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0271・埼玉ダンジョン




 朝方になりレイラが帰ってきた。昨日カメラを向けていた奴の裏側に居た連中の殆どを転送していたが、どうやら面倒臭くて疲れたようだ。ヴァルもそうなのだが、大元や本体に帰ってくればミクも把握できるが、単独行動中の事は分からない。


 ヴァルやレイラがミクに繋いでいれば、リアルタイムで全てを把握できる。ミクとしてはどっちでもいいので、別にリアルタイムで理解できずとも問題ない。プライベートというヤツであるが、戻ったら全て把握される二人としては意味がなかったりする。


 ミクとしては文句を言われても困るというところだろう。そもそも使い魔である以上は、主と別々になる事などあり得ないのだ。二人もそんな気は欠片も無い。一蓮托生というか、同じ存在だと言うべきかは判断に迷う存在なのだ、使い魔とは。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 レイラがゴシップ誌の連中を転送した次の日。ミクはダンジョン攻略に関してどうするか考えていた。大江戸市のダンジョンは40層以上で確定したが、他のダンジョンは分からない。困ったなと思っていると、ローネ達が起きてきた。


 朝の挨拶をしたら食堂に移動し、どうするかを考えているとユミから一言があった。「なら、行ってみればいい」と。ミク達は「いいのか?」と思うも、ユミが言うにはそこまで問題は無いとの事。どのみち調べないと駄目なのだ。


 朝食後、中島大将の部屋に行って話し、許可を得て移動をする事になった。すぐに陸軍本部に昨日の小型バスが来て、乗り込んだミク達は一路埼玉県へと進む。県名と同じ埼玉市という所にダンジョンはあるらしい。


 東京の大江戸市からもそこまで遠くはないらしいので、ミク達はバス内で適度に遊びながら移動をしていく。ローネには<剣王竜の小太刀>を渡したが、えらく気に入ったらしく喜んでいる。


 剣身は薄いものの、その耐久力と切れ味は流石アーククラスとしか言えない物である。他にもスマコンで調べて色々作ってみたのだが、あまり納得できる物は多くなかった。ミクとしても、作り手の拘りはそれなりにあるのだ。


 中でも気に入ったのは十字槍である。それも千鳥十文字という形の物が気に入ったらしい。剣はグラディウスという物と胡蝶剣という双剣が気に入ったそうだ。無駄に物を作った訳ではなく、どれも実用に耐えられる物である。


 それと長巻という武器も作っていた。リーチのある武器は当然有利だし、今は剣王竜の素材があるので頑丈さを優先しなくてもいい。かつてはその為にバルディッシュやウォーハンマーを作成したのだが、今はその制約は無いと言ってよかった。


 昨夜の間にヴァルには試してもらったのだが、意外にもヴァルが気に入ったのは長巻だった。大型の武器であるものの、ヴァルならば超高速で振り回せるのが理由だ。そして、圧倒的なリーチがある。


 剣王竜のような大型の魔物が出てくる事を考えれば、大きな武器を持っておく事は自然な事とも言える。実際、剣客蟹も大鎧蟹もグレータークラスは高さが3メートルを越えていた。アレと真面目に戦うなら、やはり大型の武器が要るのだ。


 トイレ休憩を挟みながら移動し、やっと埼玉市に到着したらしい。必要なら小型飛行機を飛ばして空を移動すると言っていたが、本気だろうか? ミクは自分で飛ぶならともかく、飛行機というものを信用していない。


 落ちても死ぬ事などないのだが、それでも他人に任せて空を飛ぶ気にはなれなかった。それなら自力で移動した方が速いと思っている。それはともかく、埼玉市に入った面々は、ダンジョン近くにあるホテルへと入る。


 ダンジョンの横には軍の建物があるのだが、仮の施設としてあるだけなのでチャチなものなのだ。まともに泊まれる所ではないので、ホテルの部屋を既にとっていた。用意は万全のユミである、こういう部分に抜かりは無い


 後ろから尾行していた連中は居たが、今回はスルーしている。何故なら消えてもらうからだ。そいつらの魂は覚えているので、夜にレイラに食べさせれば終わる。一行はホテル併設のレストランで食事をし、さっさと部屋で休むのだった。


 ローネとネルも移動で疲れたのか、今日はする気にならないらしく、久しぶりにゆっくり出来るミクとヴァルはさっさと分体を停止。本体空間へと戻った。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 翌日。たっぷりと転送してきたレイラは少々お疲れである。まさかここまで犯罪者が多いとは思ってもみなかったのだ。大江戸では減らしたが、地方に行くと大量に居る。呆れてくるものの、レイラも肉を喰うのは好きなのでそこに文句は無い。



 「そう、文句はないのだけれど、あまりにも簡単に引っ掛かりすぎるのがね? 【色の香り】を使っているとはいえ、いささか性欲に塗れすぎじゃないかしら。いい加減にしてほしいわ」


 「ここでも、そんなにあっさりと引っ掛かるの?」


 「あっさりよ、あっさり。下半身どころか、股間で物事を考えてるんじゃないかしら? 根源的な欲とはいえ、あまりにも簡単過ぎて何とも言えないわ。わざわざ魔力の残滓を残さない為に【色の香り】や【性の波】を使ってるっていうのに……!」


 「まあ、とりあえずお疲れ様。ゆっくりしてていいよ」


 「ええ、ゆっくりさせて貰うわ」



 そう言って本体に帰ってきたレイラ。レイラの記憶と経験を精査し、その嘆きを理解したミクは、心の中で再度「お疲れ様」と言っておいた。本当に股間で物事を考えているレベルで酷く、警戒しているのがバカバカしくなってくる状態だった。


 嘆くのも仕方ないと思える程に酷い有様である。その分、大量の犯罪者が贈られてきた訳だが……。



 起きたローネ達やスタッフと共にレストランに行き、朝食を食べた後はダンジョンへ。軍には話が通っていたので入り、すぐにダンジョンへと進入する。


 ダンジョン前の軍人によれば、ここのダンジョンでは1層目から猪や鹿が出てくるそうだ。大江戸ダンジョンとは違い、獣系のダンジョンなのだろうか? そういう疑問の中、草原を進んで行く。


 相変わらずミクはビデオカメラを回し続け、それぞれが適度に倒しながら進む。ビッグボーアやビッグディアーなど獣系ばかりであり、軍関係者も肉は食べ飽きたそうである。幾らでも手に入る食料で賄うのは仕方ない事であろう。


 埼玉のダンジョンに常駐している軍人は、農家の野菜と肉を交換している有様だそうだ。既に安全な肉である事は分かっているので、交換は問題ないらしい。一応ジビエに分類されると聞いた。


 魔物の肉なので普通の肉より美味しく、そのうえダンジョンに常駐している軍からしか手に入らないとして、結構なプレミアが付いているそうである。本人達は食べ飽きているが。


 そんな猪や鹿を倒しつつ10層。軍の情報では大きな猪が三頭出てくるらしい。とはいえ10層だから気にしなくてもいいだろう。休憩してから中に入った一行の前に現れたのはハイタックルボーア三頭だった。


 素早く前に出たヴァル、ローネ、ユミがあっけなく終わらせた為、見所も無く終了。ヴァルは突進を回避した後、横から長巻で斜めに両断。その一撃で終了した。


 ローネは突進を回避すると同時に足を小太刀で切り裂き、転がったハイタックルボーアを追い駆けて首を切り裂いたら終わり。


 ユミは回避する事もなく【竜王覇気】を使い、正面から頭を両断した。何気にユミが一番酷い勝ち方であるが、スキルで勝つのは宜しくない。ヴァルとローネに駄目出しをされるユミであった。


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