飛んでくる。体に纏っているのは狩衣かりぎぬと呼ばれる服だが……。


 そう思って見ていると、宙を飛ぶ首と体はローネの前に行き、何やら呟くと煙のように消える。そして青い魔法陣が出現したのだが、その近くに短刀が落ちていた。試しにミクが触ると、やはり「バチッ」と音がして弾かれる。


 ローネは普通に拾う事が出来たので、やはりローネに関わりあるのだろう。何故かは分からないが、先ほどからユミの顔色が悪い。特に首と体が飛んでいる人物を見てからだ。


 とはいえ、ここで聞いても仕方が無いので脱出する事に。ユミは大丈夫なのだろうか?。


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