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0286・大江戸ドームでのイベント




 陸軍本部に戻ってきたミク達は、すぐに食堂に行って夕食を食べる。SDカードは既に渡してあるので問題無し。そうやって食事をしていると中島大将がやってきた。どうも前に言っていたことの用意が整ったらしい。


 前に言っていた事とは大規模に魔法を促進する為の企画で、大きな場所に人を集めて魔法を教えようというものだ。政府が即座に押さえたらしく、大江戸ドームという所で開催が決まったらしい。


 防犯上はあまり認めたくないのだが、誰でも来る事が出来るようにしてある。もちろん軍が警備をするのだが、隙を突かれる可能性はあるので注意してほしいとの事。流石に一般人の前で<暴食形態>になる訳にはいかない。


 ミクは構わないのだが、ヤマト政府からもユミからも止めてくれと言われている。なのでその方法は却下だ。まあ、現地へはミク達だけで行けばいい。ユミはやる事があるらしいので、星川家の方に一旦戻るそうだ。


 それと中島大将には千葉のダンジョンで見つかった物を説明しておいたが、またもや色々考えた後、最後には放り投げられた。もう自分の所に持ってこられても困るという事だろう。気持ちは分からなくもない。


 軍に関わる事ならともかく、歴史学とか考古学の世界の事など軍の職掌じゃないし管轄でもないのだ。何故こっちへ持ってくる? というところだろう。実際、軍の所には<八握の剣>で五月蝿い者どもが抗議をしてくるそうだ。


 なら貴方が交渉して下さいと言うと、「軍が責任を持って管理するべきだろう!」と言ってきたらしい。「お前が一番無責任に文句ばかり言ってるんだろうが!」と怒鳴り散らしたかったという。気持ちはよく分かる。


 文句を言ってきている奴等も魔法の存在は認めている。つまり、呪いの存在もまた認めているのだ。歴史的な遺物が欲しいのだろうが、呪われるのは嫌という事であり、呪いは誰かに押し付けたいらしい。つまり、唯のクズだ。


 そんな”普通の人間”が多く、抗議とやらをしてきて鬱陶しいという話を聞きつつ、食事を終えたミク達は部屋へと戻る。少し雑談した後、ローネたちを満足させ、さっさと眠らせるのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 三日後。今日は大江戸ドームでのイベントの日だ。一般人に魔法を教えるのだが、意外にもヤマトに居る外国人も来るらしい。政府や軍からは分け隔てなく教えてくれと言われているが、そもそも分ける理由がミク達には無い。


 食堂で朝食をとりつつ考えていると、東西南北上下の女性達がアレな顔で、男に抱き締められつつやってきた。こいつらまたか……と思うも、女性達は幸せそうなのでスルーする。最近は媚薬をせがんでこないし。


 朝食後、小型バスに乗って大江戸ドームへ。外には既に黒山の人だかりが出来ており、小型バスが囲まれるほどの騒ぎになった。どうやらミク達が乗っている小型バスは知られているようだ。


 進路を妨害するような一般人を排除しつつ、何とか小型バスは大江戸ドームの中へ。要人警護の観点から、車のまま入れる場所があるそうだ。一般人や観客は外から徒歩で中に入るらしい。何でも野球とかいうスポーツの施設だとか言っていた。


 ミク達は控え室で進行内容を少し聞いた後、登場までゆっくりと待つ。飲み物が運ばれてきたが、誰も手をつけずにアイテムバッグから飲み物を出す。食べる物もだ。これは軍から言われている事で、出された飲食物には一切手をつけないでくれと言われている。


 どうも証拠として保管して云々と言っていたが、ミク達にはどうでもいい事だ。どのみち<ファルコン>が使ってきた薬さえ効かなかったし、ミクに至ってはありとあらゆる毒が効かない。まあ、当たり前ではあるのだが。


 それはともかく出番が来たのでリリーフカー? という物に乗せられて登場する。どうも派手に紹介されたらしく、熱狂が凄い。そこまで騒ぐ事か? と思いつつ、ミクは詰め掛けた一般人に手を振る。


 その後は聞かされていた通り、大きなステージで一つ一つ魔力の感じ方から動かし方まで説明し、実際に魔力を動かす練習を始めてもらう。ミク達はグラウンドに居る一般人一人一人に触れて教えていき、理解できれば次へ。


 そうやって教えていると、段々とコツを掴める者が出てきた。観客席に居た者も交代で降りてきているので大変だと思いつつも、丁寧に魔力と魔法を教えていくのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ヴァルが教えている女性が声を聞いて倒れたりなど、色々なハプニングがあったものの、大成功で終わったイベント。最後にもう一度ステージに立ち挨拶をしていると、突然大きな発砲音がし、ミクが吹き飛んだ。


 ヴァルは音の方向から素早くそちらへと移動し、犯人を捕縛。銃と共にステージ上に引きずり出してきた。他の者達が呆然としている中、むくりと起き上がったミクはヴァルが捕まえている男の元へ行き、頭に手を乗せて喋らせる。


 男はヤマトの隣にある半島の工作員だった。今までも肉として喰らってきたが、邪魔な奴等だとは思っていた。いちいちしつこいぐらいに工作員を送ってきており、その度にレイラが本体空間に送ってきているのである。


 銃に関しては輸入品に隠してヤマトに持ち込んだ物らしい。銃を持ち込んだのは独裁国家の工作員で、半島の工作員は金で買ったそうだ。本国からの指令で、ミク達を殺せと命令が出ているらしい。本当に無駄な事をするものである。


 何故こんな大きなステージ上で暴露させたかと言うと、ミクにも口コミというものの凄さは理解できているからだ。ここに居る一万人以上が、必ずや様々な所に発信してくれるだろう。外国人も居るんだし。


 その後はミク達の安全の為にすぐに控え室に連れて行かれたが、やるべき事は果たしているので問題無し。小型バスに乗って、ミク達は陸軍本部へと戻っていく。既にあの男は善人に洗脳しているので、上手くいくだろう。


 そういえば、レイラがテレビ局の関係者の殆どを洗脳しているので、今回の事は必ずや大騒ぎしてくれる筈だ。何処かの国の紐付きだったらしいが、今や立派な善人しかいない業界である。ある意味で怖ろしいが、そこは気にしなくてもいいだろう。


 陸軍本部に戻ったミク達は、中島大将以下、本質を解放しなかった事に胸を撫で下ろされた。流石にミクも無闇矢鱈に本質を解放したりなどしない。それに銃弾如きに当たるほど間抜けでもないのだ。


 それを聞いた軍人連中は何とも言えない顔をしつつ、再度「無事でよかった」とだけ言っていた。何と表現していいか分からなくなったのだろう、困惑しながらも無事を喜ぶという高度な事をしている。


 食堂で夕食を食べ、部屋に戻って休む。そういえば寒い季節になっているらしいが、何処まで寒くなるかは聞いていなかったと言うと、ネルが温風を出す魔道具を作るから問題ないとの事。


 寒さで困るのはローネとネルなので、対策があるなら大丈夫だなとミクは放り投げた。後はいつも通り満足させて、さっさと分体を停止したミク。本体空間で適当に肉を喰うのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 あれから一ヶ月。新年だとか初詣だとかで騒いだ日々も終わり、少しゆっくりとした時間が流れ始めた。この一月、隣の半島国家と独裁国家では騒ぎが起き続けている。何でも人がドス黒くなって死んでいっているようなのだ。


 原因は特定出来ず、国は右往左往しているらしい。一部ではヤマトのテロだと騒ぐ声があるらしいが、そもそも人がドス黒く変色して死ぬなどあまり聞かない事である。そのうえ原因が特定出来ないというのでは、単なる与太話でしかない。


 もちろん真相は闇の中である。何処かのムカデがデスホーネットの毒性のみを無味無臭にして、上水施設に撒いたりなどはしていない。念入りに何回も撒いたりなどはしていないのだ。


 主を狙われてキレた使い魔など、何処にもいないのである。


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