0282・普段のミク達
<ファルコン>洗脳から一ヶ月ほど過ぎた。海兵隊の面々とアメリケンに帰っていったが、それなりに実力はついたのではなかろうか? 結局、身体強化は誰も出来ていないが、どれほどまでに大変かは理解出来たようだし、魔法はそれなりに上達していた。
更には練習の様子も配信していたが、少しずつ着実に上達していく様は多くの反響を呼んだらしい。特に品行方正とは程遠かった彼等が、ボコボコにされた後で真面目に取り組む姿は大きな影響があったようだ。
たしかに強い力はそれだけ目立つ。だが、それだけでは本当の強さは得られない。かつては力だけだった彼等が日々努力し本物の強者になっていく姿は、アメリケンヒーローの姿にマッチしていたらしく、彼らのファンはむしろ増えたんだそうな。
そしてカメラで撮影していない所ではケイトとフレッドが、ディーとデイジーが、エフィーとサンドラがイチャイチャしていた。それはもう、ヤマト人にはないオープンさでイチャイチャしていたのだ。北川が見習おうとして、東に止められていたくらいである。
ちなみにガルシアは何故か<禅>を動画で習っていた。あいつはどうもストイックな方向を目指すらしい。全員が善人に洗脳されているので犯罪に関わったりなどはしないのだが、品行方正になり過ぎていて、海兵隊の兵士からは当初不気味がられていた。
殴られすぎて壊れたとか、あまりの恐怖に脳がイったとか色々言われていたが、彼等が真面目に取り組み続けると徐々におかしな目で見られる事はなくなった。今では厳しい訓練を乗り越えた戦友みたいな認識らしい。
そんな彼らも帰国していき、再び暇になったミクはダンジョン攻略に乗り出す。あれから一ヶ月、彼らの訓練に協力していた所為で碌にダンジョン攻略は出来ていない。大江戸ダンジョンは置いておき、今度は千葉県の千葉市にあるダンジョンに行く。
それをユミに言うとすぐに連絡を入れてくれ、明日から出発という事になった。今日はどうしようかと考えていると、またもや芸能人なる者達の相手をする羽目に。ここ最近ちょくちょくこういう仕事が入るのだが、ミクとしては面倒臭い。
突発的という訳ではないのだが、どのみち本部に居る間は暇なので陸軍兵の訓練に参加している。だからか、妙な連中の相手をさせられる事があるのだ。星川財閥が囲っているように見られるのは宜しくないので仕方ないのだが、態と突発的になるように仕組んでくる。
分かりやすい嫌がらせではあるが、ミクは鬱陶しい相手にちょろっと本質を出す事で、トラウマに近いダメージを与えて追い払う。そうする事で二度と絡んでこないからだ。中にはそこまで行かずに済む者も居るのだが、滅多には居ない。
「今日はここ陸軍本部で、再び魔法の練習に参加させてもらいます。前回、魔力を放出できるようになったので、今度こそ魔法が使えるように頑張ります!!」
アイドルの四宝アズサとかいう女だそうだ。ミクどころか、ローネよりもネルよりも劣るのだが、美しさではない人気があるらしい。ミクにはよく分からないが、どうでもいいので調べてもいない。そもそもミク達は見ている者に媚びる必要がないからだ。
ミク達がやるべきは魔法を教える事で、視聴者の人気を獲得する事では無い。その割には<魔法の使い方講座>は大人気で、ミクに着てほしい衣装が陸軍本部に届くほどである。殆どがアニメのコスプレ衣装ではあるのだが……。
問題は露出過多の衣装をミクが全く嫌がらない事であろう。むしろアイドルとかがNGを出す衣装すらミクはあっさりと着る。「見たいなら、見れば?」という言葉は伊達では無い。本人的には裸でも問題ないのだ。しょせんは擬態だし。
流石にそれは放送出来ないのでアウトだが、魔法少女の衣装やビキニアーマーであったり、Vフロントであろうがマイクロビキニであろうが着ているミクは、一部界隈で何故か<英雄>と呼ばれている。あそこまで出すなら、むしろ天晴れというところであろう。
それを放送するのは如何なものかという事で、アウトな物は何故か陸軍とは別のところにアップされていて大人気だ。もちろん星川財閥協力の下で出しているので、ギリギリセーフとされている。どう考えてもアウトだが、誰も文句など言える筈もなし。
今日は普通の服で訓練をさせているミクだが、一周回ってアレが一番良いとか言われてもいる。そういう書き込みを見る度に、何が良いのか分からず困惑するミクだった。
それはともかく、この四宝アズサは数少ないミクの本質を受けていない芸能人である。カメラで撮影していないところで面倒な言葉を投げつけてきた奴には、即刻で本質をお見舞いしているので、この子はまともな人間という事になる。
ミクには理解できないが、人気があると裏で横柄に出来るらしいのだ。そしてそれをミク達にも強要しようとし、本質を受けて恐怖を刻み込まれる。本能に刻み込まれるので抗う事は不可能であり、その後は恐怖しながらの撮影が続く。
中にはこれ以上は無理だと逃亡した者もいるが、ミク達の知った事ではない。
「あ……やった! 見ましたか!? 今、魔法が使えましたよね! やりましたよ、魔法が初めて使えました!!」
大喜びしているが、先ほど撮影前に初めて魔法を成功させている。今度は撮影中に成功させ、初成功で大喜びというポーズをとる。アイドルとかいう仕事も大変だなー、と見ているミク達であった。
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アイドルの相手も終わり、夕方になったので食堂へ行く。取ってきて席で食べていると、最近のニュースを話している者が多い。なんとか党の幹事長が行方不明とか、なんとか党の裏のドンが行方不明とか。そんな話が飛び交っている。
ミク達は不確定なニュースなんて興味も無いし、この国の政治にも興味が無い。なので適当に食事をして部屋へと戻った。
行方不明の政治家は、何故かヤマト皇国の足を引っ張ることばかりしている政治家であり、ユミの持ってきたリストに名前のある連中である。だがミク”は”知らない。
部屋に戻ってローネ達を満足させて眠らせ、送られてきた肉を確認する。今日の肉は食べ終わっているようだ。まあ、これから夜だから大量の肉が送られてくるだろうが、それもゆっくりと食べていこう。そう思うミクだった。
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それにしても連日食べているのに、なかなか掃除が終わらないわねえ。主からユミのリストは届くけれど、それらは大した奴じゃないからすぐ終わるわ。議員宿舎とかいう所にいるからか、甘いのよね。安心しすぎというべきかしら。
まあ、そんな奴等はどうでもいいわ。それより夜の繁華街の売人から情報を得て、そいつらに襲撃を掛けているけれど、いつになったら終わるのか嫌気が差してくるわねえ。どれだけ犯罪者が多いのよ、この国。
それでも犯罪率が低い国だっていうのだから、他の国がどれほど犯罪者だらけなのか呆れてくるところね。それはともかく、また売春している女が居るわ。これも多いし、いったいどうなっているのかしら?。
それもヤマト人じゃないのが多いのよね。ヤマト人のフリをしているけれど、DNAとかいうのが違うから私達にはすぐに分かるのよ。ここまで外国人犯罪者が多いという事は、近くの国は貧しいのかしら? でも、この国は島国よねえ……?。
まあ、外から入り込んでいるのでしょうけれど、警察とかいうのが本当に仕事をしてるのか疑問よ。この多さだと流石にね。




