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0241・コンビニと剣造爺さん




 運動能力測定を終えて、今は食堂で夕食を食べている。エイジ達の運動能力に唖然としていたが、今は立ち直った。これからはこういう人物が増えるかもしれないのだと思ったが、その考えはミクにぶった切られる。



 「勘違いしないでほしいんだけど、普通はスキルなんて持っても一つか二つだよ? 多くて三つか四つ、それ以上はまずあり得ないから。そもそもエイジ達は神の加護を得ているからそれだけスキルが多いのであって、神の加護が無ければスキルなんて多くないよ」



 そのミクの言葉を聞き安心すると共に、スキルの事も教えられる。剣術だったり槍術だったりというのは上手く扱いやすくなるだけ。つまり持っていても持っていなくても、そこまで違いは無い。持っていなくても技のスキルは使えるからだ。


 エイジ達が<アクティブスキル>と呼ぶものだが、これは魔力と闘気を自分で扱えば、該当のスキルを持っていなくても再現できる。現にミクはそうやって使っている技もあるのだ。なので必ずしもスキルを必要とはしない。


 それとは別に【勇剣術】や【覇気】に【超速回復】など、どうやっても再現できないものもある。こういうものはスキルを持つというだけで大きく変わる。重要なのは再現できるかどうかと、スキルを使い熟せるかどうかだ。所詮は道具のようなものでしかない。


 それを聞いた東達は安堵している。エイジ達もミク達に習って長く練習してきている。それで今があるのであって、最初からすぐに使い熟せた訳ではない。つまりスキルを持っても使い熟せなければ、一般人に毛の生えた程度でしかないのだ。


 場合によっては暴徒を鎮圧せねばならない軍人にとって、強力な力を持つ一般人は脅威と言っていい。そういう人間が出にくいというのは助かる。どのみち訓練漬けの軍人の方が強い事に変わりはない。なので安堵したのだ。


 夕食後、明日は休日にするのでゆっくりしてほしいと言われたので、ミキやサエが満面の笑みとなる。ああ、こいつらヤる事しか考えてないなと思いつつ、ミク達は東の宿舎へと移動した。


 宛がわれた部屋に入ると昨日と全く同じで笑うが、昨日と変わらず満足させてから寝かせる。後はベッドの上段で停止。時間を潰すのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 翌日。朝食を食べたミク達はどうするか悩む。エイジ達とシロウ達は部屋に戻ったので一日中ヤるのだろう。あいつらは放っておけばいいとして、どうしようと考えつつ本部内をウロウロするミク達。


 昨日、この国の紙幣と共に貰ったパンフレットを見ると、コンビニという店が目に入ったので、まずはそこへ行く事に決めた。四人で歩いていると声を掛けられたので、コンビニへ行く事を告げると敬礼して去っていった。


 監視まではされていないみたいだが、見張っているアピールだろうか? と首を捻りながら向かうのだった。声を掛けた男性兵士は案内しようと思っただけなので、ただの善意だったのだが……。


 コンビニに着いたミク達は様々な売り物を見ていく。よく分からない物が多いものの、何となく食べ物が多いのは分かる。適当にカゴの中に入れて、最後に店員の所へ持っていった。


 昨日、買い物の仕方は聞いていた四人。なので問題なく買えたのだが、適当な物を沢山買ったのでアイテムバッグに仕舞う。持たされたお金は10万円だそうだが、それが多いのか少ないのかも分からないミク達。


 金貨は20枚ほど渡しているので、それなりの金額なんだろうなとは思っている。後、宝石類も渡して換金できないか聞いたのだが、それなりに良質の宝石ばかりなので扱いに困ったようである。


 そうしてウロウロしていると、たまたま撮影中だったのだろう、大きなカメラを持っていて何かを話している集団が居た。ミク達は分かっていなかったが、ライブ動画の撮影中だった。ミク達は元々映ってなかったので遠巻きに見ているだけである。


 すると、話していた人物が目敏くこちらを見つけて話し掛けてきた。



 「もしかして貴女は光の柱から出てきた人ですかな? 私はHowTuberの剣造と言います。こう見えて軍の事を紹介する動画番組を作っておりましてな、それなりに登録者も多いのですよ。元陸軍の爺が紹介する番組でして。少し話を窺っても宜しいですかな?」


 「まあ、別に構わないけど。食べたいから食堂で聞いてもいい?」


 「もちろんですぞ。こちらがお聞きする側ですからな。それより今はライブ中ですが構いませんか?」



 随分元気な爺さんだなと思いつつも了承し、ミク達は食堂に移動して椅子に座る。初めてコンビニで買い物をしてきたので、色々食べて味を知りたいと言っておいた。実際には後でもよかったのだが、撮影をされているので適当な言葉を吐くミク。



 「ほう、初めてのコンビニですか。今や色んな物が売っとりますからなぁ。それはそうと、お聞きしたいのですがな、魔法というのは誰にでも使えるのですか? 一般人が当たり前に武力を持つというのは怖い世の中になりかねんのですが……」


 「この星がどうかは知らないけど、それぞれの星では魔物が出たりするのは当たり前だからねえ。一応エイジ達からは魔物なんて故郷では見た事がないって聞いてるけどさ。魔物が出る星では農民が戦うのが当たり前だよ?」


 「本当にな。そもそも農民が戦わねば、誰が魔物から作物を守るのだという話だ。騎士や兵士が来るまで待っていたら、雑草も残らんほど食い荒らされるぞ。それは農民に死ねと言っているのと変わらん」


 「なんと……他の星ではそんな怖ろしい生き方をせねばならぬのですか……」


 「私達からすれば、代わりにこの星は人間種の戦争ばっかりしてる。エイジ達から聞いたけど、本当に争いという根源的な欲望に囚われたままだとしか言えない。他の星では魔物相手なのに、この星では同族で殺し合いばかりしてる」


 「………」


 『本人には自覚が無かったのかもしれんが、ちょっとした見下しは感じたのでな。ネルがそこまで言うのは当然の事だろう。そもそも魔物の出る星でも人間種同士で戦争はしている。とはいえ、それはこの星でも変わらんというだけだ』


 「そうそう。どのみち人間種である以上は、殺し合いなんて永遠に続けるだろうしね。そんな連中だって事は、長く生きる二人には分かりきった事なんだよ。それより、何か聞きたい事は他にないの?」


 「え、あ、ああ……。実はですな、魔法以外にも珍しい物とかがあれば教えてほしいと思っております。私は詳しくないですが、孫がファンタジーが云々とか言っておりましてな」


 「ファンタジーってよく分からないけど、適当な物でも見せれば良いの? ………じゃあ、コレかな」



 そう言って、ミクは剣と<鑑定板>をアイテムバッグから出す。ローネもネルもヴァルも何も言わないが、ここに東が居たら即座に撮影を止めさせていただろう。本当にタイミングの悪い連中である。肝心な時に居ない。


 ミクは剣造に使い方を教え、その剣を鑑定してみるように言った。剣造は素直に<鑑定板>の上に剣を置き、目の前に現れたウィンドウにビックりする。そして、その文字の内容にもビックリしたのだった。



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 <魔剣ブレインホワイト>


 <喰らう者>がデリューファント神聖国の<聖剣>と呼ばれた人物を返り討ちにして手に入れた魔剣。かつては<ソルシャイル>という名であった。剣の性能は大した事がないが、専用スキルである【白光陽熱衝ホワイトブラスト】が非常に強力な品。ダンジョン産。


 <喰らう者>が全力で【白光陽熱衝ホワイトブラスト】を使うと、2000度を超える熱量を生み出す。尚、現在までにこの星に魔剣が存在した事は無い。



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 「「「「………」」」」



 剣造も撮影者も全員が唖然としている。魔剣などという物が存在するなど、想像の埒外らちがいだったのであろう。


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