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0246・サエとシロウの家族




 ここはサエとサエの家族がいる個室。ミキやエイジの所とは違い、和気藹わきあいあい々としている。理由は厨二病の一歩手前だった弟が、魔法の使い方を教えてくれと五月蝿いからである。後、ベルはじっと黙って座っている。


 人見知りではなく明るいベルが、何故かサエの母親を見てから黙ってお行儀良く座っているのだ。何かを感じたのだろうか?。



 「だーかーらー、お姉ちゃんの一存じゃ難しいって言ってるでしょー! 人の話を聞きなさい。そもそも勝手に教えるなんて出来ないのよー。軍の人に睨まれたらどうする気?」


 「えー……いいじゃんか魔法の一つや二つぐらい! 何で姉ちゃんだったんだよー、おれが複製召喚っていうのをされるべきだろ! 何で役にも立たない姉ちゃんが召喚されて、おれには何もないんだよー」


 「こらこら、もう止めなさい。そもそも人を殺さなくちゃいけないような過酷な所だったんだろう? そんな所に行かなくて済んだと思いなさい。紗枝だって大変だった筈だし、一歩間違えば死んでいた筈なんだぞ」


 「それこそ浮ついている奴は真っ先に死ぬような環境だったからねー、あんたには無理よ、無ー理ー。そもそも私達だってエイジ君やミキちゃん、それにシロウが居なきゃ死んでたし、もっと言うならミクさん達が居なきゃ死んでたからー」


 「あの凄い美人の人かー………ゴホンッ! 別に一般論として言っただけでね、それ以外にどうこうという事は無いんだよ。うん、無いんだ」


 「まあ、イヤらしい目で見られても、ミクさんは一向に気にしないだろうけどね。ミクさんって裸を見られても全く気にしない人だからさ、むしろ困るんだよね。エイジ君やシロウがチラ見しちゃっても、見たいなら見れば? って感じだしー」


 「まあ、あれほど美しい人なら自慢なのかもしれないわね。あそこまで美しい人を見た事が無いし、何と言うか常識を破壊する美しさを持つ人よ。相手をする軍人さんも、よく正気で居られるわねー」


 「まあ、男性の軍人さんはチラチラと見てるけどねー。ミクさんは欠片も気にしてないし、周りの人もいつもの事って感じなんだよー。シロウだって我慢できずチラチラ見てるしさー、もう!」


 「それは良くないな。彼には一度ガツンと言っておいた方がいいか?」


 「お父さんだってミクさんを見たら同じだよー、それに諦めてもいるから気にしてないかな? 向こうの星でも、男女関係無くチラチラ見られてたし。まあ、向こうの星だと同性愛も普通だったからだけどー」


 「まあ、そうなのね! 女性同士の生々しい性、それを経て燃え上がる愛。……いいわねー、堪らないわー」


 「「「………」」」



 父、娘、息子がジト目で見ているが、母親はどこ吹く風であった。実はサエの母親、売れっ子官能小説家である。それも女性同士の恋愛から始まる性を生々しく描く人物で、世間の一部に熱狂的なファンが居る程の有名作家だ。


 そういえばこういう母親だったと思い出し、だからこそ自分はベルと愛し合っているのだろうと思う。それと同時に、母親の餌食になりそうで寒気がしてくるのだった。



 「紗枝……貴女、何か隠してない?」


 「えっ!?」



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 ここはシロウの家族が居る個室だが、先ほどから悲鳴が木霊している。悲鳴の大元はシロウの妹だが、何かあった訳ではなく、魔法を実際に見て悲鳴を挙げているのだ。もちろん嬉しい悲鳴なので勘違いしないように。



 「すごい、すごい、すごーーーい!!! 本当に魔法が使えてる!! しょっぱい兄が一躍時の人で魔法使いとか! もしかして私って勝ち組!?」


 「おい、しょっぱい兄ってなんだよ……。えっ!? マジでオレってそういう扱いだったの!? ………マジかー、碌なもんじゃねえ。それはともかくとして、魔法の使い方は教えられないからな」


 「は? 何言ってるの? 魔法が使える事しか価値が無いのに、その魔法を教えられないなら何の価値も無いじゃない。無価値な人になりたくなかったら、さっさと教えてよ」


 「何コイツ? ここまで頭のおかしい性格してたか? あー……成る程。今までは猫被って取り繕ってただけね。それが魔法が使えるってなって素が出てきたのか。とりあえず、妹がクソなのは理解した」


 「そういうのどうでもいいから、さっさと教えなさいよ」


 「軍から軟禁されたきゃ教えてやるぞ? オレは軍からみだりに教えるのは止めろって言われてるんだ。教えてほしけりゃ軍の人を説得してこい」


 「使えねー! この兄、本当に使えねー!!」


 「お前酷過ぎるだろ!?」



 二人暮しの兄妹なので、これぐらいの掛け合いは日常である。ちなみにシロウの両親は共に海外で仕事をしており、今月末に帰国予定だ。両親共に医者であり、海外での復興医療に当たっていた。


 いきなり兄が居なくなって10日ほど、こんな事は初めてだったので暴走気味になっているだけである。すぐに気をとり直し、両親に伝えるべき必要な情報を妹に話していく。それのメモをとりつつ話す妹。


 兄妹にしては妙な形式だとは思うが、二人とも慣れたもののようである。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ところ変わってミク達。若手だろうと何だろうと、関係無く魔力の感じ方や使い方を教えていく。一つ一つ丁寧にゆっくりと、何度も解説しつつ教えている。手を持ち魔力を動かしてやりつつ、手を放して続けさせ次の者へ。


 ミクが動く度に双丘も動き、魅惑の膨らみを強調する。魔力の動かし方講座の筈が、撮影している軍人もカメラで魅惑の双丘を追っている始末だ。スカートもそこまで長くない為、チラチラと膝から上が映っていた。


 一部界隈から絶賛されそうだが、これを軍の公式サイトにのせるのだろうか? 肉塊はあっさり許可を出すだろうが、果たして本当に通るのかは謎である。それはともかく、練習中の者達の煩悩を刺激しながら魔力の使い方講座は続く。


 ローネとネルは厳しく、魔力を使える様に教えているので、飴と鞭のようになっていたりする。飴の為に必死で集中している姿は滑稽にしか思えないうえ、女性軍人からは冷めた目で見られている事に気付いていない。


 まあ、冷めた目を向けている女性軍人も、ヴァルが近くに来ると顔を真っ赤にして緊張しているので文句は言えない。ヴァルが<魅惑の声>で囁やきながら教えると、腰砕けになる女性軍人が続出しているのだ。どっちもどっちである。


 その光景を見ながらネルが「うんうん」と頷いており、ローネは呆れながら教えていく。


 そんな練習もようやく終わり、撮影者から動画を見てサイトにアップしていいか確認してほしいと言われた。先ほどの光景を多くの人に見せてもいいか? という説明だったので、ミクは見もせずに許可を出す。ミクにとっては神どもの命が第一である為だ。


 本体空間に来て五月蝿く言われても困るので、魔法の普及の為に必要な事は何でもやる気ではあった。ローネやネルにヴァルも聞かれたようだが、三人も見ずに許可を出していた。先ほど教えた程度なら秘密でも何でもないので問題無い。


 ついでに運動能力測定の動画も出す許可を聞いてきたので、こちらにもOKを出した四人。そもそもネルが100メートルを本気で走ったくらいで、他は全て手抜きなのだから、見たところで勘違いしかしない。なので問題無いと四人は思った。


 四人の手抜きでさえ、この星では突き抜けているという事を正しく理解していないミク達。この星の常識的な身体能力は、四人が考えている以上に大した事は無い。それを知るのはもう少し後になってからである。


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