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0258・ダンジョン調査隊




 中島大将の頼みを了承して食事を続けていると、東と腕を組んだ北川が現れた。もはや欠片も隠す気は無いらしく、キリッとしていた北川は何処に行ったのか完全に行方不明となっている。周りもツッコミもしない。


 そんな中、西口と南野が男性兵士を連れてミクの所に来た。何かと思ったら、精力剤と媚薬が欲しいらしい。「こいつら……」と思ったものの、ここで飲むなら、という事で入れてやる。西口と南野は男性兵士に飲ませ、自分も飲んだら連れて行ってしまった。


 音が漏れるから禁止じゃなかったのかと思ったら、東と北川がミクの疑問に答える。



 「そういう事を宿舎でするのは止めてほしいと言ったのであって、そういう事をする為の場所は本部の敷地内にあります。防音設備のしっかりした所で、お金を払えば使えますけど周囲には丸分かりですね。まあ、気にせず使っているのも居ますし、恥ずかしいという声も聞きます」


 「別に気にしなくてもいいと思うのですが、キッカケがないと難しいのかもしれませんね。私もこうなる前なら無理だったと思います。今は恋人同士が堂々とシて何が悪いの? としか思ってませんけど」



 そう言って、北川は東を引っ張っていった。行き先は防音設備のしっかりした場所らしい。まあ、好きなだけすればいいと思うが、北川は一気に変わりすぎな気もする。



 「男も女もあんなものさ。一度吹っ切れればヤる事に抵抗なんてなくなるし、周りがとやかく言っても気にもならないもんだよ。まあ、さっき言ってたけど好きなだけヤればいいのさ。男と女なんだしね。私のように政治的な結婚でもない限りは、満足するまですりゃいい」


 「まあ、当然だな。とはいえ、それで満足出来る相手かどうかは定かではない。好きになった相手が必ずしも自分を満足させてくれる相手とは限らん。私も1000年を超えて満足出来た事は無かったのでな」


 「そこまで満足出来なかったのも不思議だけど、聞いたら納得した。ローネは寿命の無い半神族としては性欲が強い。その分だけ満足からは遠いから難しいと言える。今はミクが居るから問題無いけど」



 流石に食堂で話す内容でもないので部屋に戻ると、早速準備を始める”三人”。もはや当たり前のように準備に参加しているユミだが、それもどうなんだろうと思うミクだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 翌日。起きて食堂に行き、朝食を持って席に座る。セルフというのは便利だなと思いながら食べていると、朝からメスの顔をしている三人の女性軍人が来た。北川と西口と南野だが、男にしな垂れかかっていて表情が完全にアウトである。


 何とか冷静になるように男の方が言っているが、「お前らも朝から相手をしてきたんだろう」という嫉妬の視線が飛んでいる。そんな中、我関せずと食事をするミク達。エイジ達と変わらないなーという程度である。あれだけ高校生の事を言っておいてコレなのだから仕方ない。


 それでも食堂の椅子に座らせ、男達は食事を取りに行った。それを見送りつつ、今日のダンジョン調査は西口と南野は外した方が良いんじゃないかと言うも、公私混同はしないという言葉が返ってきた。完全には復帰していないようだが、理解は出来ているらしい。


 朝食後、軍用車両に乗り込んで出発するも、東達が上官に怒られていた所為で時間が掛かった。流石に最後には上官が謝っていたが、無駄に時間の掛かる説教をされても困るというところだ。長いと聞く気も無くなるし、良くない。


 ダンジョンに到着後、手分けして機材を下ろす。実は昨日中島大将が頼んできたのは、アイテムバッグの件もあるのだ。それぞれの物を入れる容器などをアイテムバッグで運んでほしいと。ミク達は渋ったものの、最後には受け入れた。


 渋った理由は「面倒臭い」という事のみである。余計な事を言ってくる可能性もあるので関わりたく無かったのだが、最後には仕方ないと諦めた。代わりにユミが見張り、バカが居たら圧力を加える事で決まったからだ。


 ある程度の抑止にはなるだろうし、下らない事をするとこうなるという生贄も欲しかった。そろそろ各国や各企業が色々な手を使って攻撃してくるタイミングらしく、牽制の意味を込めての生贄がほしかったという事情もある。


 今のところは星川家が前に出てくれるらしいので、ミク達は頼る事にしたのだ。この星の政治形態は成熟してるだけに複雑で、簡単に手を出す訳にはいかないという事情がある。


 最悪は使い魔をもう一体創造する気でもあるので、それを使えば対応は可能だろうと思っている。昨夜その話をユミにしたら乗り気になったが、理由は他国のスパイを処理してほしいかららしい。ミクもそろそろ肉が食べたいと思っていたので真面目に検討中だ。


 何故こんな事を考えているかといえば、研究者や学者どもがダンジョンにも入らず、魔法陣を見て「あーだ、こーだ」と議論しているからだ。まだダンジョンにすら入っておらず、周りの助手や兵士も呆れている。



 「しかしな、この紋様の謎を解く事が出来れば、我々でダンジョンとやらを作り出せるかもしれんのだぞ! それがどれほど画期的な事か分からんのか!!」


 「真神語が分からないんだから、解き明かすって無理に決まってるじゃん。それ神の言語だけど、人間如きに分かると思ってるの? 理解できるとは思えないけどさ……もし理解出来たら、その瞬間気が狂って壊れるよ? 人間の精神なんて脆いんだし」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」



 それまで地面の紋様を触りつつ議論していた連中は、すくっと立ち上がり何事も無かったかのように紋様の上に立ち、ダンジョンの中へと入っていった。精神崩壊を起こすような研究はしたくないようだ。まあ、行きつく先が破滅では当然であろう。


 慌てて追いかけて第1層。平原の中、ゴブリンやコボルトが遠くに見える。今回は人数が多いので兵士も多く、武器を持っている者も多い。相変わらず銃だが、出来得る限り使うなと厳命されていると東が言っている。


 どうも軍のコストを下げると同時に、ダンジョンの中の魔物の素材を収入にしたいらしい。軍というのはどうしても金食い虫である。その金をダンジョン内の資源でまかないたいという事だろう、分からなくもない。


 それぞれの学者や研究者が様々な物を集めていき、それらの容器をミク達がアイテムバッグに回収していく。魔物の死体も幾つか回収し5層のボス戦。あっさりと倒したものの、「ギャーギャー」五月蝿い連中が多い。


 銃を撃つなと言われていたのに、反射的に撃とうとして殴られている奴も居た。まるでミク達に照準を合わせたようにも見えたが、今は無視する。そしてフォレストベアの出る6層から先、学者や研究者も大声を出さなくなった。


 流石に目の前に大きな熊が出てくると怯えたのだろう。フォレストベアの咆哮を聞いた途端、硬直していたし。流石に本気で殺されかねないと理解すれば、バカでも余計な事はしなくなる。


 倒したフォレストベアの死体を触っている研究者が居るが、どうも動物の熊とは根本的に違うようだ。ミク達には違いなど分からないが、違うと言うのであれば違うのだろう。ミク達はこの星の動物を知らないのだから、しょうがない。


 意見を聞かれたのでそう答えたら、「それもそうか」と納得していた。フォレストベアの死体を回収し、10層のボス部屋へ。初めての10層ボスなので、何がボスとして出てくるか分かってはいない。



 「軍もここのボス部屋にはアタックした事がありません。なので何が出てくるかまでは……」


 「流れ的にはフォレストベアのハイクラス、またはクラッシュベア辺りか? ハイフォレストベアの方が楽だな、クラッシュベアはスキルを使う」


 「場合によっては鎧や兜ごと潰される。なので、とにかく近寄らないように離れておく事」



 ネルの言葉に学者や研究者だけではなく、何故か兵士まで頷いていた。


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