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0237・陸軍本部での記者会見




 待たされたものの、記者会見場なる所に入ると、光が一気にこちらに何度も向く。「パシャパシャパシャ」という聞き馴染みの無い音が鳴るものの、無視して案内された椅子に座る。ミク達に向けて更に光が瞬くが、全て無視して前を見た。


 カメラとかいう物をこちらに向けている者が多く、写真とかいうものを撮っているのだろうと暢気のんきに考えていると、司会の女性が話を始める。どうやら挨拶と説明のようだ。



 「大江戸駅の前に立ち昇っていた光の中から現れたのは、ここに居る皆さんであり、ヤマト皇国の高校生四人を含めた11人でした。聞き取りを行ったところ、彼らは別の星に複製召喚というものをされたと分かり……」



 どうやらエイジ達が複製されて、前に居た惑星に召喚されたという話をしているようだ。そしてこちらに戻ってくる際に、オリジナルとコピーの統合が行われ、メインはコピーの側になったという事。それは神がそう決めた事などが話された。


 当然ながら半信半疑どころか信じていないものばかりである。とはいえ、自宅に居た者が急に消えたという実家の家族からの話もあり、少なくとも元々居たオリジナルが消え、光の柱の中から出てきたのは間違い無い。


 それを司会の女性が説明すると、唸っている者達が多い。その後はミキが中心となり、向こうの星で何をしていたのか、どういう戦いだったのかを話す。すると人を殺したという部分で、ケチをつける者が現れた。



 「まさか人殺しを自白されるとは思いませんでしたが、そのような事を罪の意識無く語るとはいったい何事でしょうか! そんな犯罪者の話を軍が真に受けるとは非常に危険なことだと思います!!」


 「東共新聞の持月さん。記者の勝手な発言は認めておりません。今はまだ質問などを受け付けておりませんので、進行の邪魔をしないようにお願い致します」


 「そうやって軍はジャーナリストの口を塞ごうとする! 我々には表現の自由があるというのに、すぐに取材の制限を行い、市民の知る権利を奪おうとする。これこそが軍のやり口であり……」



 何だか訳の分からない演説が始まったが、他の大半の記者とやらが呆れているのが分かる。悪意も向けられている事から、あの持月という女は相当嫌われているらしい。必死に何かを言っているが、興味が無いので全員聞き流している。


 すると、司会が進行を妨げたとして警備の者に排除を要請。警備していた兵士が持月という記者を抱えて外に出そうとする。すると、更に喚き立てた。



 「皆さん分かりますか!! 軍というのはこうやって力づくで市民を排除しようとするのです! やがては軍人が力を持ち、きっと独裁を始めるでしょう! 私達市民は声を挙げて対抗し……」


 「記者って取材? とかいうのをする仕事だよね? あれってどう見ても演説しているけど、記者じゃない人が何でここに居るの?」



 特段大きな声で話していないミクの声が、何故かマイクに乗って広がる。それを聞いた多くの記者は喚いている者から距離をとり、他人のフリを始めるのだった。誰だって活動家扱いは嫌であろうし、当然だとも言える。


 喚いていた女はミクの言葉を聞くなり、更に「ギャーギャー」言い始めたが、排除されたので聞こえなくなった。なので記者会見は再開される。そのまま説明が続き、最後に回された記者の質問が始まった。



 「経産新聞です。先ほど喚いていた方ではありませんが、人を殺すという事をしてこられたとの事ですが、それに関しては如何いかがお思いでしょうか?」


 「殺さなければ殺されるという中で、黙って死ねという事でしょうか? この星とは違い、当たり前に盗賊が跋扈し殺しに来るのです。そんな中で話し合いをしろと? 出来るのであれば、是非やって見せて頂きたいですね」


 「………以上です」


 「他の方は………はい、そちらの方」


 「赤日新聞です。そちらの方々は異種族という事ですが、将来的に人権を保障するべきでしょうか? その辺りをお聞かせ願いたいのですが」


 「貴方の話され方では、彼女たちに人権が無いように聞こえますが、自分勝手に人権が無いとした根拠をお聞かせ願えますか? 彼女達は話し考える事ができ、意志の疎通まで出来るのに人ではないと?」


 「………以上です」



 ミキ無双が繰り広げられているが、コレに関しては星川財閥に喧嘩を売る事が出来ないからである。まあ、喧嘩を売ってきたら売ってきたで、どこかの肉塊が喰って終わるだけの話ではあるのだが……。


 そんな事を考えていると、まともな記者からの質問がきた。



 「大和新聞です。高校生の皆さんが他の星に行かれたとして、何か明確な証拠というのは有るのでしょうか? 無ければ構いませんが、有るのでしたらお願いします」


 「それならコレが一番簡単なんじゃないの?」



 その時、何故か横からミクが話しかけ、<人物鑑定の宝玉・一級>を取り出す。司会が慌てふためくも無視し、大和新聞の記者に使わせた後、ミキも含めた全員の鑑定結果を見せる。


 何故ミクが自分の鑑定結果も気にせず見せているかというと、神連中から真実の姿がバレても問題無いと言われているからだ。それと、肉塊であると示しておいた方が手っ取り早いという思惑もある。


 シェルやベルにオーロなどの種族が違っていたからだろう、記者から驚きの声が挙がる。だが、それだけではなく、ミク達の鑑定結果を見て更に仰天したのだ、理由はローネとネルの年齢である。


 種族も驚きなのだが、それ以上に1000年以上も生きている人物が居る事に驚いているのだ。おかげでローネやネルへの質問が大きく増えてしまった。



 「もしかしたら寿命を延ばす方法でも聞きたいのかもしれんが、残念ながら私は知らん。そも、私は闇の神の神子だ。それ故に寿命が無いのであって、それ以外の種族の者が寿命を増やす方法が有るのかなど分かる筈もない」


 「私も聞いた事は無い。薬関係なら光半神族リョース・アールヴが得意と聞いた事はあるけど、私が得意なのは物作りであって薬作りは専門外。なので聞かれても知らないとしか言えない」


 「私? 私が知っている訳がない。そもそも寿命とかどうでもいいし、私はこれからも生き続けるだけだよ。興味無い事って心の底からどうでもいいよね?」


 『俺に聞かれても困るな。そもそも俺は主の使い魔として、主と共に生き続けるだけだ。それ以外の生き方をする気も無い』



 彼ら記者の聞きたかった答えも聞けず、予想よりも二時間もオーバーした記者会見は終わった。最後の方で何度か魔法を見せた事により、完全に魔法というものが存在する事は示せたと思う。後は使い方を広げていくだけだと笑うミク。


 神から言われている事なので早めに道筋をつけたかったのだ。後からゴチャゴチャと文句を言われても困るし。


 そんな事を控え室で話していると、東率いる軍人四人が来てミク達を案内し始めた。魔法に関しては半ば諦めていたらしい。仮に本当に神が居るなら、東達とて神罰が怖いのだ。実在するなら尚更。


 ミク達が案内されたのは本部の者達も使う食堂だった。食費は税金から出ているらしいが、メニューが一つしかなくて驚くエイジ達。それを見て笑う東達。



 「軍が贅沢をしている何て昔から何度も言われてきたけど、実際には本部でさえギリギリまで削ってるんだよ。言葉は悪いけど、有事の際に使う装備を優先して貰わないと困るしね」


 「装備が貧乏で、食事だけ豪華でもねえ。それで死んでこいって言われるのは堪ったものじゃないのよ。現実的にはね。そもそも訓練で服が磨り減って破けるのに、二着目からは自腹よ?」



 色々と世知辛い話を聞きつつ、リラックスして食事をとるミク達であった。


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