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0298・ジュディ加入




 翌日。起きた皆と挨拶し、部屋を片付けて食堂へ。朝食を取ってきて食べているとジュディが起きてきた。軍人三人も一緒だが、何だか眠たそうだな。それはともかく、ジュディも朝食を取ってきて座る。


 御飯を食べる習慣が無いからか、パンが無くて困っていたが「食べてみれば?」と言うと素直に食べ始めた。それなりに食べられたのだろう、特に問題なく食べている。パンが主食だったので納得はしづらいのかもしれないが、一食ぐらい無くても問題無さそうである。


 朝食が終わると演習場へ。今日も朝から教えていくのだが、昨日遅かったジュディに教えていると、続々と集まった者達がすぐに練習を始めた。後、ブリテンの三人の軍人も突っ立ってないで練習する様に言っておく。



 「我々は彼女の警護の者であって、魔法とやらを習いに来た訳ではないのだが?」


 「三人だけ突っ立って何もしていないと、他の子供達が集中を無くすのよ。同じ事をしているなら気にもならないんだろうけどね。後、私達が守ってるから問題無いよ。そもそも私に勝てるのが居ないし」


 「「「………」」」



 昨日の<暴食形態>を思い出したのだろう。ブリテンの軍人達は納得した後、魔法の練習を始めた。彼らも決して魔法に興味がない訳ではない。それよりも自分の任務を優先しているだけで、魔法が使えるなら使いたいという気持ちはあるようだ。


 共に練習をさせつつ一つ一つ丁寧に今日も教える。とにかく理解できるまで根気よく教え続けるしかない。感覚が理解できるまでは、ひたすらこれが続くのだ。教える方も教える方で大変である。何回も何回も同じ事を教えるのだから、どちらにも根気が求められる。


 昼食を挟んで午後も練習し、魔力と闘気が分かったら次は循環だ。これも昨日と同じで、ひたすら体の中を循環させる。今は分からないだろうが、体の中を綺麗に循環させる事に意味がある。まだら……つまり濃淡などがあると、それだけ威力にも制御にも影響が出る。


 とにかく綺麗に循環させなきゃならないのだが、それには綺麗な状態と汚い状態を知らないといけない。子供達はまだその段階にすら入っていないので、とりあえず循環させるのが先だ。今まで動かす事もなかった、魔力と闘気を動かす訓練。


 地味だが、ここで手を抜くと魔法使いとして大成しない。なので基本ほど上手くなるように練習あるのみ。そう言って、基本の大切さを教える。おそらく碌に聞いていないだろうが、伝えるべき事は伝えておく。役に立つかどうかは本人次第だ。


 夕方になったので練習を終え、今日も【超位清潔アーククリア】をジュディに使う。流石にブリテンの軍人三人も反応はしなくなった。実際、病原菌まで駆逐する魔法だ。これが事実なら使ってもらった方がありがたい。


 食堂に行って夕食を取り、席に戻って食べているとユミが戻ってきた。ユミは朝から何処かへ行っていたんだが、夕方になって帰ってきたらしい。夕食を取ってきて座ると、何をしていたのか話し始めた。



 「まずは、これがブリテンの三人への新たな命令書だよ。そして今日私が居なかったのは、彼女の自由を勝ち取る為さ。日本政府とブリテン政府も交えて話をしてね。ああ、もちろん彼女のご両親もさ。彼女に一日に一度、ビデオ通話をさせるならという事で決着したよ」


 「ようするにジュディには一日に一度、びでおつうわ? というのをさせれば良いという事か。それでヤマトに居ても問題無いと?」


 「そうだね。ブリテン政府も彼女のご両親も、寿命が250年という事に驚いていたよ。ご両親も長く守ってやれる訳じゃないと悟ったんだろうね。彼女が一人でも生きていける力を得る為なら仕方ないと諦めたようだ。代わりに勉強させる事になったけど」


 「え”っ!?」


 「という事で、近々ヤマトに居るブリテンの人に講師として来てもらうから、しっかり勉強するようにね」


 「No~………」



 そんなジュディを見て笑いつつ、食事が終わって部屋に戻る一行。ブリテンの軍人にも一緒に教え、ジュディも眠るまで教える。ちなみにブリテンの軍人三人に下された新たな命令は、ヤマトの陸軍本部できっちり魔法を学んでくる事だった。



 「まあ、仕方ない。我々も本音としては魔法が使ってみたいしな。現実に使えるとなれば練習して使える様にならねばならないし、今後は魔法を使ってくる暴徒も出てくる可能性が高い。ヤマトでも警戒しているだろうがな」


 「言いたい事は分かるけど、中東の方も揉めてるらしいね。神は一柱だけじゃない、その現実がハッキリしたからね。今まで一柱の神しか認めてなかった一神教の連中は大混乱してるよ。ブリテンのアレも大丈夫かねえ」


 「我々に言われてもな。言葉は悪いが、我々もそこまで神を信じている訳ではない。周りが五月蝿いとか、礼拝に行かなければ変な目で見られるとか、そういう圧力があるのだ。そういった事がないヤマト人には分からんだろうがな」


 「成る程ねえ。中東の方もそんな感じらしいけど、何で信仰を強制するのやら。私には欠片も理解できないよ。まあ、これもヤマト人だからなんだろうけどね。本当に理解不能さ」



 そんな話の横でジュディに教えていたんだが、ウトウトし始めたので軍人が連れて行った。後はいつも通りに満足させて寝かせ、ミクは分体を停止。本体へと戻る。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 あれから七日。全ての日程を終えて終了となったので、新たなダンジョン攻略に乗り出す事に決めたミク達。東京近郊というか周りで残っている最後の県、山梨県に行く事になった。何でも甲府市という所にダンジョンがあるらしい。


 ミク達はジュディも連れて移動し、本人は喜んでいたもののバスの中で勉強をさせられており、現在は休憩中だ。バスの中で家族と会話しているが、ダンジョンと聞いて心配する家族に、何も問題は無い事を何度も話す。ジュディは絶対に守る事も合わせて。


 ジュディの家族は一応の納得はしたらしいが、実戦の練習としては必要な事でもある。手加減したばかりに暴漢にやられる場合もあるのだ。言葉は悪いが、殺しを経験しない限りは適切な対処など不可能である。故に経験させるのだ。


 これは通過儀礼のようなものだし、この先200年以上生きていくなら避けて通れない事でもある。特に妖精族フェアリーが珍しく、身柄を狙われるというなら尚更。


 本人は勉強のし過ぎでグロッキー状態だが、本人の為にも必要な事である。重ねて言う事でかなりの部分納得してもらえたようだ。


 ホテルに着いたので小型バスを降り、部屋に案内してもらい中で休む。バスの中だった事もありユミもジュディも疲れているようだ。ローネやネルは問題無いらしく、動いて体を解している。


 少し休んでいると夕方だったので、ホテル内のレストランに行き食事をとる。美味しい料理を食べ終わった後、到着した事をビデオ通話で家族に報告中のジュディ。顔を見れて家族もホッとしているようだ。


 そんな話を横で聞きつつ、ローネとネルとユミは酒を飲んでいた。デスホーネットのハチミツで作ったミードらしい。抜群に美味しいようだが、酒のツマミを横からジュディがちょこちょこ取っている。


 料理だけじゃ足りなかったのだろうか? 最初はそうでもなかったのに、意外にジュディは食べられるようだ。最初の時、何故周りの子が心配するぐらい食べる量が少なかったのだろうか?。


 考えて、下らない事だと放り投げたミク。気にする事でも無いし。


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