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0272・アークブラックワーム




 こんな浅い層ではスキルを使わず突破して当然。そうならなければいけないし、そうでなければこの先は難しい。特に【竜王覇気】は消費が大きい。後200年も生きる以上は、変な事を覚えてもらっては困る。


 その様な理由で注意を受けたユミ。ヴァルやローネが言っている事は正論なので、返す言葉も無く反省したようだ。ゲームではないのだから、リアルでは力を温存して損したというくらいで丁度良い。力が無くて死ぬより遥かにマシである。


 11層は平原だが、変わらず猪や鹿が主体らしい。ただし、イエローボーアやスラストディアーが出現しているので、難易度としては上がっている。軍はここで撤退したらしく、これ以上は進めていないそうだ。装備の消耗が激しいらしい。


 まあ、銃弾をどんどん消費していたら、いくらお金があっても足りないだろう。だからこそ近接武器で戦わなければならないのだ。冒険者だって、そうやって収支を黒字にして暮らしているのだから。


 そんな世知辛い話は横に置いておくとして、11層からの草原も楽勝で越えていくミク達。そして20層のボス部屋に辿りついたので休憩するのだが、草原の途中で珍しい物を採っていた。



 「13層と15層と17層にマジカルビーの巣があって、ミクが【氷冷嵐アイシクルストーム】を使ってくれたからあっさりゲット出来た。でも、本来なら寄って集って大怪我をさせられる危険な魔物」


 「うむ。マジカルビーは【魔力魔法】の【魔力弾マジックバレット】や【魔力投槍マジックジャベリン】を使ってくる厄介な魔物だ。小さくとも魔法を使ってくる連中は侮れん」


 「このダンジョンで蜂が出てくるって事は、もしかしたらデスホーネットが出てくるのかもしれない。あの即死毒を持つ最悪の蜂が。アレらは魔法を使わないけど、最凶の蜂として知られている」


 「デスホーネット……」


 「即死毒を打ち込まれれば、数分で死に至る。まず耐える事など出来ん最悪の毒だ。何とかしたいなら、ダンジョンで<紅の万能薬>を手に入れ、それを口に含んで戦え。その間は毒を受けても平気だ」


 「それでも刺される痛みで吐き出すだろうけど。無理矢理口を塞いで戦うか、マジカルビーを倒したミクのように魔法で一気に殲滅するしかない。ただし蜜は極上の味であり、それで作ったミードは素晴らしいお酒」


 「う、うーん………危険と報酬が釣り合ってない気がするねえ。バカが吸い寄せられて殺されそうな情報さ」


 「心配は要らん。それで映している以上、バカは絶対に手出しをせん。デスホーネットが出てきたら、どれほど怖ろしいかが分かるからな」



 そんなボスとは関係の無い話をしつつ、20層のボス部屋へ。中に入って出てきたのはハイウィンドディアー五頭だった。【風魔法】を使ってくる相手だが、素早く近付いたヴァルが首を落とす。


 それに驚いている隙に、ローネが近付いて左手でナイフを投擲、刺さって慌てている間に首を切り裂いた。ユミは突進してきたハイウィンドディアーに対し、薙刀を水平に叩き付けた後で首に振り下ろす。


 ネルはいつも通り、突進してきた相手に対し雷撃棒で攻撃して終了。相手は煙を噴いている。残りの一頭は困った後、ミクに向かって突進してきたので、横にかわして蹴り飛ばす。


 その先で待っていたローネに首を突き刺されて死亡した。上手い連携プレイだが、徹頭徹尾まともに戦う気が無いミクだった。流石に相手に同情する。


 21層に転移した一行は、森の地形を歩いて行く。ブラウンフォックスやウォーターラクーンなど、今度は狐と狸に変わったようだ。むしろ食べ物としては低下した事にガッカリするミク。気持ちは分からなくもない。


 ブラウンフォックスは【土魔法】、ウォーターラクーンは【水魔法】を使ってくる。地形が地形なのでウォーターラクーンの魔法が活躍する場所が無い。残念無念な狸であった。


 面倒な魔物は研究分だけ確保し、さっさて走って30層のボス部屋へ。途中、疲れてしまったユミを背負って走っていたミク。当たり前だが欠片も疲れていない。30層のボス部屋前で遅い昼食にする一行。



 「腹が減っているというのもあるが、やはりユミの体力が足りんな。とはいえヤマト皇国の中では星川家の力は大きいようだし、妙なトラブルを回避する為にはついてきて貰わねば困る。どうしたものか……」


 「まあ、私も少し前までは婆だったからねえ。それを考えればあり得ない体力なんだけど、あんた達についていくとなれば足りないんだよ。困ったもんさね」


 「最悪は<精力剤>と<天生快癒薬>を飲ませる方法はあるよ。副作用も無く強引に体力を回復できるけど、水分は摂っちゃうね。それが納得できるかどうかは知らないけど」


 「………背に腹は換えられないか。あまり薬でどうこうは好きじゃないんだけど止むを得ないかねえ、ついていけない方が問題だし。あんた達について行かないと、何をしているか怖いからね。常識が違うからさ」


 「まあ、言いたい事は分かる。私達とミクの常識もまた違う。その所為でビックリした事も何回か……」



 和やかな食事も終え、一行は十分に準備を終えたら中へと入る。魔法陣が輝き出現したのは、グレータークラスのレッドフォックス五頭だった。【火魔法】を使う魔物で、狐系の魔物の中では厄介な魔物である。


 ヴァルが素早く近付き長巻を振るう。相手は爪で止めようとしたが切り裂き、返す刃で胸を完全に切り裂いた。グレーターレッドフォックスは血を噴き出しながら沈む。


 ローネも【火弾】を避けつつ素早く近付き、相手の爪の横薙ぎを踏み込んで回避しつつ、腹を斜めに切り上げた、グレーターレッドフォクスは臓物をブチ撒けながら倒れ伏す。


 ユミは相手の【火魔法】の前に攻めあぐねているが、その隙にネルが雷撃棒で痺れさせて素早く離脱。もう一頭の攻撃を回避した。その隙にユミが痺れている個体に近付き、頭を全力でカチ割る。これで三体。


 残りの二体はヴァルとローネに倒されており、魔法陣が出現して31層へ。山の地形だったものの、早速「ブブブブブ」という音が聞こえる。嫌な予感がMAXではあるが、調べに行くしかない。


 ミクだけで行くが、案の定デスホーネットだった。ビデオカメラで撮影しているので仕方なく、【水魔法】の上級である【氷獄嵐ブリザードストーム】を使って一気に倒す。流石にデスホーネットはシャレにならない。


 それでもヴァルを呼んで巣を手に入れながら進む。全員に<紅の万能薬>を飲ませた後、口に含ませながらの移動だ。肉塊である事をビデオカメラの前でまで晒す必要は無い。なのでミクとヴァルも含んでいる。


 33層、35層、37層にも巣があり手にいれたが、ネルがミードの事を考えて大喜びしている。ユミが多少は研究に回させてくれと言っていたが、それでも十分なミードが作れるだろう。


 そして39層。この層がボス部屋であった。その事から、このダンジョンは全40層であると分かる。首都である大江戸だけが深いという可能性が高くなったが、結局は全て調べてみない事には結論は出ないと放り投げた。


 十分に休んでボス部屋の中へ。一面砂漠の中、魔法陣から出てきたのはアーククラスだった。しかも巨大な黒いミミズである。先端が花びらのように開いて、中に触手が有るのが丸見えである。どう考えてもこちらを丸飲みにする気だろう。


 突然地面に潜ったので、ミクは素早くユミに近付いて右腕で抱え離脱する。ユミの居た地面から巨大ミミズが突き上げてきたが、既に離脱済みなので攻撃は受けずに済んだ。


 しかし面倒なボスだなと、一行はどう倒すか思案し始めた。


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